いわゆる GAFA に代表される、プラットフォームを握るテック大企業を独占禁止法違反に問えという声は年々大きくなる一方だったが、遂に Facebook に対して米連邦取引委員会が分割を要求するところまできた。
この問題についてはワタシも、ティム・ウーの『大企業の呪い:新たな金ぴか時代における独占禁止法』、並びに彼による Facebook が解体されるべき理由の解説を紹介してきたわけだが、結局『The Curse of Bigness』の邦訳出ないみたいやね……。本件については、「Facebook 提訴は競争回復に向けた第一歩」という電子フロンティア財団の見解に同意する。
この話題についての良い副読本としては、コリイ・ドクトロウが独占禁止とテックプラットフォームを専門にするサリー・ハバード(Sally Hubbard)のこの秋出た Monopolies Suck という中学生のような(笑)タイトルの本を紹介していたのを思い出した。
Monopolies Suck: 7 Ways Big Corporations Rule Your Life and How to Take Back Control
- 作者:Hubbard, Sally
- 発売日: 2020/10/27
- メディア: ハードカバー
彼女は Google や Amazon についてこれまでもその市場独占についてメディアからコメントを求められることが多いので、彼女の立ち位置は明らかである。
『Monopolies Suck』に話を戻すと、「大企業があなたの人生を支配する七つのやり口とあなたの人生のコントロールを取り戻す方法」を説くものらしいが、推薦の言葉を寄せる中に前述のコリイ・ドクトロウなど予想のつく名前に交じって、ドン・ヘンリー、そう、あのイーグルスのドン・ヘンリーが「創造的なコミュニティは独占化されたアメリカで法外な高値を支払い、何百万人ものアーティストがビックテックの利益を優先するルールの元で苦労して生計を立てている。サリー・ハバードは我々が反撃する方法――そしてそうしなければならない理由――を明確に述べている」と推薦の言葉を寄せているのにちょっと驚いた。
米国人は結局ビッグテックはそれほど悪くないと考えているという記事もあったが、Facebook はじめテック大企業も黙っておらず、目の敵にされまいといろいろゆさぶりをかけるなどして抵抗するのは間違いない。
フレッド・ウィルソンの「解体(Break Up)でなく開放(Open Up)しろ」という意見は確かに納得感があるが、Facebook は解体すべきだとワタシは思います。