「テクノ楽観主義者からラッダイトまで」で新刊を取り上げたブライアン・マーチャントが、贈り物が多く買われるホリデーシーズンに向けて、2023年最悪のテック製品についての記事を書いている。
彼の新刊がラッダイト運動に光を当てるものなことは上でリンクした原稿で書いたが、その新刊を宣伝するブックツアーで彼は、「ラッダイト裁判」なるイベントを行っているそうな。それはテクノロジー製品を俎上に挙げ、それが利用者に喜びや有用性を提供する以上に、労働者を傷つけたり、消費者をだましたり、監視を蔓延させてないか検討し、否定的な意見が優勢となったら、その製品をハンマーで叩き潰す(!)催しとのこと。
マーチャントは、それを踏まえて消えてなくなってほしい2023年最悪のテック製品をいろんな人に取材している。
Amazon Ring ドアホンといった具体的な製品、Uber のようなサービス、生成 AI 自体を挙げる人もいて、その理由については原文をあたってくだされ。そうそう、今更 Uber かよと思われるかもしれないが、「メディアが報じないライドシェアの重大リスク…「日本は遅れている」と導入をあおって得をするのは誰か 世界では導入していない国、禁止した国が多いのに」という記事は、一読の価値があると書いておきましょう。
あと、このブログでもおなじみコリイ・ドクトロウは、あらゆるデジタル機器に内蔵されている「遠隔認証ツール」を挙げている。これはインクジェットプリンターがサードパーティのインクを使ってないか、ユーザが広告ブロッカーを使ってないか確認するのも含まれる。彼らしい包括的なチョイスだ。
今年サービスを開始してとても活きが良かった 404 Media の共同創業者の Jason Koebler は、23andMe を挙げている。そういえば先週、「ハッキング被害を受けた遺伝子検査ツールの23andMeが利用規約を突然更新、顧客による集団訴訟の提起を禁止」なんてニュースもあった。ここにうっかり自分の遺伝子情報を預けなくてよかった。
そして、「ビッグテックへの権力集中」を挙げている人がいて、おいおい、それテック製品じゃないだろと言いたくなるが、ワタシも「AIは監視資本主義とデジタル封建主義を完成させるか」で取り上げた Signal のメレディス・ウィテカーさんだった。彼女が言うなら納得ではある。
さて、ブライアン・マーチャントの新刊は、来年あたり邦訳が出るでしょうか。
ネタ元は Boing Boing。