久しぶりに映画館に出向いた。デヴィッド・O・ラッセルの映画を観るのは『アメリカン・ハッスル』以来か。公開初日に行ったのだが、両隣の席が空いた列を探したら最後列になった、くらいの客の入り。
本国での批評家受けがすさまじく悪いのでどうなんだと思ったら、これが良い映画かはともかくとして、ワタシ的にはかなり好きな映画だった。
この映画の批評家受けが悪いのは、陰謀論の扱いがあからさまというか、自分たちが批判しているものの裏返しに思えて気恥ずかしさを感じたからだろうか。そんなのよりも画の作りこみや撮影の妙を、その上でクリスチャン・ベールやマーゴット・ロビーらの見事な演技を楽しむ映画でしょう。いやー、マーゴット・ロビー、ステキでした。
それにしても豪華キャストの映画だし、しかも、2022年の現在、アメリカ映画界でもっとも輝いているアニャ・テイラー=ジョイが悪役をやっているのだからたまらない。
しかしなぁ、ジョン・デヴィッド・ワシントンって文句なしにハンサムでかっこいいのだけど、『TENET テネット』以上に物語の狂言回しの役から絶対にはみ出ることのない過剰さの欠如というか無感情な佇まいは、これも一種の才能なのかと不思議になる。この映画で常に首を斜めに傾け続ける立ち姿だけで磁場を発するクリスチャン・ベールと比べてどうしてもそれを感じたりした。