『ベルベット・ゴールドマイン』や『アイム・ノット・ゼア』といった一癖あるミュージシャンの伝記的な映画をものにしているトッド・ヘインズがてがけるヴェルヴェット・アンダーグラウンドのドキュメンタリー映画のことは、2019年5月に取り上げているが、それから2年余り経って、その『The Velvet Underground』というそのものズバリなタイトルの映画はカンヌ国際映画祭でお披露目された。
遺されたアーカイブ映像、そしてジョン・ケイルをはじめとする生存するメンバーへのインタビューが使われているのはまぁ当たり前だけど、ルー・リードの妹さんもインタビューを受けてるとな。
出ている評を見る限りだいたい好意的で、このバンドをこよなく愛するワタシ的にも嬉しい話だが、この Variety の記事における、トッド・ヘインズはジョン・ケイルをバンドにおける純粋さのメタファーと見ているのではないか、モーリン・タッカーにインタビューしてるけどなんで彼女の革命的なドラミングについて触れないんだ、ヴェルヴェッツの音楽の素晴らしさと謎を語る批評家の意見を含んでいないのはトッド・ヘインズは重要な間違いを犯してると思うぞ、という感想は興味深い。
同じ Variety の記事だが、こちらは「いかにしてトッド・ヘインズはドキュメンタリーでルー・リードを生き返らせたか」というタイトルで、監督にとってはそれが最大の課題だったようだ。
この記事を読むと痛感するのはアーカイブの重要性で、ワタシもルー・リードのアーカイブについてはこのブログで何度か取り上げている。
そして、最後に引用されているトッド・ヘインズの発言、「この映画はこのバンドだけではなく、多分にニューヨーク・シティの肖像画でもあるんだ」という発言も奮っているね。
しかし……この映画は Apple TV+ でのストリーミング配信が決まっており、Netflix しか契約していないワタシは観れないのが残念である。