New York Times の今週お勧めする7冊にも選ばれているが、ロナルド・レーガンの新たな伝記本 Reagan: His Life and Legend が今月出ている。
その書評のタイトルが「ロナルド・レーガンはドナルド・トランプへの道を開いたのか?」で、そのあたりが2024年にレーガンを評価する上で考慮すべきポイントなのだろう。
この伝記本でも序章で「レーガニズムにはトランピズムの種が含まれているだろうか?」と著者のマックス・ブートは問いかけているが、この本ではレーガンの時に陰謀論に近いところに陥りがちな作り話好きが指摘されており、人種差別的な側面もあったのもトランプとの共通点と言えるかもしれない。
ただ、大統領としての政策の違いは歴然、というのが著者の立場のようだ。
それでは、レーガンの遺産とは何だろうか? 彼はトランプのアメリカを理解する助けとなるだろうか? おそらく主な教訓は、一度指導者が何かしらの想像上の真実(mythic truth)に飛びつくと、他のすべてが崩れ去ってしまうということだ。確かに現実主義こそレーガンの最大の強みだった。
ここでの「想像上の真実(mythic truth)」というのは、「移民が犬や猫を食ってる」といった類の話だろうか。レーガンは現実主義者だったかもしれないが
、「プロジェクト2025」で改めて取りざたされた共和党と宗教右派の接近はレーガン時代に始まったと言われる。果たしてこの伝記本にそのあたりの記述はあるだろうか?
伝記本だけでなく、今年はレーガンの伝記映画『Reagan』も公開されて、アメリカでヒットしてるのね。デニス・クエイドがレーガン役とな。タイトルが今回出た伝記本と同じだが、別の本が原作である。
批評家受けははっきり悪いが、(白人)観客の受けは良いとのこと。さすがに日本で同じように受けるわけはないので、劇場公開はされないのではないかな。