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許されざる者

クリント・イーストウッドが本作で初の作品賞、監督賞を受賞したときのアカデミー賞NHK の衛星放送で見ていたが、その年のアカデミー賞全体がイーストウッドのためのものだった印象がある。

つまり、『ダーティ・ハリー』に代表されるアクションスターの印象が強かったために映画監督として過小評価されていた彼もこのような最後の西部劇というべき作品を作ったのだから彼の長年の功績を称え……という感じである。

しかし、ご存知のようにイーストウッドは本作の後もヒット作をものにし、近年もオスカーの賞レースに加わっているのだから、強かというか映像作家としての見事な晩年である。

さて本作は、イーストウッドの師匠格にあたるセルジオ・レオーネドン・シーゲルに捧げられたウェスタンの傑作だが、素直に主人公に感情移入できる作品ではない。それに加え、登場人物の死の余韻のなさともったいつけた見せ場のなさに(リチャード・ハリス演じるイングリッシュ・ボブは例外だが、彼にしても見事に駒でしかない)ワタシはむしろ「神話」に近いものを感じた。

「神話」と書くと褒め称えているようだが、必ずしもそうばかりでもない。例えば『ミスティック・リバー』のような後味の悪さはないが、エンディングは少し拍子抜けだった。

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