先週日経新聞の夕刊を読んでいて、松本清張の生誕100周年を記念して北九州市で記念行事が開かれることが記事になっていたが、同じく2009年に生誕100周年を迎える作家として大岡昇平、太宰治、埴谷雄高、中島敦の名前が挙げられていて、大岡昇平と埴谷雄高はともに第一次戦後派だから分からなくもないが、松本清張と太宰が同い年なんてなんだか不思議な感じである。
さて、松本清張生誕100周年記念行事が北九州市で開かれるのは、そこが彼の故郷だからだが、他の作家のゆかりの地でもイベントが開かれるのだろうな。
出版社的には清張と太宰が目玉なようで、出版不況の救世主が期待されていて、MSN産経ニュースには清水義範構成によるこの二人の架空対談なんてのも公開されている。太宰については新春座談会(上、下)も開かれている。
救世主は大げさとしても、太宰治の著作権はとっくに切れていて、多数の作品が青空文庫で無料で読める。それでもボンボン復刊されるのだから、著作権保護期間の延長を求める連中の……という話はもう止めよう。
ユリイカ2008年9月号の太宰と安吾特集で速水健朗さんの「ケータイ小説として再発見される『人間失格』」にのけぞったが、本当にケータイ小説化されてるんだからねぇ。
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松本清張については生誕100年記念のウェブサイトができているくらいで、多分また彼の小説のドラマ化などがあるのではないか。
映像化では太宰も負けておらず、「ヴィヨンの妻」や「斜陽」が映画化されるようだ。既にそれぞれ公式サイトができている。
でもなー、ワタシ的には今年生誕100周年の作家の中では大岡昇平が一番好きなんだよね。近年、大岡昇平が忘れられた作家になりつつあるのが悲しい。彼はすごい作家だよ……と言いつつ、まだ『レイテ戦記』を読んでないのだが。
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埴谷雄高は、正直『死霊』は全然読めてないが、NHKのETV8特集『埴谷雄高・独白「死霊」の世界』は興奮しながらみたし、立花隆によるインタビューをまとめた本は分かりやすかったな。
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そして中島敦はスルーされてしまうのだろうか。彼の作品も青空文庫で読める。ベタと思われるだろうが、山月記はワタシにとって痛切な小説である。