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かつて偽ジョブズだったジャーナリストが暴く、ボストンで就職したいナンバー1会社とテック系バブルの実態?

今では Fake Steve Jobs といっても若い人には通じないのかもしれないが、かつて偽ジョブズを名乗ったブロガーが話題となり、正体は誰なのか取りざたされたものである。

ジョブズについてはワタシも2007年に取り上げているが、正体は Forbes の編集主任だったダニエル・ライオンズだった。

そのライオンズについては、Newsweek に移籍し、その後 ReadWrite の編集長になったあたりまでは追っていたが、その後彼が編集長を退いた後は知らなかった。

このあたりについて彼はなぜか ReadWrite の話は飛ばして、Newsweek を歳を食いすぎてるからといきなりリストラにされた話から始める。50歳にして妻と2人の子供を抱え、途方に暮れる彼だが、思えば彼は偽ジョブズ絡みでシリコンバレーやテック系企業とのつながりがある。

そこに転職したらいいじゃないかと選んだのが、HubSpot というわけだ。

これはすごく賢い選択に思える。何しろ HubSpot は「ボストンで就職したい会社」ナンバー1とか勤務時間も休暇も自由、自宅勤務も昼寝もOKで成長し続けていることで知られる。HubSpot は「インバウンド・マーケティング」の代表選手として知られ、日本にも進出済である。CEO のブライアン・ハリガンの共著書を読んだ方もいるかもしれない。

グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ

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インバウンド・マーケティング

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ライオンズに対してもストックオプションがたんまり提供され、「マーケティング・フェロー」なる肩書きが与えられ、すごく恵まれた環境を与えられたことは間違いない。その一見勝ち組なキャリアに復帰できたはずの彼が、今月偽ジョブズ本以来久しぶりに本を出したのを知る。

Disrupted: My Misadventure in the Start-Up Bubble

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表紙やタイトルを見ても分かる通り、ライオンズは Hubspot での仕事が心底イヤだったようで、ネガティブな内容なようである。ワタシなどかつて故 Aaron Swartz が書いた「The Goog Life:グーグルが従業員を子供扱いすることでつなぎとめている件」を思い出したが、ライオンズにとって HubSpot の若々しいテックスタートアップな企業文化はつくづく居心地が悪かったようだ。

ライオンズにとっては Hubspot は大学のフラタニティカルト教団の出会いみたいなもので、信者たちみたいな社員によるバカ騒ぎが活写されており、それを通して現在のテック系バブルの実態を暴露した本ということらしい。

まぁ、50過ぎて、息子みたいな年齢の社員と並んでバランスボールの「椅子」に腰掛けて仕事させられたのは気の毒だが、Hubspot の「インバウンド・マーケティング」についても、結局メールスパムだろといった書き方で、これについては Hubspot 側の反論もあるだろう。

ただ、Hubspot は昨年ライオンズが本を書いているのを警戒し、本の草稿を入手しようとしたことで倫理コードを逸脱したとして CMO が退職に追い込まれていたりする。もちろん Hubspot 側にも言い分は多々あると思うが。

果たして邦訳は出るんでしょうかね。

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