「邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2019年版)」でも紹介した本が出ることを受けてか、ニール・ヤングが低品質なストリーミング音楽配信への憎悪と高音質へのこだわりについてインタビューを受けている。
この長文記事の冒頭を訳してみる。
ニール・ヤングは蜂に刺された世捨て人より変わっている。彼は Spotify が嫌いだ。彼は Facebook が嫌いだ。彼は Apple が嫌いだ。彼はスティーブ・ジョブズが嫌いだ。彼は、デジタル技術が音楽に対して行っていることを嫌っている。
ニール・ヤングはシリコンバレー人種を嫌っており、シリコンバレーが生み出すものは有害で反人間的だと考えている。巨大テック企業のことを考えると、彼はもう音楽を作りたくないというところまで来たのを認めている。
記事中やたらと [expletive] という表記があるのだが、ここは元は四文字言葉であるという意味である。
記事はニール・ヤングをどこか時代遅れの老人、ドン・キホーテのように見せているところがあるが、ニール・ヤングを他の仲間のロックスターと分けたのは、彼がオーディエンスが聴きたいものに迎合するのを一貫して拒否し、何か素晴らしいことをやり遂げたら、そのスタイルを棄て、彼にとってよりリアルに思えるものを追求してきた彼の気質にあることもちゃんと書いている。
彼は変人呼ばわりされるのは気にしておらず、ストリーミング配信音楽は、モンサントが遺伝子組み換え作物が食品について行っているのと同じように我々の脳に害を与えていると信じている。
記事の冒頭に「彼はスティーブ・ジョブズが嫌いだ」とあるが、ニール・ヤングは、スティーブ・ジョブズが大の音楽ファンであり、本物の音楽を聴くべくレコードをかけていたことを認めている。ヤングはジョブズに、Apple iTunes を(ヤングからみて)マシな音楽プラットフォームにするようもちかけたそうだが、当然ながら両者は折り合わなかったとのこと。
以前にも書いたことがあるが、ワタシはニール・ヤングの衰えない創作欲にも、Neil Young Archives への取り組み(100万ドルをこえる資金を投じているらしい)も高音質へのこだわりにも敬意を払っているが、一方でニール・ヤングのファンってそれほど音質にこだわっているかなというのが少し疑問だったりするのだが、この記事を読むとヤングが幼いときに患ったポリオ、そして彼の子供たちが患う脳性麻痺という病気が関係しているように思う(記事中、天才が意図的に作った(でも実はそれほどひどくない)クソアルバムの代表とされる『Trans』のことが、子供たちの脳性麻痺と絡めて触れられている)。
ワタシ自身は、コンポは持っているがそちらで CD を聴くことはなくなり、普段はほぼ PC で音楽を聴いている。もっとも多いのは Apple Music であり、その次が YouTube か。いずれにしてもストリーミング配信の音楽である。将来、脳についてもっと解析が進み、ヤングが主張するようにそれらは脳に有害だと判明するかもしれないが、どうだろう。
ネタ元は Boing Boing。
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