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海よりもまだ深く

是枝裕和の映画は、『そして父になる』を観ようと思いながら逃してしまい、この間テレビでやっていた『海街diary』を途中から観たくらいだったのだが、それがなかなか良かったので本作を観てみた。

本作は団地を舞台設定にしており、というか団地自体がある種の主役でもある映画である。

阿部寛演じるかつて文学賞をとったことはあるが、その後はものにならずに興信所勤めに身をやつす主人公のなんともいえないセコさも、そのガタイの良さと対照的な人間的な小ささがとても分かりやすくて、それに団地という設定に見事に噛み合った樹木希林演じるその母親もやはり強力である。この二人がやたらと会話で「アレ」を使うところとか、冷蔵庫の扉を開けるたびに小林聡美が見せるちょっとした所作などなんともおかしい。

「こんなはずじゃなかった」という台詞が本作では何度か使われるが、本作は決して観ていてため息をつきたくなるような悲惨さではなく、主人公のセコさと小ささのユーモア感覚が勝っており、登場人物の死などシリアスな事件はおきない。

個人的には樹木希林がうますぎて、逆にそのあたりのおさまりのよさに不満をもったが、別に貧乏にどん底に落ちるとか、家族を亡くすとかそういう悲惨を経なくても、現状を受容して日常に還っていくことはできるのを示す映画があってもよいだろう。

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