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スティーブン・ジョンソンの新刊は人類の偉大な成果としての「余生」がテーマとな

www.nytimes.com

かのスティーブン・ピンカーが、スティーブン・ジョンソンの新刊 Extra Life の書評を書いている。

Extra Life: A Short History of Living Longer

Extra Life: A Short History of Living Longer

  • 作者:Johnson, Steven
  • 発売日: 2021/05/11
  • メディア: ハードカバー

新刊のテーマはタイトルから分かる通り人類の「余生」がテーマで、「長生きの浅い歴史」という副題も楽しい。

しかし、長生きに浅い歴史しかないというのは本当のことで、ピンカーの書評も、ニューヨーク・タイムズ紙の購読者の平均年齢は約55歳だが(そうなのか!?)、人類史の大半の期間で平均寿命は約30歳だったという先制パンチから始まる。数世紀前までは、生まれてくる子供の4分の1以上が1歳の誕生日を迎える前に、約半分が5歳の誕生日を前に死んでたというのだ!

つまり、長寿はそれ自体が「人類史におけるもっとも偉大な成果の一つ」なんですね。豊かな国の平均寿命は、1880年までに40歳、1900年までに50歳、1930年までに60歳、1960年までに70歳、そして2010年までに80歳に達した。さらに書くと、平均寿命というのは短命の人が数字を押し下げるので、1950年に70歳を迎えた人の余命は9年だったのが、現在では16年まで伸びているそうな。

ジョンソンによると、長寿は十分に評価されておらず、また死因として戦争が過大評価されてきたらしい。そして、その死因に関する無知はこの一年で軽減されただろうとピンカーは書いているが、それがコロナ禍を指しているのは言うまでもない。

ジョンソンによると、最も多くの命を救った8つのイノベーションのうち6つが感染症への防御策らしい。それが何かは本(あるいはピンカーの書評の続き)を読んでいただくとして、それに化学肥料やワクチンをはじめとして、一部の人たちの反発を買うものが含まれるのも面白い話だと思う。

ピンカーは、ジョンソンが地道な成果を強調するあまり反英雄主義が行き過ぎているところもあると少し苦言を呈しているが、ジョンソンが優れたストーリーテラーであり、この新刊が重要な本であると認めている。

www.pbs.org

さて、フレッド・ウィルソンもこの本を取り上げているが、今回の新刊の刊行とほぼ時を同じくして、PBS で同名のドキュメンタリー番組も作られてるんだね。

予告編を探したが、なぜか BBC のチャンネルにしか見つからなかった。

『世界をつくった6つの革命の物語』(asin:4023315303)の原作が出たときもテレビ番組が作られてたっけ。

ティーブン・ジョンソンの新刊が出るとだいたいこのブログで何かしら取り上げているのに今まで気づかなかったのだが、近作の邦訳は「新・人類進化史」シリーズとしてまとめられているんだね(↓のように Kindle 版をまとめるページもできている)。

今回の新作も、内容的におそらくこのシリーズの一つとして邦訳が出ること間違いなしだろう。

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