当ブログは YAMDAS Project の更新履歴ページです。2019年よりはてなブログに移転しました。

Twitter はてなアンテナに追加 Feedlyに登録 RSS

別れる決心

本作と『BLUE GIANT』と『ワース 命の値段』のどれに行くか悩んだ末、Twitter で珍しく投票機能を使ってしまったが、自分が行くシネコンでのレイトショーの上映時間の関係で本作となった。

今回は珍しく同行者がいたので、観終わった後感想を聞いたら、一言「寝てた」と言われてしまった。このスリリングなサスペンス映画でなんで寝れるんや! と呆れたが、かく言うワタシも、この場面の後になんでこうなるの? みたいにストーリー的に分かっていないところが多々あるくらいなので、人にとやかく言う資格はない。

パク・チャヌクの作品は『お嬢さん』しか観ていないが、本作は彼の作品では暴力もセックスも抑制されているようだ。

ヒッチコックっぽいという事前情報があったが、刑事が容疑者である女性の生活を覗くところ『裏窓』みたいだと思っていたら、後半になって『めまい』だったのかと納得した(偶然だが、この2作とも3月に BS プレミアムで放送されます)。

サスペンスロマンスとしてとても濃厚な映画なのだが、かなりヘンなところもあって、執拗にスマホのロックを解除する描写が出るところもそうだし、本作ではスマホによる中国語⇔韓国語の翻訳が重要な役割を果たすが、予告編にも入っている「心」と訳すべきところを「心臓」と訳したがために生まれるギョッとする感じは分かりやすいが、翻訳機能や文法的な間違いが多用されたメッセージなどかなり注意が必要で、ワタシが理解し損ねているポイントがたんまりありそう。

そして重要なのは、2022年に作られる映画として上記に加えて、当然ながらカメラやマップなども含め、スマートフォンというテクノロジーの結集がごく自然に作品の中核に関わりながら、作中 SNS が一切登場しないところも本作の美点のひとつかもしれない。

本作は、刑事が容疑者の女性の生活を覗きながら彼女に寄り添う描写が多用されるが、一例をあげると彼女が泣いていると見せかけて笑っているように見えるところなど、実は観客が見たのは主人公の想像、つまりはミスリードもあるに違いないのでやはりそれにも注意が要る。

というわけで、ワタシ的にはかなり面白かったのだけど、上で書いた通り、文脈を分かっていないところが多すぎるので、これから町山智浩のアメリカ特電を購入して解説を聞きたいと思う。

[YAMDAS Projectトップページ]


クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
YAMDAS現更新履歴のテキストは、クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

Copyright (c) 2003-2023 yomoyomo (E-mail: ymgrtq at yamdas dot org)