クエンティン・タランティーノ、サム・ライミ、ギレルモ・デル・トロといった人たちがホラー好きなことはよく知られているが、マーティン・スコセッシが夜中に物音がしたときにどんな映画を連想するかについて意見を聞くことはあまりない――てな文章で始まる記事だが、確かにスコセッシにはホラーを作るイメージはないし(強いていえば『シャッター・アイランド』がちょっと近い?)、これまでホラー映画について語っていた印象もあまりない。
でも『ケープ・フィア―』や『救命士』にはホラーの要素があるし、スコセッシという映像作家がその要素を無視してきたわけではない。
で、そのスコセッシがお気に入りのモダンホラー映画として挙げた作品があるのだが、実はそれは黒沢清の『CURE』なのだという。これは知らなかったな。
これは DirectTV でスコセッシがレビューをやっていたときに取り上げたらしく、詳しい内容はレビュー全文を読んでいただくとして、スコセッシは黒沢清について、「光、フレーミング、間の取り方の絶対的な達人であり、この3つを非常に巧みに操るので、彼の映画ではフレームの隅のわずかな仕草が背筋をゾッとさせる瞬間がある」と評している。
個人的には、その後、「青山真治、篠崎誠などの監督とともに、彼は偉大な日本の批評家であり歴史家である蓮實重彦の教え子である」と書いているのに、スコセッシ、そんなことまで知ってんだ、と驚いてしまった。
そして、スコセッシは、黒沢清がロバート・アルドリッチの大ファンであることを指し、二人とも非常事態にある世界についての映画を作っており、暴力と混乱の美を生み出していると分析している。
スコセッシは、自分が観た黒沢清の映画はどれもお勧めできると言いながらも、『CURE』が(『回路』とともに)彼のもっとも恐ろしい映画だ、と書いてるわけですな。
実はワタシは『CURE』をずっと観たいなと思いながら、すごく怖そうで(そりゃそうだ!)ずっと観れておらず、数年前にようやく観て、確かにこれはすごいと思ったものである。
ただ、今の時代に観ると画質にまったく満足がいかなくて、そのあたりは 4K 修復版だと納得いくのかな。

