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映画『全身小説家』の思い出

「最悪の鑑賞後感を味わえる救われない映画作品」関連で、ライトワーズ・グッドテイルズに映画『全身小説家』が挙げられてあって、あの映画を観ておよそ十年になるのだなと懐かしくなった。

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原一男の代表作というと何と言っても『ゆきゆきて、神軍』ということになっている。しかし、あの映画のすごさはそのまま今年死去した奥崎謙三のとんでもなさなのだと思った人も多かっただろう。

しかし、『全身小説家』を観れば、原一男というドキュメンタリー作家も相当にすごいことが分かる。

この映画の製作記録である『全身小説家―もうひとつの井上光晴像』を読むと、原一男もかなり悩んであの映画を撮っていたのが分かるのだが、できた映画は冷酷ですらあった。一方で、井上光晴が癌摘出手術を受けた後、見舞いに来た埴谷雄高とのやり取りが意図せず面白いことになる場面など本当に可笑しい映画でもある。

十年前大阪でこの映画を観たとき、同時に原一男のサイン会もやっており、「全身映画監督」という文句とともにサインをいただいた『全身小説家―もうひとつの井上光晴像』は、ワタシにとっての宝物である。監督を前にして何も言えなかったのは情けない話であるが、あの映画を観た後でそう簡単に言葉が出なかったのである。

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