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フランシス・ハ

ワタシの住む街での公開最終日に間に合った。ノア・バームバックの映画を観るのは実は初めてだったりする。彼がくっついた(結果、ジェニファー・ジェイソン・リーとは離婚)グレタ・ガーウィグとのコラボレーションで、ちょっと色眼鏡で見てしまいそうになるが、そうしたものを跳ね返すコンパクトな佳作である。

ワタシは何の事前情報もなく、なんとなく『ハッピー・ゴー・ラッキー』のような主人公の映画なのかなと勝手に思っていたら、本作は部屋をシェアする親友同士のじゃれあいから始まり、ホントにそうだったとちょっと驚いた。ニューヨークを舞台にしたアート系の若者のちょっとシャレた生活を白黒で撮ったサブカル映画と思いきや、本作はその先、その親友との同居生活が終わるところから物語が始まるんですね。

ガーウィグ演じる主人公は、存在が全体的にちょっと中途半端で残念だったりする。バレーカンパニーに属するが研究生の立場だし、年齢より年上に見られて「27歳より上に見えるなら言って」と少し憤慨するものの、すかさず同居人に「27歳だって若いとは言えない」とやりこめられる。ガーウィグは紛れもなく美人なのだけど、同時にがっしりした感じで、セクシャルというか妖しい感じがまったくなく、先述の同居人には一貫して「非モテ」呼ばわりされる。

そんな彼女が徐々に生活に追い詰められていくのである。観ていてどうしてそこ正直に話さないんだと思うところがいくつもあるのだが、映画として深刻な感じにはならず、本作のちょっとヘンなタイトルの意味が分かるラストまで主人公はやはり中途半端で残念なのだけど、彼女が語る愛に求めるものが満たされる、目線だけで語られる場面は温かい気持ちになった。

本作で特筆すべきは、何と言ってもあの映画を思わせるデヴィッド・ボウイの "Modern Love" の使い方なのだけど、やはり主人公が走る映画に悪いものはない、と何の根拠もないことを改めて思ったりした。

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