『トレインスポッティング』も公開25周年になるのか。公開20年を経て製作された『T2 トレインスポッティング』は、前作を汚すような続編だけは絶対に作るまいという決意を形にした良い映画だったが、それだけになおさら思ったのは、『トレインスポッティング』がいかに鮮烈な青春映画だったかということ。
クエンティン・タランティーノの映画を観た時、自分たちの世代のための監督がようやく出てきたと思ったのだ。「私たちの」劇場であるシネマライズで、「私たちの」映画監督であるタランティーノの映画を観た。ひとつの時代に立ち会っているだけではなく、その時代を生きている。シネマライズで『レザボア・ドッグス』を、そして『トレインスポッティング』(1996)を観て、そんな臨場感を覚えた観客は少なくないだろう。この瞬間に、この場所で観ているからこそ、意味がある。そう感じさせてくれた映画体験だった。
あの時代や地域が生んだ映画文化、ミニシアター全盛期に思いを馳せる | cinemacafe.net
感性が鈍いワタシの『トレインスポッティング』体験は山崎まどかさんとはずいぶん違うのだが、彼女と同じ感慨を抱く人は確実にいるだろう。
さて、その伝説的な作品についての知られざる事実とのことだが、ワタシが読んで興味深かったのは以下のあたり。
- シックボーイ役のジョニー・リー・ミラーの当時の恋人だったアンジェリーナ・ジョリーが撮影中セットに入り浸っていたが、セットでローラーブレードで遊ばないようダニー・ボイルに言い渡された
- ダニー・ボイルが出演者に役作りのために観ておくよう指示した映画は『ハスラー』(asin:B004X3Z3IY)、『時計じかけのオレンジ』(asin:B003GQSYJO)、『エクソシスト』(asin:B00439G1AC)
- ユアン・マクレガーとジョニー・リー・ミラーが公園で犬を空気銃で撃つ場面は最終盤に撮影したもので、二人とも二日酔いで立てない状態だったため、地面に寝そべっての演技になった
- この映画はスコットランド訛りが強いため、アメリカ公開版は最初の20分吹き替えせざるをえなかった
- 当時無名の監督の低予算映画なので楽曲の使用が危ぶまれたが、デヴィッド・ボウイがイギー・ポップとルー・リードに口利きをしたおかげで "Lust for Life" と "Perfect Day" の使用許可を得た
- ユアン・マクレガーがアヘンの座薬のためにトイレに頭から突っ込む場面のうんこはチョコレートムース製
- トミー役のケヴィン・マクキッドが有名なオレンジ色の映画ポスターの中にいないのは、撮影日に休暇をとってたため
- オアシスがサウンドトラックに参加しなかったのは、本当にこの映画を「トレインスポッティング(鉄道おたく)」の映画だと早合点したから
デヴィッド・ボウイは本当に良い人だったんだなぁ……しかし、"Lust for Life" にしろ "Perfect Day" にしろ、この映画で使われた場面があまりにもはまっていて、それで楽曲自体の寿命も明らかに伸びたわけで、ウィンウィンとはまさにこのことだろう。
特に "Perfect Day" なんて、ルー・リードやデヴィッド・ボウイをはじめとする豪華メンツが揃ったチャリティソングに使用され、全英1位になるなんて『トレインスポッティング』なしには絶対なかったわけで。
そうそう、この映画にはトイレの場面以外にも強烈にうんこが出てくる場面があるが、そこでのうんこもチョコレートムースだったのだろうか?
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