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ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』におけるヴァージニア・ウルフへのオマージュ?

note.com

これは発見というか、ワタシが無知なだけかもしれないが、読んで驚いたので紹介しておきたい。

この note の最初に「桜町にある純喫茶ルパン」とあるが、実はこの喫茶店、ワタシの実家から徒歩圏内にあるのだが、それは余談である。

ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』の文庫化に合わせて、おそらくは日本の各地で行われているであろうこの本の読書会の話である。

ワタシも『百年の孤独』は文庫版が出るなり改めて買い直し、この機会を逃したら死ぬまで読めないだろうと気合を入れてようやく読破しましたよ。その後、Netflix によるドラマ版も、ついこの間完走した(第2シーズン以降ちゃんと作られるといいのだが)。

ワタシが面白いと思ったのは、ガブリエル・ガルシア=マルケスが影響を受けた作家にヴァージニア・ウルフの名前を挙げており、『百年の孤独』にも彼女のオマージュが含まれるという話である。

以下、長いが引用させてもらう。

ウルフの名作『三ギニー』は、サブタイトルを『戦争を阻止するために』とし、『自分だけの部屋』の続編として刊行されました。ウルフが、男性弁護士から戦争を阻止するために何ができるか?と質問され、3年越しに書いた手紙という形を取ったエッセイ(評論文)です。三ギニーとは、平凡社から刊行されたバージョンを翻訳された片山亜紀氏により、こう解説されています。
(女性の)「日々の生活に消えていく金額ではあるが、稼ぎ出すのにはそれなりの労力を要する」額であると。また、換算は難しいとした上で、さしづめ、現在の3万円といったところでしょうかと仮定している。
ウルフはそれを3つの非営利団体に1ギニーずつ寄付することで、戦争を阻止できるか実験的思考を展開させますが、3ギニーにそんな力はありません。
そして、姉妹編である前作『ひとりだけの部屋』には、「女性が小説を書くにはお金とひとりだけの部屋が必要」と語っています。
と、大雑把すぎる説明ですから、詳しくはぜひ本編をお読み頂きたいのですが、そのウルフが『百年の孤独』文庫版12ページにオマージュされているのを発見しました!
ウルスラがもしものためにと父から貰った金貨の内の3枚をベッドの下に隠していたのに、ホセがそれを易々と持ち出してメルキデアスの持ってきた道具の購入費にあててしまうのです。それによってホセはリポートを書いて当局に送り、人脈ができた上に、新たな興味関心を満たし得る学術書を貰い、天文学に没頭し、ついには「自分ひとりの部屋」まで手に入れます。汗水流して働く妻子を尻目にです。その時のウルスラの様子やこの不均衡は『百年の孤独』本文にてきちんと描写されます。
そう、『百年の孤独』はウルフから大きな影響を受けたガルシア・マルケスが書いているのです。疑いもなく!

マコンドの会発足|Book with Sofa Butterfly Effect

マジか! あの最初のほうにある3枚の金貨の逸話にはそういう意味があったのか。

ワタシが無知なだけで、ガルシア=マルケスやウルフを知る人なら皆知る話なのかもしれないが、この二人の作家を結び付けて考えたことがなかったので、これには驚かされた。

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