今度のアカデミー賞でアカデミー名誉賞を受賞するシドニー・ルメットが、名実ともに巨匠だった最後の頃の佳作である(つまり80年代中盤以降、彼は名ばかりの巨匠に堕したということなのだが……)。
元々舞台劇を映画化したもので、プロットのまとまりの良さ、どんでん返しの面白さは言うまでもなく、カメラワークも見事だし、役者陣もダイアン・キャノンの金切り声は癪に障るが、落ち目の劇作家を楽々と演じるマイケル・ケインも、後半サイコさん的本性を露にするクリストファー・リーヴも気持ちの良い演技をしている。
クリストファー・リーヴは昨年惜しくも亡くなったが、スーパーマンシリーズだけでなく、本作などの演技などもっと評価されてよいと思う(←紋切り型な言い回し)。