TechCrunch の「敵の敵は味方」は、憎みあってしかるべき Apple とマイクロソフトが、今では Google を共通の敵としていることについての文章である。
これを読んでワタシは自分が過去書いた二つの文章を思い出した。
一つは「マイクロソフトからGoogleに受け継がれる「悪の帝国」の座」で、これはかつて「悪の帝国」と言われたマイクロソフトの位置を今では(この文章を書いた2008年当時)Google が占めつつある状況について書いたもので、事態は確実に進んだわけだ。
もう一つは「インターネットプラットフォーム戦争:「インターネットOS」に一番近い企業はどこか」で、これは id:mame-tanuki さんの以下のツイートからの連想。
つまりティム・オライリーは、「一つの指輪」がすべてを支配する世界よりも主要プレイヤーが「緩やかに連携する」ほうをよしと考えていたわけだが、現実は「一つの指輪」を求めて争う結果、お互いが協力できるところでは協力しあうというきわどい均衡が成立しているようにも見える。HTML5 に DRM を持ち込もうとしている! と海外のニュースサイトで先週話題になったHTML5対応のコンテンツ暗号化APIの標準化の話のように、Google とマイクロソフトが協力する事例もあるわけで。
要は「敵の敵は味方」というのは局面ごとにどんどん変わるし、そんな単純なものではないということ。これから Facebook がターゲットになる局面も多くなるだろう。「マイクロソフトからGoogleに受け継がれる「悪の帝国」の座」でも引用したニコラス・G・カー先生の言葉を最後に再び引用しておく。
それに「敵の敵は味方」と言うが、私の記憶が確かなら、これはかつて合衆国政府がサダム・フセインについて言った言葉でもある。
マイクロソフトからGoogleに受け継がれる「悪の帝国」の座 | ワイアードビジョン アーカイブ