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6才のボクが、大人になるまで。

リチャード・リンクレイターというと、作品毎の当たり外れが大きい人と言われてきた。

しかし、どうだ。(日本公開の都合とはいえ)ほぼこの一年でブラックコメディの佳作『バーニー みんなが愛した殺人者』、シリーズ三作目にしてさらに作品のレベルが上がった『ビフォア・ミッドナイト』、そして本作と三本も優れた映画を観ることができた。

本作の場合、邦題の通り6歳だった主人公が高校を卒業し、親元を離れて大学に入るところまでの12年間を映画として描くという、似た企画を思いついた人はいるに違いないが、実際にやるとなると主役の負担がとんでもない手法である。本作を作るということは、ある意味主人公を演じる少年の少年期を引き受けないといけない。後にちょっとナンシー・アレンに似てくる主人公の姉を演じているのがリンクレイターの娘なのもそうした理由だろう(いやー、そうした意味で『ハリー・ポッター』シリーズはすごかったんだね。観たことないけど)。

これがちゃんと映画になるかはリンクレイターにとっても賭けだったのではないか。物語の展開もフレキシブルに対応しなければならないし、演出も即興的なところもあったろう。

166分の上映時間をもってしても、主人公の母親の三度目の結婚の顛末などすべてについてじっくり描けているわけではないが、しかし本作は、単にテキサス州に住むアメリカ人の少年が体験しそうなトピックをただなぞるものになっておらず、これだけの撮影期間をとりながらも映像にブレがなく、安定感がある。そして、主人公の成長(いい感じのいまどきのニーチャンになるんだな)と家族としての関係の変化をとらえきっている。

ジョブズの伝記など読んでも、アメリカ人の親にとって息子の高校卒業というのは格別のものがあるようだ。本作のラストは、親元を離れた主人公が時間についての実感を語るのだが、これこそ本作の締めに相応しいもので、本作はこの認識にいたるまでの旅だったと言えるだろう。

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