昨年のほぼ月刊山形浩生状態には及ばないものの、今年も何冊も訳書や監修本が出ている山形浩生の訳書の最新刊が今月末出るらしい。
- 作者: カル・ラウスティアラ,クリストファー・スプリグマン,山田奨治(解説),山形浩生,森本正史
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2015/11/26
- メディア: 単行本
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仮タイトルだけ見ると、佐野研二郎センセイに帯に推薦文を書いてもらうとピッタリに思えるのだが、訳者のコメントによれば、当然ながらそんな本ではないみたいだ。
著作権や特許で知財をギチギチ縛るだけでは創造性は発達しないという本。従来の本は、縛ることによる弊害を分析し、縛ってもイノベーションが増えていないことを指摘することで知財批判を展開していたけれど、本書はむしろ知財保護が存在しないのに創造性が華開いている各種の分野をあれこれ分析する。ファッションも料理もコメディも、知財保護は存在しないけれど、でも創造性は大いに開花している。それはなぜ? なぜこうした分野はコピーが横行してもみんな創造を続けるの? これを分析した本。いろいろ訳した系列の本として、楽しく訳せました。内容がアメリカにかなり寄っているのが難点といえば難点。アメフトのフォーメーションとか、スタンダップ・コメディとかの話はどこまで理解されるか……
Books that I wrote/translated
料理のレシピとフリーソフトウェアのアナロジーについてはリチャード・ストールマンがよく講演で引き合いに出すので分かるが、ファッションって知財保護ないんかね。