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サウルの息子

サウルの息子 [Blu-ray]

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今年は調子良く映画を観れていたのだが、いきなりいろいろあって忙しくなり、『スティーブ・ジョブズ』も『SHERLOCK』の映画も『ヘイトフル・エイト』も映画館での鑑賞を逃してしまった。ちょっと頭にきて、無理に時間を作って本作を観た。

いや、これはすごいね。いきなりピンボケの映像から始まり、カメラは絶対に俯瞰を撮らないという強力な意志をもって主人公を追い続ける。

とにかくこのカメラが強力で、主人公に関わる人も画面上にはピンボケの中からいきなり登場する形となり、観客はその状況の見えなさというか近視眼を身をもって体験することになる。撮影にはかなりの計算とリハーサルが必要だったろうが、一方で安易なホロコーストの物語化を拒否している。もっともこの方法論があまりにも強力すぎて、日常の疲れもあって、途中睡魔に襲われてしまったが……。

ナチスドイツによるユダヤ強制収容所において、同胞のユダヤ人をガス室に送り、死体処理などを行うゾンダーコマンドなる任務があること自体ワタシは知らなかったのだが、少しドナルド・フェイゲンに似た主人公は映画の中でほぼ感情を表に出すことはなく、その息子をユダヤ式に埋葬しようと奔走する。

それにゾンダーコマンドの反乱が絡むのだが、主人公の行動はそれに対して主に足を引っ張る役目を果たしており、彼はヒーローにはなりえない中で、映画はほとんど『トゥモロー・ワールド』の後半部のような怒涛の展開になるのだから、途中寝ておいてなんだが、これはやはりすごい映画である。

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