ワッシュさん(id:washburn1975)のベストテン企画には、過去ホラー映画、SF映画、音楽映画で参戦しているが、今回もそのつもりでありながら、どうしても10本選ぶのに苦しんで、苦しんでなんとか期限最終日(だよね?)に間に合わせた。
公開後に「なんでこれを入れなかったんだ!」「なんでこれがこの順位!」と後悔すること間違いなしなのだが、とにかくえいやで選んでおく(以下、公開年は基本的に日本基準)。
- マーティン・マクドナー『スリー・ビルボード』(2018年)
- クエンティン・タランティーノ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)
- アスガル・ファルハーディー『別離』(2012年)
- マシュー・ウォーチャス『パレードへようこそ』(2015年)
- マーティン・スコセッシ『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2014年)
- ジョージ・ミラー『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015年)
- 高畑勲『かぐや姫の物語』(2013年)
- ヨン・サンホ『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2017年)
- ダーレン・アロノフスキー『ブラック・スワン』(2011年)
- マイク・ケイヒル『アナザー プラネット』(2011年製作、劇場未公開)
それでは選んだ各作品について簡単に触れておく。
マーティン・マクドナー『スリー・ビルボード』(2018年)
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2018/11/03
- メディア: DVD
今回のリスト、入れたい映画はいろいろあるのだが、1位を何にするか軸が定まらず、困り切っていたところにこの映画を忘れていたのを思い出して、それだけで大分整理がついた。
ブレット・イーストン・エリスが指摘するように、その欠点を内包した政治性が忌避され、とってしかるべきアカデミー賞作品賞を逃した本作をこそ2010年代の1位にしたい。
クエンティン・タランティーノ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)
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- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
- 発売日: 2020/01/10
- メディア: Blu-ray
クエンティン・タランティーノの作品を入れないわけにはいかない。『ジャンゴ 繋がれざる者』でも『ヘイトフル・エイト』でもいいのだけど、最高傑作ではないだろうが、彼の映画でもっとも好きということで本作になる。
アスガル・ファルハーディー『別離』(2012年)
- 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
- 発売日: 2012/12/04
- メディア: Blu-ray
評判は聞いていたが、期待値を上回る出来であり、何より上質のエンターテイメントなのに驚いたものである。エンディングに映画館で「うぉぉぉっっ…」と小さく叫んでしまった映画はこれだけである。
マシュー・ウォーチャス『パレードへようこそ』(2015年)
これをこの高順位にあげるのは間違いなくワタシだけでしょう。理由は、この10年で観ながらもっとも泣いた映画だからということで(何しろ上映中の大半の時間泣いていた)、これは「泣き映画」「イギリス映画」枠です(どういう枠だ)。
マーティン・スコセッシ『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2014年)
2010年代のスコセッシの映画でもっとも感情的に揺さぶられたのは実は『ヒューゴの不思議な発明』なのだが、「泣き映画」枠はもう埋まったので、スコセッシらしいお道徳を超えたエキサイトメントを感じさせてくれた映画ということで本作が入る。
ジョージ・ミラー『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015年)
- 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
- 発売日: 2016/04/20
- メディア: Blu-ray
大半の人がこうしたリストに入れるであろう本作だが、実はワタシはあえてこれを入れたくなくて、しかし……と逡巡しているうちにものすごく時間が経ってしまった。やはり本作がいろんな潮目を変えた作品であり、ずーっとクライマックスという作劇も本作以降増えたよね。
高畑勲『かぐや姫の物語』(2013年)
- 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
- 発売日: 2014/12/03
- メディア: Blu-ray
「アニメーション映画」枠に何が入るかと考えた場合、『トイ・ストーリー3』か『この世界の片隅に』のどちらにするかかなり悩み、半ば後者で決まりかけていたのだが、やはりここは高畑勲の遺作となった本作を選ぶべきと脳内決定が下った。
ヨン・サンホ『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2017年)
- 出版社/メーカー: 株式会社ツイン
- 発売日: 2018/01/24
- メディア: Blu-ray
やはりこういうリストには「ゾンビ映画」枠が絶対必要だと思うのですよ。そうした意味で、『カメラを止めるな!』も『桐島、部活やめるってよ』(!)もかなり有力候補だったのだが、ジョージ・A・ロメロ先生に敬意を表して、ゾンビ映画の政治性の観点から本作になった。
ダーレン・アロノフスキー『ブラック・スワン』(2011年)
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- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2011/09/07
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何かエビデンスがあるわけではないのだが、本作は現在、公開時よりもはっきり評価が下がっているのではないか。それでもなお、ワタシは本作を入れたかった。多くの人この手のリストに入れるであろう『ソーシャル・ネットワーク』を外してでも本作を入れたところがワタシなりの主張である。
マイク・ケイヒル『アナザー プラネット』(2011年製作、劇場未公開)
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- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
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これも自信をもっていえるが、本作をこうしたリストに入れるのはワタシだけでしょう(笑)。ワタシのリストの他作品はすべて劇場公開時に観ているが、本作は日本では劇場未公開だったわけで、そうした意味で本作は「レンタルDVD」枠である。同じ枠での候補作は『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』、『エクス・マキナ』など。
やはり、『The OA』で最高に驚き呆れさせてくれたブリット・マーリングという人の出世作という意味もある。本作はある意味ネタバレな原題より邦題のほうが良い珍しい例。
以上のように、なんとか「映画テン年代ベストテン」を選んでみたが、入れたい映画はいくらでもあり、それは上の文中にもいろいろ挙げたが、他にも「ボンクラ映画」枠で『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』、「音楽映画」枠で『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』がかなり有力候補だったのは書いておく。しかし、それを言うなら他にも――と書いているとキリがないので、ここまでとする。