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告発リークサイトDDoSecretsの共同創始者はオンラインブラックマーケット「シルクロード2.0」の大物麻薬売人だった

www.404media.co

一次情報なのでリンクしたが、既に有料ユーザしか記事内容を読めなくなっているのであしからず。

告発リークサイト Distributed Denial of Secrets(DDoSecrets)のことは3年前に取り上げているが、これの共同創始者が、実はオンラインブラックマーケット「シルクロード2.0」を立ち上げた大物麻薬売人と同一人物だったという記事である。

いやぁ、現実はフィクションより奇なりと思ってしまう。

Cthulhu のハンドルで知られるトーマス・ホワイトは、Tor やダークウェブ方面の開発者、管理者として知られるが、およそ10年前に「シルクロード2.0」の首謀者として逮捕された。最近になって、彼が DDoSecrets との関わりを認めたという順序らしい。

記事を掲載した 404 Media は、Motherboard の編集長だった Jason Koebler ら4人が昨年立ち上げた独立系メディア企業だが、既に高い評価を得ており、ワタシも WirelessWire News 連載で取り上げるかもしれない。

thomaswhite.se

当のトーマス・ホワイトも、自身のサイトで 404 Media からの質問とそれに対する答えを公開している。

DDoSecrets には「アーキテクト」としての関わりのみで、DDoSecrets と Silk Road 2.0 の関わりは同時期だったのかという質問には、まったく重なってないと否定している。上記の通り、Silk Road 2.0 のため2014年に逮捕されているし、DDoSecrets に関わったのは2018年(から2019年4月まで)とのこと。

ワタシも DDoSecrets のことを「新たなウィキリークス」と紹介したが、彼のウィキリークス評も納得である。

ウィキリークスのアイデアは正しい方向を向いていたと思う。残念なことに、ジュリアン・アサンジのエゴがウィキリークスを毒してしまい、いたるところが私物化されてしまった。組織の機能が一人の人物にひどく依存してしまうと、その人やその行動で組織の生死が決まってしまう。彼に対する告発は、おそらくは正しいものだったのだろうが、皆にとって危険な前例を作ったと思うんだ。

で、この取材を行い、記事を書いたジャーナリストの Joseph Cox は、404 Media の共同創始者の一人だが、数か月前に Dark Wire という本を出したばかりである。

books.macska.org

日本でこの本について書いているのはエミコヤマさんくらいしか知らない。

「2018年から2021年にかけ、FBIが自らの関与を隠し「匿名性とプライバシー保護を重視して設計された安全なコミュニケーション・ツール」として世界中の犯罪組織に普及させたデバイスを通してかれらの情報を収集していた、法執行機関による史上最大のスパイ活動についての本」とのことで、彼がダークウェブと告発リークサイトの結節点であるトーマス・ホワイトに取材するのは不思議ではない。

彼の本にコリイ・ドクトロウアンディ・グリーンバーグが推薦の言葉を寄せているが、納得である。来年あたり、邦訳出ないですかね。

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