Internet Archive による Vanishing Culture が書籍化された。
(Kindle 版も出ているが、デジタル版は上でリンクしたサイトで無料ダウンロードできるので、ここではリンクしない)
この報告書については「アーカイブの危機とメンテナンスの大事さ」で昨年はじめに取り上げている……ってもう一年以上前になるのか。
しかし、なんで書籍化なのか。
書籍化を受けて Internet Archive がイベントを実施しているのだが、ブリュースター・ケールは、デジタル時代においても本という形態を愛し、永続的に保存するための「健全な本のエコシステム」を構築したいという思いから出版部門を立ち上げたと述べている。
『Vanishing Culture』が提起している問題は、以下の3つである。
- 「インターネット上のものは永遠に残る」というのはただの誤解で、多くの文化遺産が失われつつあるという現実
- 映像、音楽、電子書籍など現代のメディアは、消費者が「購入」したと思っても実際には所有しておらず、ストリーミング配信やライセンス契約により、企業側の都合でいつでも削除されるリスクがある
- パブリッシャーである企業が長期的なアクセスよりも短期的な利益を優先することも文化消失に拍車をかけている
この動画によると、『Vanishing Culture』の第二弾の制作が進んでいるそうで、一年後くらいには出版される予定とのこと。Internet Archive の出版部門は、今後も文化保存に関する書籍の出版を検討しているとのこと。
これも先週の記事だが、Pew Research Center の調査によると、10年前のウェブページの38%、および過去10年間にサンプリングされたページの約25%が現在ではアクセス不能となっているとのこと。Wayback Machine が保存しているのは、それらのうちの約15%とのことである。
Internet Archive が紙の出版に乗り出すというのは、そうした現状に対する危機意識があるのだろう。

