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ビッグ・フィッシュ

休暇だというのに朝早く目覚めてしまったので、一番早い回を観に行った。

なかなか良い映画、しかも感動するという評判を小耳に挟んでいたし、うっかり泣いてしまったときのことを考え、平日のそれも早めの回がよいだろうと思ったのだが――

うっかり泣いてしまう? 冗談じゃない。しっかり泣いてしまった。一人で観に行って本当によかった。終了後しばらくトイレで泣いたのだが、帰りの車の中でも泣き出してしまい運転に支障が出て困った。

上映時間は125分で、近年長尺化が進むアメリカ映画の中では、まあ標準範囲内といったところか。ちなみにこの長尺化は(大雑把な枠での)時代の流れに逆行していると思うし、その多くは単に編集能力の不足に違いない。90〜100分でかっちり終わるウディ・アレンを少しは見習いなさい……話が逸れてしまったが、最近では映画を観てても「あと1時間か」などと時間が気になったりするのだが、本作に関してはクライマックスになって「え、あと30分ぐらい残っていないの?」と驚いたくらいで、あっという間の125分であった。

ユアン・マクレガーという役者は、(悪く言えば)品のない顔をしており、『トレインスポッティング』のようにずっぱまりな作品もあれば、作品によっては存在が癇に障る場合もある。本作においてもそれが懸念されたのだが、彼よりもハンサムな役者があの役だったら、間違いなくイヤミになっていただろう。彼の老年がアルバート・フィニーというのも映画で観ると意外にすんなりくる。そしてそのアルバート・フィニーもまだまだ元気さを残しているのが救いになっている。

父親が少年時代に魔女の眼の中に見たと語る自分の死に様、果たしてそれはどのようなものなのか。確かにそれは観客の誰の予想もつかないものだろう。物語を語るということ、虚構と現実の関係……それらをティム・バートンは、彼一流の映像世界はそのままに、(こういう書き方を嫌がる人もいるだろうが)年齢相応の描き方をしてみせた。

音楽は例によってダニー・エルフマン。彼は元々オインゴ・ボインゴという変態バンドをやっていたのだが、どういうわけか映画音楽をやると下品で騒々しくイライラさせられることも多かった。それでも最近では大分マシな仕事ができるようになったようだ(見直したのは『メン・イン・ブラック』のオープニングあたりから)。また、ワタシは実はパール・ジャムのアルバムを一枚も持っていないのだが、本作のラストに流れる主題歌を聴き、一枚買ってみようかなという気になってしまった。そういえばこの間のアルバムの "I am mine" もいい曲だよなと思ったっけ。そういう時期なのかもしれない。

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