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いつどこから読み出しても没入できる長編小説ベスト3

さて唐突だが、ワタシの乏しい読書歴の中で出会った、いつどのページから読み出しても没入できる長編小説ベスト3を紹介しておく。

  1. レイモンド・チャンドラー『長いお別れ』
  2. カート・ヴォネガット・ジュニア『スローターハウス5』
  3. 色川武大『狂人日記』

帰省するときは必ず本を一二冊持ってかえって読もうとするのだが、読めたためしがない。それは枕元に『長いお別れ』と『スローターハウス5』があるからなのだなぁ。

「時間のなかに解き放たれた」構成をとる『スローターハウス5』は極端としても、『長いお別れ』も『狂人日記』も元は雑誌の連載小説で、細切れになっているのポイントなのだと思う。いずれも手にとり適当なページから読み始めるだけで、すぐにその中に入っていける(そして抜け出すのが大変である)。

『長いお別れ』は矢作俊彦『THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ』を語る際に引き合いに出されることも多いが、明らかに『長いお別れ』を読んだことがないのに「ハードボイルドなんてこんな感じでしょ」と読んだふりして書いている文章を見かけて苛ついたりする。畢生の名作であることはワタシがうけおうので、是非読んでもらいたいものだ。

狂人日記』は、これをはじめて読んだ、今よりも狂気を身近に感じていた大学生のときは、とにかく怖かった。今でもワタシにとって「今まで読んだ中で一番怖かった小説」でもあるのだが、現在は落伍者・劣等者として慰められるところがあるのも確かである。

自分は誰かとつながりたい。自分は、それこそ、人間に対する優しい感情を失いたくない。

狂人日記』は福武文庫版が入手できなくなっており悲しく思っていたのだが、講談社文芸文庫入りしていた。値段が高くなるのは残念だが、講談社文芸文庫は絶版にならない(はずな)ので喜ばしいことだと思う。

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