- 出版社/メーカー: 東北新社
- 発売日: 2001/09/26
- メディア: DVD
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「陶酔!ヘルツォーク」のおかげでようやくワタシもヘルツォーク初体験を果たした。本作が最初になったのは、単に当方の時間的都合の関係である。
本作は元々ジェイソン・ロバーズとミック・ジャガーの主演となるはずがいろいろトラブルが生じ、結局ヘルツォークと何度も組んでいるクラウス・キンスキーが呼び寄せられる形になったという話を聞いていたが、本作を観ると狂気のレベルで前進を続ける主人公はキンスキー以外考えらない。彼が全編通して着続ける白いスーツがとても印象的である。
河を上流にさかのぼる船や原住民など最初『地獄の黙示録』を連想したが、その展開はまったく異なる。本作は本当に船を山越えさせるのだ。その執拗な描写! そして、何より圧倒的な自然の力。
いくら舞台は19世紀末の南米とはいえ、本作が製作されたのは物質主義の80年代はじめである。それを思うと、とんでもない映画に思えてくる。主人公が原住民に氷を渡したとき、原住民の一斉に静まり返る、あの震えを覚える場面、冷静に考えるとストーリー的になんであそこでそれをやるのか分からんのだが、とにかくあの場面は映画史に残るものではないか。
何より本作の印象をよくしているのは、映画のラストにある。まさに大団円としか言いようがない、こんな気持ちの良い終わり方でよいのかと言いたくなる。本作は、一貫して主人公を信頼するクラウディア・カルディナーレもとても良いのだけど、何より晴れやかな彼女とキンスキーの笑顔がたまらない。正直、後から思うと映画としてだから何なんだと言いたくなるところもあるのだが、この大団円を見た後にはもう何の言葉もない。