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ウィキペディアの共同創始者が唱えるデジタル独立宣言、並びに非中央集権型ソーシャルネットワークの原則

ウィキペディアの共同創始者として知られるラリー・サンガーだが、システム的に Wikipedia への批判を内包したオンライン百科事典 Citizendium を立ち上げるもそんなに話題にならず、近年では今度はブロックチェーン技術を活用したオンライン百科事典を手がけているようだが、多分うまくいかないと思います。

その彼が7月4日から5日にかけて、非中央集権型ソーシャルメディアの開発促進と普及を旗印に「ソーシャルメディアストライキ」を呼びかけたが、それに応じた人はさほど多くなかったのではないか。

……と書くとただ彼をけなしているようだが、彼が書く「非中央集権型ソーシャルネットワークの原則(Principles of Decentralized Social Networks)」を読むと、「デジタル独立宣言」をぶちあげる彼の問題意識は、『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』での議論とも共通するものでワタシにも理解できるので、その部分だけざっと訳しておく。

  1. 我々自由な個人は、いかなる企業から許可を得る必要なしに、自分のデータを自由に公開できるべきだ。
  2. 我々は自分自身のデータを法的に所有することを宣言する。我々には、自分のデータをコントロールする法的、道徳的の両方の権利があるのだ。
  3. ソーシャルネットワーク上の投稿は、企業が独占支配するデータベースや何らかの中央保管所からではなく、電子メールやブログと同様に我々個人がコントロールするたくさんの独立サービスから提供可能であるべきだ。
  4. 並外れてよほどの事情がない限り、家庭でなされる私的な会話を盗聴する権利が誰にもないように、ユーザのプライバシー権もまた、犯罪者や企業や政府の監視から守られなくてはならない。従って、そのプロトコルは、私的なコンテンツには強力でエンドツーエンドの暗号化やその他のプライバシー慣行をサポートしなければならない。
  5. インターネットのドメイン名システムと同様に、入手できるユーザフィードのリストは技術規格やプロトコルのみに限定されるべきで、ユーザの身元やコンテンツに応じて変えてはいけない。
  6. ソーシャルメディアのアプリケーションは、ユーザ独自の判断で、まさに電子メールやブログがそうであるように、いかなるパブリッシャーも上位のネットワークにより特権を与えられることなく、共通のグローバルな規格やプロトコルに従って、他のあらゆるパブリッシャーに配信できるようにすべきだ。規格が独自なアプリケーションは、ユーザのデジタル権を侵害するものである。
  7. 結果的に、ソーシャルメディアのアプリケーションは、ユーザに決定された複数の独立したデータソースからの投稿を、ユーザの優先順位に従って統合すべきである。
  8. いかなる企業も、あるいは企業の小集団も非中央集権型ネットワークの規格やプロトコルを支配すべきではないし、中央集権化をもたらす単一のブランド、所有者、独占ソフトウェア、あるいはそれらと関連付けられたインターネット位置情報もあるべきではない。
  9. ユーザは、新しいネットワークに参加でき、また特別な技術スキルを持たなくても上で列挙した権利を享受できるべきだ。ユーザはとても簡単にプライバシーをコントロールでき、もっともプライベートなメッセージは自動的に暗号化され、技術に詳しくない人が使いやすいフィードや検索結果をコントロールするツールを利用すべきである。

ゆっくり訳文を練る時間がなかったもので、誤訳があったらすんません。

ラリー・サンガ―が標的とするのは言うまでもなく FacebookTwitter なのだけど、彼らは自身の権力を悪用し、ユーザのプライバシーと安全を侵害していると訴えている。

彼は Facebook の CEO であるマーク・ザッカーバーグに代表されるシリコンバレーの大物たちは「支配的すぎる」と批判しており、非中央集権型のソーシャルネットワークの普及を目指しているわけだ。

その実現は簡単なものではないだろうが、「もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて」を書いたとき、この議論がここまで一般的なメディアにも取り上げられるとは思わなかったね。

ネタ元は Slashdotその1その2)。

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