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イミテーション・ゲーム / エニグマと天才数学者の秘密

機内放送で字幕版を観た。

日本公開前なのでネタバレに注意……なのだけど、本作の主人公のアラン・チューリングに知識がある人なら、彼の「秘密」もその最期もだいたい知っているわけでねぇ。

その主人公アラン・チューリングを演じるのがベネディクト・カンバーバッチで、自らの才能への自負から傲慢に見られ、結果孤独に生きることになる天才という意味で『SHERLOCK(シャーロック)』での役柄と被るわけだが、もちろんあれほどユーモアは強調されず、彼のシリアスな演技がみれる。

マシュー・グッドが出てきたところで、『シングルマン』の連想で彼とカンバーバッチの絡みが見れるのかとときめいたが(笑)、それはさすがになかった。それでもマーク・ストロングチャールズ・ダンスなど英国人の男優たちが並ぶだけで素晴らしい画になる。

本作が扱うのは暗号の解読という地味なものなのだけど、マシュー・グッドらが演じるチューリングの同僚たち、キーラ・ナイトレイ演じるチューリングと婚約するジョーン・クラークとの関係を主眼とすることで面白く観れる。

チューリングらはエニグマ暗号の解読に成功するわけだが、それで一気に英国を救われる、万歳! とはならない。そのあたりはサイモン・シン『暗号解読』にも描かれていたジレンマだが、何を救うべきか冷酷に統計で決めたというところが図らずも現在的だったりする。それにチーム内の○○○や何より彼の「秘密」のため、暗号解読後もチューリングはジレンマに悩まされる。

映画の時間軸としては、そのエニグマ暗号の解読に取り組んだ第二次世界大戦時、少年時代、そしてチューリングが強盗にあって以降の三つが交錯するが、混乱するところはまったくない。青酸カリ、リンゴなどチューリングを知る人であればピンとくる要素のちりばめ方など賢しらだし、チューリングの具体的な同性愛描写がないことに少し不満はあるが、映画としてよく出来ていた。

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