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ジョセフ・リーグルの新刊『Hacking Life』はメタライフハック本か

3年前に「仄暗いウェブの底から」という文章で書いたが、ワタシがジョセフ・リーグル(Joseph Reagle)という人を知ったのは、Good Faith Collaboration という Wikipedia についての本を書いていたからだが、二作目はウェブのコメント欄を研究対象とするヘンな本で、この人面白いなと思ったものだが、その彼の三作目が来月出るのを知った。

Hacking Life: Systematized Living and Its Discontents (Strong Ideas)

Hacking Life: Systematized Living and Its Discontents (Strong Ideas)

Hacking Life って、要はライフハック本? えーっ、今さらだよね。それだったら彼が近年研究対象としているギークフェミニズムのほうが面白そうな題材なのに、と思ったのだが、この人のことだから、そんな単純な本ではないようだ。

ライフハッカーは、理解して最適化可能なアルゴリズムの規則であらゆるものを分解し、組み立て直せる部品からなるシステムだとみなすが、この本ではそうした生き方を体系化して、ライフハックが数多くの自己改善メソッドの最新版であることを、ベンジャミン・フランクリンの『貧しいリチャードの暦』からスティーブン・R・コヴィー『7つの習慣』やティモシー・フェリス『「週4時間」だけ働く。』までライフハックの歴史を分析しており、要はこれはメタライフハック本なんですね。

当然のことながら、ライフハックの功罪両方を扱ったものなのだが、ワタシが興味深いと思ったのは、対象とするライフハックの中にピックアップ・アーティスト運動まで入っていることで、これについては八田真行の「凶悪犯罪続発!アメリカを蝕む「非モテの過激化」という大問題」といった文章が参考になるが、日本でいえばいわゆる「恋愛工学」も対象ということですね。

速水健朗さんの本のような面白さがありそうだし、やはりこの人ヘンやとも思うのだが、今作こそ邦訳出てほしいけど、実際のところ難しいかねぇ。

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