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インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌

ネタばれを気にする映画ではないが、以下ストーリーにも触れているので、これから観る予定の人は注意してください。

公開初日に観に行った。コーエン兄弟の映画を映画館で観るのは『シリアスマン』以来である。もともとワタシはコーエン兄弟の映画が好きなのもあるが、むっちゃ良かった。

本作はフォーク歌手の自伝(asin:4152094567)をヒントにしているそうだが、ボブ・ディランがデビューしようかという頃のニューヨークのフォークシーンを舞台としている。個人的にはそんなフォーク音楽には思い入れはないのだが、T=ボーン・バーネットが関わっているだけあって劇中の歌唱は主人公をはじめとして見事で、その点も大いに満足だった。

ストーリーとしては、貧乏暮らしで知人、友人の家を泊まり歩く生活を送る主人公のフォーク歌手が過ごす一週間を追ったもので、主人公を演じるオスカー・アイザックという人は知らなかったが、基本的にひたすら困った目に遭う、しかし、大体自業自得なダメ男の主人公を好演していた。貧乏だけど貧相でなく、悲惨な目にあっても冷たい気持ちにならない。

途中からこれってコーエン兄弟版『ユリシーズ』(あるいは『オデュッセイア』?)だなと思っていたら、作中意外な形でその名前が出てきて笑ってしまった。円環構造というほどではないが、ラストになってオープニングの意味が分かるところも、一週間の漂白を経て、結局主人公のステータスは変わっていないことを示している。

あと本作は猫がちょっとしたコメディーリリーフの役割を果たしているのだが、こいつが実に良い演技をしている。と書いても未見の人には信じてもらえないだろうが、実に良い顔で何度か写っているのだよ。そういえば、コーエン兄弟の映画に久しぶりにジョン・グッドマンが出ていて嬉しかったが、割とどうでもよかった。

あとコーエン兄弟の映画にしては久々に台詞中の "fuck" の登場回数が多かったかも(笑)。

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