『SLAM DUNK』は原作も少しは読んでいたが、アニメのほうをよく見ていた。アニメは1993年に始まり、1996年春に終わったはずで、それはつまりはワタシの大学時代にすっぽり入っており、一人暮らしのアパートの部屋で週末見ていた記憶がよみがえる。
ただ、毎週必ずという熱心な視聴者ではなく、大学生生活も卒論制作の佳境に入ったあたりでテレビ自体から遠のいてしまい、原作にしろアニメにしろ最後どうなって終わったというのを知らなかったりする。
つまりワタシは『SLAM DUNK』に特別な思い入れはない人間で、本作の話を聞いたときも、声優変更などにネガティブな感情は特にない代わりに、この映画を観たいという強い感情は起こらなかった。のだが、自分の観測範囲で良い評判が聞こえてくるので、観に行った次第。
正直、なんで原作者である井上雄彦が監督、脚本まで手がけるんだというのがあったが、登場人物が手書きされ、それが動き出すオープニングを観ただけで、これは成功者の余芸ではなく、本気なんだと気持ちが盛り上がるものがあった。
本作は宮城リョータが主人公なんだね。原作よりもずっとシリアスな人物描写をしているが、それも原作者が年齢を重ねたからというのが大きいのではないか。
個人的には、そうした主人公の掘り下げの描写に特に惹かれるところは正直なかった。また掘り下げも宮城リョータに偏っておりバランスが良くなく、結局は原作を知る人前提になってしまっている。原作での最後の相手である山王工業高校との試合場面の画作りと動きに何より引き込まれたが、それだけでは映画にはならないのかねぇ。
評判は聞いていたが、試合場面がよくできていたな。間抜けな表現になるが、まるで実写を見ているような迫力とアニメーションならではの魅力を両方感じた。花道のダブルドリブルで思わず声出して笑ってしまったよ。