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ヒューゴの不思議な発明

ヒューゴの不思議な発明 3Dスーパーセット(3枚組) [Blu-ray]

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3D映画は過去『アバター』『トイ・ストーリー3』を観ただけで、その後は積極的に3Dでは観たくないと思っており、正直早くこのトレンドには死んでほしいとすら願っている。

しかし、マーティン・スコセッシの新作が3D映画としてとても良いという話を小耳に挟み、およそ一年半ぶりの3D映画観覧となった。ワタシは近眼なので3Dでは字幕も読み辛いだろうと吹替版を選んだのだが、ここまでこだわってる時点で何かおかしい気もする。

人工的な映像美や小道具が多い本作の題材は3Dに適していたと思うし、確かによくできていた。それでも3D映画鑑賞時に感じるフラストレーションはやはりあって、ワタシの考えを大きく変えることはなかった。

それでは一本の映画としてはどうかというと、自分でもまったく理由が分からないのだが、サシャ・バロン・コーエン演じる鉄道公安官が花屋の売り子に自らの足の話を一言したところで涙がこぼれ出し、以後は最後までずっと泣きながら観ていたため冷静に判断はできない(朝一の客の少ない上映でよかった…)。どうやら良い映画だったようだ。

本作の主人公ヒューゴは世界を機械にたとえ、その視点でみればこの世に無駄なものはなく、どんな人間にも存在意義と役目があるという考えを披瀝する。実はワタシ自身はこの考えをまったく支持しないのだが(だから不幸なのかもれない)、もっと自然に即した言葉で似た考えが披瀝される名画が他にもあったっけ。そう、フェリーニの『道』だった。あれも大好きな映画だ。

主人公の信念はこの映画の中で、「修理する、直す(fix)」という行為で表現される。それは彼の父親が残したオートマトン(偶然にも『謎のチェス指し人形「ターク」』を読んだばかりでよかった!)に始まり、失意の晩年をすごす駅のおもちゃ屋の主人、そしてただ主人公の邪魔をするだけのコメディリリーフでしかないと思っていた鉄道公安官にも及ぶ。

本作は、ジョルジュ・メリエスなど初期の映画人の作品に対する臆面もない映画愛を謳う映画である。ある登場人物は、自分が人生で学んだこととして「ハッピーエンドは映画にしか存在しない」と苦々しく語るが、本作はそれを覆さんとするファンタジーの傑作である。ストーリーは端的に言って破綻していたと思うけど。

個人的には、煮ても焼いても食えない『ギャング・オブ・ニューヨーク』でスコセッシの評価を大きく下げ、その後もオスカー狙いミエミエな映画を作っていると観もしなかったが、本作はこれまでとまったく作風が異なる、しかし、紛れもなく彼らしい映画愛を表現した映画を観れてよかった。ハワード・ショアのクラシカルな風格のある音楽は本作によく合っていた。

役者ではレイ・ウィンストンがしょうもない役をやっていて悲しかったが、ジュード・ロウに髪が残っていた。そうそう、クロエ・グレース・モレッツ『キック・アス』以来だけど、ホントこの人チャーミングな女優さんですね。

もう一度、今度はあえて2D字幕で普通に観たらどうだろう。

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