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おとなのけんか

『ゴーストライター』に続くロマン・ポランスキーの新作である。しかし、なんなんだこの三谷幸喜の映画みたいな邦題は。

舞台劇の映画化というのが一目で分かるつくりで、登場人物はほぼジョディ・フォスタージョン・C・ライリーケイト・ウィンスレットクリストフ・ヴァルツの二組の夫婦四人のみ。場所もほぼ前者夫妻の部屋のみというミニマルなつくりだが、さすがポランスキーというべきか、しっかり起伏を作っている。

映画は、木の枝で殴って歯を折る喧嘩をやらかした二人の両親が集まり、礼儀正しい話し合いをはじめたはずがいろいろあってやらかしてしまう文字通り「おとなのけんか」のみを描いた映画である。80分という短い上映時間というのを知っていたので、二組の夫婦が言葉を変えながらただ罵り合う映画だったらどうしようと思っていたが、そんな単純なものではなく、言い争いの中で他の不満点が混ざってしまう感じ、責められる立場が微妙に変わるうちに本来敵同士の立場な人に連帯感が生まれる感じをうまく表現していたと思う。

ジョディ・フォスタージョン・C・ライリーが、芸術を愛しリベラルな文明人たろうとしながら神経質さが顔をのぞく妻と鷹揚だけど男として旧態依然でガサツな夫といういかにもな役柄を演じていて、あとクリストフ・ヴァルツの嫌なヤツぶりも印象的。『イングロリアス・バスターズ』もそうだったけど、この人は慇懃無礼でふてぶてしい悪役をやらせると上手いなぁ。

映像的にあと一歩アクセントがほしい気がしたが、ぽかんとなる顛末までひきつけられたままだったし、その後の後味も良い映画である。

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