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アリスのままで

ワタシが好きなジュリアン・ムーアアカデミー賞主演女優賞を(ようやく)とった映画ということで、映画の種類としては、彼女にとっての『クレイジー・ハート』的な作品ということになるのかもしれないが、あれよりずっと良かった。

ジュリアン・ムーアというと、カンヌで女優賞をとった『マップ・トゥ・ザ・スターズ』でも、よくやるわという感じだったが、本作では若年性のアルツハイマー病を患う50歳の大学教授を見事に演じている。

本作の主人公はコロンビア大学言語学を教える教授で、これまでの人生をまさに言葉と論理で規定してきた、そしてキャリアと家庭を両立してきた聡明な女性である。そういう人が若年性のアルツハイマー病で言葉を失っていく恐怖は大変なものに違いない。

劇中にも(表現は正確ではないが)知的な人ほどアルツハイマーの進行が速いという話が出てくるが、彼女の徐々に失われていく記憶や知性が映像で表現されている。

本作の主人公は恵まれている、という見方もできるだろう。夫は医者で妻を見捨てるようなことはしない理解ある人物だし、3人の子供たちも何かとあれば彼女の元にかけつける。子供たちもほぼ自立しており、何しろ大学教授と医者の夫婦だから、経済的にも恵まれている部類に違いない。

本作では痴呆症の症状を哀しいユーモアも交えながら描いているが(アイスクリーム屋での夫婦二人の会話など)、家族にしろ本人にしろ、また経済的な問題にしろ、現実はもっと厳しいぞ、と言いたい人もいるだろう。しかし、それでも本作における主人公のスピーチの場面はやはりほろりときたし、子供たちの中で唯一経済的に独立できていない三女とのやりとりもよかったし、アレが一番最後にくる構成もグッときた。

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