映画『ブレードランナー』は2019年11月のロサンゼルスを舞台しており、つまりは『ブレードランナー』に現実のタイムラインが追いついたというか、『ブレードランナー』の世界は「未来」ではなく「過去」になるわけである。
『ブレードランナー 2049』は、なんで2049年かというと、『ブレードランナー』から30年後ということだったんですね。今さらだけど。
BBC の記事は、『ブレードランナー』は2019年の技術をどれくらい予言していたかを取り上げている。そういえば、『2001年宇宙の旅』にも『HAL伝説―2001年コンピュータの夢と現実』(asin:4152080957)という本があったのを思い出すが、『ブレードランナー』はどうか。
ロボット
まず現在のロボットは、映画における「レプリカント」には及ばない。しかし、AI(人口知能)がどんどん進化しているのはご存知の通りで、「セックスロボット」も現実化が見えてきている。
ビデオ通話
ビデオ通話は既に一般的になっている。しかも、『ブレードランナー』の描写と異なり、ネットサービスを使えばビデオ通話そのものにお金はかからない。
ホームアシスタント
音声操作によるバーチャルアシスタントも Amazon の Alexa などが実現してますな。
嘘発見器
『ブレードランナー』ではレプリカントを識別するのにフォークト=カンプフ検査が使われているが、現実の嘘発見器はその信頼性が疑われており、イギリスでは嘘発見器の結果は証拠として採用されないらしい(そうなのか!)。
地球の環境破壊
『ブレードランナー』で特徴的だったのは、クリーンな未来を描きがちだったそれまでの SF 映画と異なる、産業公害により荒廃したロサンゼルスの描写である。また地球からの移住を余儀なくされているという設定だが、現実は当然惑星間の移住はまだ実現していない。しかし、昨今の気候変動の行きつく先を、この映画のロサンゼルスの描写になぞらえたくなる人はいるだろう。
写真
記事の「Blade Runner ignores the Instagram generation」という見出しに笑ってしまったが、現実もポラロイド写真はしっかり残っているが、この映画のように捜査には使われない。
しかし、この映画で登場する、写真に写るものをズームしたり角度を変えてみたりするエスパー(Esper)マシンは未だに時代を先んじている。とはいえ、「瞳に映った景色」でアイドルの住所が特定された話を聞いて、エスパーを連想した人は多かったろう。
ヘアドライヤー
この映画で出てくるような、金魚鉢を逆さにしたような形状の、数秒で髪を乾かすヘアドライヤーは実現してませんな。
こうして映画の細部と現実をいくら比べても、あの映画の偉大さに近づけないというのはその通りなのだけど、あの映画が設定上「過去の世界」になるというのは不思議な気持ちになる。
ネタ元は Boing Boing。
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