普段映画は金曜夜にレイトショーで観るのだが、ワタシの住んでる地方では、本作の上映時間は朝10時台に一日一度だったため、通常の日曜日であればまだ寝ている時間にシネコンに出向くこととなった。
IMAX シアターは満席近く埋まっていた。もしかすると、この上映時間も高齢者シフトなのだろうか?
本作はレッド・ツェッペリンの初期にフォーカスしたドキュメンタリーなのだが、この手のドキュメンタリーなら入る、同時代の他のミュージシャンやレコード会社などバンドに近い人間の証言は完全に排されており、完全にジミー・ペイジ、ロバート・プラント、ジョン・ポール・ジョーンズ、そしてジョン・ボーナムの4人の言葉だけで語られていく。
これはレッド・ツェッペリンというバンドが、誰一人として欠けることが許されない、この4人の化学反応であることを本作の作り手が理解していることの証左だろう。レッド・ツェッペリンは、ライブはもちろん、レコーディングでもサポートミュージシャンをほぼ入れなかったことで知られる("Rock and Roll" や "Boogie With Stu" でピアノ弾いてるイアン・スチュアートなどがその数少ない例外)。
もちろん、本人たちの証言に限定することは、バンド初期のツアーについて言われてきたスキャンダラスな話題を回避する意図もあったろう(その手の話は、ロバート・プラントの口から少し聞けるだけ)。何よりジミー・ペイジは、そんな話よりただただツェッペリンの音楽だけに集中してほしかったのだろうし、その気持ちは分かる。
時期的には1970年はじめの英国での凱旋ライブ、アルバムは 2nd までになる。そのため映画の中で同じ曲が複数回流れるのだけど、その分これまで公開されてなかった貴重な映像で補っている。個人的には、もっと後のトップバンド然とした Zep の全盛期のライブ映像も観たかったけど、初期のがむしゃらな4人にフォーカスした分、だらけるところがなかった。
ワタシにとってレッド・ツェッペリンは、ロックの規範というべき存在なのだけど、その偉大なバンドに相応しいドキュメンタリー作品ができたことを喜ばしく思う。
この映画で語られる言葉に、彼らに対する認識を一変させられるようなものは特にない。が、ジョンジーの「(ジョン・ボーナムの)右足に惚れた」といった良い言葉がいくつか含まれている。そして、そのボンゾが他の3人のメンバーについて語る貴重な音声、そしてボンゾの言葉にそれぞれ穏やかに耳を傾ける3人の姿が映るラストにグッときた。
