今日の画像は Wikimedia Commons より Creative Commons Attribution ShareAlike 2.0 ライセンスで公開されている Shuets Udono さんの作品。
さて今回は、ロッキング・オン1991年10月号(表紙はアクセル・ローズ)における Carter The Unstoppable Sex Machine のインタビューを取り上げる。
彼ら(Carter USM という略称のほうが後期はポピュラーだった)の音は、「ペット・ショップ・ボーイズの曲にあわせて二人のビリー・ブラッグががなる」と表現されていたが、享楽的な打ち込みサウンドとイギリス社会の暗部を歌う時事的、政治的な歌詞の組み合わせが特徴だった。
やけっぱちなユニット名とあわせ最初は一種色物的な扱いも受けたが、『30 Something』(asin:B000007XVD)でポピュラリティーを獲得し、全英一位になった『1992 - The Love Album』(asin:B000007XVC)で頂点を極めた。
自分たちのことを「頭のイカれた左翼」と称する彼らなので、インタビューでの発言も容赦がない。インタビュアーの岩見吉朗も煽った質問をしている。
●じゃあ、今もしイギリスで三人、人を殺せるとしたら誰にしますか。
J「やっぱり、まずサッチャーだな。もう、いないとはいえ」
F「でも、あれだけ目茶苦茶なことをしたんだから処刑するだけの価値はある」
J「全くだね。それと、ルパート・マードックね。『サン』とか、たくさんのメディアを買いまくって支配してる奴で」
F「メディアをかきまわして新聞を無用の長物にしてしまった張本人なんだ」
J「あと、イギリス人じゃないけど、ヴァニラ・アイス。あいつとMCハマーは一緒の部屋に監禁して処刑するべきだよ」
彼らのインタビューを読み直し、ワタシは二つのことを感じた。
一つは、昔は単純に楽しんだこうした質問に今は抵抗を感じたこと。特にこれを読み直したのが、長崎市長銃撃事件やバージニア工科大学銃乱射事件から間もなかったこともある。でも、それだけではない。自分も歳を取ったのだな、と素直に思う。
そしてもう一つは、イギリスではサッチャーの次の次の首相がまもなく退陣し、ましてやヴァニラ・アイスやMCハマーなど誰も気にしなくなった現在もなお権勢を誇るルパート・マードックの強かさである。
しかも、今の彼は News Corp や MySpace を所有しネットにも幅を利かせるメディア王であり、ダウ・ジョーンズに買収を提案するなど話題にことかかない。
嗚呼、資本主義は強し。