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WirelessWire Newsブログ更新(クリストファー・アレグザンダーと知の水脈の継承)

WirelessWire Newsブログに「クリストファー・アレグザンダーと知の水脈の継承」を公開。

2022年11月にこういうウェブ連載を持っているなら、なにはともあれイーロン・マスクによる Twitter 買収を巡る騒動に書いていっちょかみする一手なのだろうが、正直この連載でそういうことをやる気持ちになれなかった。

少し前に「ウェブ広告とソーシャルメディアのアルゴリズムが変えたブロゴスフィア――書きたい記事から稼げる記事へ/見たいもの“だけ”を求める読者」という記事を読んだが、今何が「稼げる」か分かっていても、「書きたい記事」を優先したかったのである。

そうした意味で今回の題材は派手か地味かで言えば、間違いなく地味な「稼げる記事」でないのは間違いないが、前々からこれを書くことに決めていた。実は次回に書く題材も決まっていて、実は今回それがちょこっとだけ言及されていたりする。

『パターン、Wiki、XP――時を超えた創造の原則』について書くのはその刊行当時の Eternal Principle of the Inherited Mind 以来だし、シャノン・マターンについてもここで何度か取り上げているが、それらをまとめたような形である。

ツイッターが崩壊まっただなかだとして、いま我々がすべきこと、我々に必要なものは何か

scripting.com

おっと、このブログでは Twitter ネタやるよ!

Twitter が崩壊中だとするなら、我々はどうしたらよいか? デイヴ・ワイナーが必要なものとして挙げるのは以下のあたり。

  • フォローリストとフォロイーリストのバックアップ(をするためのハウツー文書)
  • Mastodon には、現在 Twitter がやってる負荷処理はできないので、それができるようになるまでをつなぐ開発者ガイド
  • 数か月単位で考えるなら、救命ボートのようなミニツイッターで友達が集まるのも可能かも。これをやるなら無料では済まないが、月8ドルよりははるかに安い
  • もう一つの可能性として、RSS を利用し、ブログを書くのに戻るというネット版「大地へ帰れ運動」だが、これなら今でも選択肢がある

彼がこれを書いて一週間以上経つので、もう少し状況は見えてきただろうか。「崩壊」後を見据えて他に要るものは何だろう? あと、ワイナーはジャック・ドーシーが立ち上げた Bluesky には期待してないみたい。

これにワタシが付け加えるとすれば、もはやまともなサポートエンジニアも残ってないらしいので、今のうちに一度投稿した全データをダウンロードしてバックアップしておくことか。あと「Twitterの投稿をMastodonに流す方法【2022年11月版】」も今需要があるのではないか。

さて、ワイナーが書く最後の選択肢については、ワタシも「個人ブログ回帰と「大きなインターネット」への忌避感、もしくは、まだTwitterで消耗してるの?」という文章を書いている。

後者の文章で著者の Alan Jacobs が嘆くのは、かつては自分にとって Twitter は玄関のポーチのようなもので、もちろんそこは外から見える空間ではあるが、基本的に知った人と交流し、時折そこを通りかかった人と会話を交わすような場所だったのが、ユーザベースが巨大になるにつれ、いきなり知らない人から汚い言葉を投げかけられたり、前後の発言も読まない文脈を理解しない反応やジョークにマジレスされるような騒々しく、愚かしく、悲しい S/N 比の低い場所になってしまったことです。ポーチにいるつもりが、気がつけばブロードウェイの真ん中にいたような。

個人ブログ回帰と「大きなインターネット」への忌避感、もしくは、まだTwitterで消耗してるの? – WirelessWire News

これを書いたのは8年前か。まさかその8年後にまだ Twitter で消耗してるとは想像もつかなかったな!

あと、もう mixi には戻れないみたい(↓については、未だ足あとゼロです!)。

人工知能など最新テクノロジーの力で我々は動物と話せるようになる?

www.vox.com

「研究者たちはドローン、AI、デジタルレコーダーを駆使して Google 翻訳の動物版を作ろうとしている」というサブタイトルが目を惹くが、要は AI やらの最新テクノロジーを活用して、人間が動物を言語的な意思疎通を行う研究が進んでいるということですね。

カレン・ベイカー(バッカーが正しい?)ブリティッシュコロンビア大学教授が The Sounds of Life でその最先端の試みを本にまとめている。デジタルテクノロジーというと、人間の自然からの疎外というイメージで語られがちだが、自然界とのつながりを取り戻すかもしれないというわけ。

動物が独自の「言語」を持っているというコンセプトについては科学界からの反発も大きかったそうだが、著者は人間が動物と話せるところまでいけると思っているようだ。

この記事における著者インタビューでは、ミツバチ、象、コウモリ、サンゴ(!)の事例が触れられているが、かつての人間中心のアプローチから離れた研究が行われているようで、これは面白そうだ。

関係ないが、今から20年前にイグノーベル賞平和賞を受賞した「バウリンガル」は先駆的だったんだねぇ。

ネタ元は Slashdot

楳図かずおが映画『エクソシスト』の公開当時に宣伝マンガを描いていたのか

www.vintag.es

いやー、これは知らなかったな。

楳図かずお先生が映画『エクソシスト』公開時にワーナーブラザーズ映画協力のもと宣伝マンガを描いていたのか。しかし、その割には結構ト書きの部分に疑問を感じるな。

これが楳図かずおタッチ全開で、最初のページから全開である。子供たちの映画への期待を高めもしただろうが、ホラーが苦手なお子さんには、映画本編でなくこれを見ただけでトラウマになったのではないかと心配になる(笑)。

ネタ元は Boing Boing

digital.asahi.com

楳図かずお先生というと、この朝日新聞の記事で語る「休筆を決めた瞬間」の話が、「あのウィキペディアに書かれている話は本当だったんだ!」と多くの人を動揺させた。

 「14歳」連載中の出来事ですが、新人の担当編集者が仕事場に入ってくるなり、「手はこうやって描くんですよ」と、とてもデッサンのきいたげんこつの絵を僕に見せてきました。僕は何も言いませんでしたが、その瞬間、この作品を最後にして、もう漫画を描くのはやめようと思ったんです。

 それまで頑張って作品を描いてきたつもりでしたが、ほめられることが少なかったということも大きかったですね。作品で賞をもらうようなこともあまりなかったですし。けなされる、たたかれるばかりでは、こちらもやってられません。日本って、人を伸ばすのがへたくそなんだと思います。ほめられると、やっぱりやる気になるんですよ。

楳図かずお、休筆を決めた瞬間 あのハウスへの思いも語る [人生の贈りもの]:朝日新聞デジタル

この秋、あべのハルカス美術館「楳図かずお大美術展」が開催中だが、残念ながら今夏に大阪の地を離れたワタシは観に行けず、とても残念に思っている。ワタシの住んでるところでもやってもらえないものだろうか。

話を元に戻すと、映画『エクソシスト』はワタシ的にオールマイベストの一つであり、今はオリジナル版とディレクターズカットの両方を収録した Bluray が安価に買えるので、一家に一枚をおすすめします。

ジョナサン・ハイトらの『傷つきやすいアメリカの大学生たち』と刊行が続く「反ポリコレ本」

yamdas.hatenablog.com

ジョナサン・ハイトとグレッグ・ルキアノフの共著『The Coddling of the American Mind』を取り上げたのは2021年はじめで、なにしろ翻訳会社のオーディション課題になっていたので、テキパキと訳者が決まって翻訳作業が本格化し、その年の後半には邦訳が出るだろうと書いたものである。

しかし、取り上げてからも2年近くが経ってしまった。ふと思い出して調べてみたら、今月末に『傷つきやすいアメリカの大学生たち: 大学と若者をダメにする「善意」と「誤った信念」の正体』の邦題で出るのを知った。

ジョナサン・ハイトと言えば、今年 The Atlantic に寄稿した Why the Past 10 Years of American Life Have Been Uniquely Stupid日本語訳解説)も話題になったね。

『傷つきやすいアメリカの大学生たち』は、少し前に話題になったノア・スミス「エリート過剰生産仮説」レイトン・ウッドハウス「ザ・ルンペンブルジョワジー」あたりとも接続できるかも、とか書くと怒られるだろうか。

ただ、ベンジャミン・クリッツァーさんのツイートを見ると、今年日本で「反ポリコレ本」がいくつも翻訳されており、『傷つきやすいアメリカの大学生たち』もその一つに位置づけられるらしい。

『「社会正義」はいつも正しい──人種、ジェンダー、アイデンティティにまつわる捏造のすべて』も今月出るのか。

アムステルダム

久しぶりに映画館に出向いた。デヴィッド・O・ラッセルの映画を観るのは『アメリカン・ハッスル』以来か。公開初日に行ったのだが、両隣の席が空いた列を探したら最後列になった、くらいの客の入り。

本国での批評家受けがすさまじく悪いのでどうなんだと思ったら、これが良い映画かはともかくとして、ワタシ的にはかなり好きな映画だった。

この映画の批評家受けが悪いのは、陰謀論の扱いがあからさまというか、自分たちが批判しているものの裏返しに思えて気恥ずかしさを感じたからだろうか。そんなのよりも画の作りこみや撮影の妙を、その上でクリスチャン・ベールマーゴット・ロビーらの見事な演技を楽しむ映画でしょう。いやー、マーゴット・ロビー、ステキでした。

それにしても豪華キャストの映画だし、しかも、2022年の現在、アメリカ映画界でもっとも輝いているアニャ・テイラー=ジョイが悪役をやっているのだからたまらない。

しかしなぁ、ジョン・デヴィッド・ワシントンって文句なしにハンサムでかっこいいのだけど、『TENET テネット』以上に物語の狂言回しの役から絶対にはみ出ることのない過剰さの欠如というか無感情な佇まいは、これも一種の才能なのかと不思議になる。この映画で常に首を斜めに傾け続ける立ち姿だけで磁場を発するクリスチャン・ベールと比べてどうしてもそれを感じたりした。

メッセージングアプリSignalが暗号化で妥協しない理由を新プレジデントが語る

www.theverge.com

Vergeに、9月に Signal Foundation のプレジデントに就任したメレディス・ウィッタカー(Meredith Whittaker)のロングインタビューが掲載されている。

インタビューの前説でも触れられているが、彼女は(ケイト・クロフォードとともに)AI Now Institute の共同設立者であり、GoogleAI倫理委員会の解散を求めて抗議活動を行ったことで知られる。

そんな一見企業のトップ向きには思えない彼女だが、このインタビューで知ったのだが、メッセージングアプリの Signal って Signal Foundation という非営利団体によって運営されていて、Signal 自体も非営利的というか、利益や成長を優先して無理するインセンティブがないという。

このインタビューでもっとも興味深いのは、やはりタイトルにもなっている Signal が暗号化で妥協をしないところである。iMessage や WhatsApp との比較を聞かれているのだが、WhatsApp の共同創業者のブライアン・アクトン(Brian Acton)は、今は Signal Foundation にいるんだね。

そこのあたりを少し長くなるが訳してみる。

それでは、WhatsApp を具体例にしてみましょう。繰り返しになりますが、WhatsApp は Signal 暗号化プロトコルを採用しており、メッセージは暗号化されます。それはブライアンと彼のチーム主導の間違いなく先見の明のある選択でしたし、それは大いに賞賛します。しかし、メッセージ保護だけで終わってはいけません。WhatsApp は Signal のようにメタデータを保護しません。Signal は、あなたが誰かをまったく知りません。プロフィール情報を保有しませんし、グループ暗号化保護を導入済です。あなたが誰と話しているか、グループメンバーに誰がいるか、我々は知らないのです。メタデータの収集を最小限にすることで遥か上をいっているわけです。

他方、WhatsApp はプロフィール、プロフィール画像、誰が誰と会話をしているか、誰がグループのメンバーかの情報を収集しています。それは強力なメタデータです。一企業が Meta/Facebook によっても所有されるデータを収集するのはとりわけ強力――ですし、これこそ我々が構造的議論に立ち戻らなければならないところ――です。Facebook は大量の、まさに言語を絶する量の、全世界の何十億もの人たちの私的な情報を所有しています。

WhatsApp のメタデータが容易に Facebook のデータに接続可能で、人々の極めて私的な情報をたやすく暴露しかねないのは取るに足らない話ではありません。WhatsApp が暗号化プロトコルを除去するか、拡張するかの選択は、やはり Facebook の手にあります。メッセージの暗号化全般について語るなら、その組織がどんなもので、実際には誰がこうした決定権を持っているか、あまり議論されない細かい点について構造的に検討しなくてはならないのです。

繰り返しになりますが、Signal は非営利です。我々は Facebook のようにデータにアクセスしません。そうしたデータへのアクセスを避けているのです。あなたのデータを買ったり、売ったり、取引はしません。パラダイムが違うのです。いかにマーケティングが洗練されていようが、WhatsApp が真に安全でプライベートだとは言えません。ディテールを総合すると、そうでないと結論づける必要があります。つまり、Signal はそのためだけに存在するのです。

これはインタビューのはじめのほうで、この後にもこれを読んで知る情報がいくつもあった。従業員は40人くらいで、大半が開発者とのこと。Signal をブロックしている中国の市場に参入するために妥協するつもりは一切ないらしい。あと Signal もストーリーズ機能を提供するとな。

ネタ元は Schneier on Security。そうそう、ブルース・シュナイアーは昨年、Signalの暗号通貨による送金機能の追加に苦言を呈していたが、このインタビューでその話は一切なく、シュナイアー先生は Signal を今も毎日使っていると書いているので、この話は取り消されたのかな?

ドキュメンタリー映画『クリムゾン・キングの宮殿:キング・クリムゾン・アット50』日本盤が年末に出るのだが……

ameblo.jp

キング・クリムゾンについての情報は、DGM Live 本家が非常に活発に情報発信していてそちらで十分だったので、実は DGM ジャパンのオフィシャルブログがアメブロでやってたなんて知らなかった。

ドキュメンタリー映画『In the Court of the Crimson King』の話はここでも何度か触れているが、今年末に日本盤も発売されるということで、それ自体は喜ばしい話である。

しかし、ここで書かれている話はなかなかシビアだったりする。

ここ2年ほどの間にキング・クリムゾン関連商品の売り上げは大きく減少しております。今回のパッケージのような高額商品のセールス状況は全盛時の50%以下という厳しい状況に直面しています。

クリムゾン・キングの宮殿:キング・クリムゾン・アット50 デラックス・エディション日本盤情報です | king-crimson-dgm-japanのブログ

結果、国内プレス2ブルーレイ・ディスク+4SHM-CDのパッケージを製造しチェーン店施策費・宣伝費を差し引いて出荷価格(税抜き価格の75%)の10%の利益を得るためには税抜き2万円以上の価格設定をしないと達成できないことがことが判明いたしました。

クリムゾン・キングの宮殿:キング・クリムゾン・アット50 デラックス・エディション日本盤情報です | king-crimson-dgm-japanのブログ

そこまで明らかにしますか……。

というわけで、デラックス・エディションは文句なしにデラックスなのだが、ワタシは……うーん、通常盤を買いますかね。ごめん!

それはともかく、ということは映画館でこの作品を鑑賞する機会は日本ではもうないのかねぇ。それが実現したらぜひ観に行きたいのだけど。

マーロン・ブランドがクリストファー・ウォーケンに奇妙なダンス番組の企画を持ちかけていた

faroutmagazine.co.uk

この話は知らなかった。

20世紀を代表する名優のひとりであるマーロン・ブランドが、そのキャリア末期の1990年代にクリストファー・ウォーケンにある企画を持ちかけていたというのだ。

ウォーケンによると、それまで会ったことのないブランドが、ミュージカルバラエティショーを売り込む電話をかけてきたという。ブランドが司会で、ウォーケンはゲストにダンスをさせるという役回りとのこと。

なんで普通に映画での共演の企画じゃないんだよ……とどうしても思ってしまうが、それでもこの番組が実現していたら、そりゃ絶対見てみたかったよね! しかし、(おそらくひどく面食らったであろう)ウォーケンはこのオファーを断ったという。

ブランドがウォーケンに企画を持ちかけたのは、ウォーケンが既に映画で何度か踊りを見せていて、ブランドがそれを観ていたからに違いないが、しかし、マーロン・ブランドが司会のミュージカルバラエティショーってなぁ……。

ご存じの通り、21世紀に入ってウォーケンは、ファットボーイ・スリムのビデオでの見事なダンスで世界を驚かせたわけだが、もしかしたらブランドには彼のダンスの可能性が見えていたのか?

マーロン・ブランドと言えば、彼が映画『ゴッドファーザー』で2度目のアカデミー主演男優賞を受賞したときに壇上で、ハリウッドの先住民族に対する扱いに抗議して受賞を拒否するスピーチを行ったサチーン・リトルフェザー氏が75歳で逝去している。彼女はネイティブアメリカンの活動家とされてきたが、実はそれは嘘だったという話が彼女の死後に出ており、なんだかなという気持ちになってしまう。

『コブラ会』で復活したラルフ・マッチオがダニエル・ラルーソーを受け入れるまでを回顧録で語る

www.nytimes.com

コブラ会』はシーズン4までとても楽しく見せてもらったが、先ごろ Netflix で配信されたシーズン5はもういいかなとパスする予定。

コブラ会』は映画『ベスト・キッド』で敵役で敗者だったジョニー・ロレンスが主人公のドラマだが、『ベスト・キッド』で主人公ダニエル・ラルーソーを演じたラルフ・マッチオにとっても復活作となった。

そのラルフ・マッチオ回顧録 Waxing On を出している。

映画『ベスト・キッド』を観た人なら、この「ワックスがけ」というタイトル自体がそれに由来することが分かるのだが、「The Karate Kid and Me」という副題も、吹っ切れ具合が伝わる。

ラルフ・マッチオも『ベスト・キッド』で一躍スターになり、映画『クロスロード』で主演を張り、ブロードウェイの舞台ではロバート・デ・ニーロと共演するなど好調だったが、当たり役の『ベスト・キッド』の続編をこなすうちにキャリアも下降線というアイドル俳優のよくあるパターンを辿ってしまう。

逃した好機もあり、巨匠シドニー・ルメットの『旅立ちの時』で「重要な役」をやれるチャンスがあったのに、撮影時期が『ベスト・キッド』の三作目と重なってしまい、役を逃したのには大きなフラストレーションを感じたようだ(『旅立ちの時』で主役を演じたリヴァー・フェニックスが、アカデミー助演男優賞にノミネートされたのでなおさら。余談だが、この『旅立ちの時』、偶然にも今夜 BS プレミアムで放送されます)。

90年代には二人の子供に恵まれ、充実した家庭生活を送るも、特筆すべきは『いとこのビニー』くらいで、だんだんと俳優としては忘れられた存在になってしまう。マッチオはその低迷期も自分自身をクリエイティブに充実させ、成長し続けたと語っており、その前向きな姿勢は偉いよね。ワタシだったら、絶対ドラッグにはまってるよ。

そして、『コブラ会』で(ジョニー・ロレンス役のウィリアム・ザブカともども)復活を遂げるわけだが、疎ましくも思った時期もあったろう『ベスト・キッド』のダニエル・ラルーソーこそが自分にとっての当たり役なのだと明るく受け入れ、還暦を迎えている。いい話じゃん。

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その46

一年以上ぶりにやりますよ、『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』反応エントリ!

WirelessWire News 連載が復活し、もう『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』のことはいいかとも思ったのだが、恐ろしく久しぶりにエゴサーチをして Kobori Akira さんがこの本の名前を出してくださっているのに今さら気づいたので取り上げさせてください。

別別ジャンだけどもうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来もめちゃくちゃ気になる。数年ぶりに本を買い込む時期が訪れたのかも。

アジャイル収納 | koboriakira.com

これが7月末のエントリなので、その後購入されてくださっていたら嬉しいのだが。

さて、ひと月前くらいには Twitter でも @LineReading さんに反応いただいていた。

検索でワタシのブログにいきつき、ワタシの存在を思い出してくださり、Kindle 版を購入いただいたようだ。ありがたいことである。やはりブログは書いておくものだ。

そうそう、Kindle 版にはボーナストラックのエッセイ「グッドバイ・ルック」が含まれていないので、Kindle 版の読者の方はメールをいただければ送ります。

ウィキペディア的に信頼できる/信頼できない情報源一覧が壮観だ

Wikipedia 英語版にはよくこんな情報をまとめているなと思うものがあったりするのだが、そうしたものをまた一つ知ってしまった。

Wikipedia:Reliable sources/Perennial sources だが、北村紗衣さんも書かれている通り、ノートでのディスカッションに沿ってまとめたリストなんですね。いわゆる一般的なニュースソースだけでなく、テック系、エンタメ系など網羅されていて壮観である。

基本的に歴史のあるニュースソースは信頼できることが多いが、いくら歴史はあってもデイリーメールや Sun はダメとか、まぁ、そうでしょうねという感じ。いわゆる CGM の点は総じて辛いが、これは百科事典の情報源としては構造上仕方ないよね。

よく見ると細かい分類がなされていて、Guardian 本体は信頼できるけど、Guardian のブログはそうじゃないよとか、ハフポストは政治以外では信頼できるけど、政治に関しては留保がいるし、寄稿ものはダメよとか区分があるものもある。

ワタシもデマサイトにひっかかったことがあるし、英語圏以外のニュースサイトは知らないことが多いので、例えばウクライナ方面の話題とか Twitter で取り上げる際にはこのページで参照したほうがいいのだろうな。

そういえば日本ファクトチェックセンターとやらが開設早々いろいろツッコミを受けているが、オカルト検証番組化するくらいなら、この「信頼できる/信頼できない情報源一覧情報」の日本語版のほうが意味があるのではないか。でも、それを作ろうとすると、それはそれでまた血を見ることになるかもしれないが。

ボブ・ディランがポピュラー音楽論の新刊を来月出す

www.nytimes.com

ボブ・ディランが新刊を出すというので、『ボブ・ディラン自伝』(asin:4797330708)の続編かと思ったら(あの自伝の原題は『Chronicles: Volume One』なのよ)、そうではなく The Philosophy of Modern Song とのこと。

書名から自分の楽曲について語る本かと思いきやそうではなく、ディランが重要だと思う65もの楽曲(とひとつの詩)についての60ものエッセイからなる本で、ボブ・ディランのポピュラー音楽論ということですね。2010年以来取り組んできた本とのこと。その中にはブルーグラスヘヴィーメタルとの関連性について論じたものもあるって、マジで?

このニューヨーク・タイムズの記事では、フランク・シナトラの「夜のストレンジャー」とザ・フーの「マイ・ジェネレーション」についての文章が抜粋されている。しかも、後者のオーディオブック版の朗読者はオスカー・アイザックだ!

これは間違いなく来年邦訳が出るだろうね。で、上で彼の自伝の続編について触れたが、Amazon を調べてみたら、2027年末に発売予定になっていた。5年後に刊行予定の本のページなんて初めて見たよ!

英国放送協会で放送された偉大な音楽パフォーマンス100選

www.theguardian.com

英国放送協会BBC)のテレビやラジオで放送されたもっとも素晴らしい音楽パフォーマンスを Guardian が100個選んでいるのだが、こういう記事を見ると、BBC は偉大だよなぁとどうしても思ってしまう。

一応、番組名の初出時にフルネームが書かれているが、そうでなくても TOTP と書けば Top of the Pops だし、OGWT と書けば The Old Grey Whistle Test だし、Later と書けば Later... with Jools Holland(ジュールズ倶楽部)だし、あとジョン・ピールPeel sessions など、もはや文化遺産である。

近年は本家も YouTubeBBC MusicBBC チャンネルなどで映像を公開しているが、多くの放送音声(映像)がおそらく無許可で YouTube に公開されており、それに遠慮なくリンクして記事が書かれている。

新旧のパフォーマンスから広く選ばれているが、いくつかワタシも取り上げておこう。

ビートルズエドサリヴァン・ショー出演に匹敵する」エドガー・ライトが語るスパークスの TOTP でのパフォーマンス。キメキメだ。

その年の末に腹立たしくも悲劇的な死を遂げてしまったカースティー・マッコールの生前最後のパフォーマンス映像。

これを15位に選んでいるのが英国人らしい。なぜか日本のお寺で口パクパフォーマンスをするスパイス・ガールズ

もはやワタシが何か付け加えるまでもない、力強く素晴らしいジョイ・ディヴィジョンのライブ映像。

1位はやはりこれなんですね。このパフォーマンスの中ほどでボウイはカメラに向かって指をさすのだが、それに「この人はわたしに指をさした!」と衝撃を受けた若い視聴者が多かったという話を何かで読んだ覚えがある。

BBC 6Musicのブロードキャスター、マーク・ライリーはこうコメントする。「ボウイのTop Of The Pops出演が、英国音楽史における極めて重要な瞬間であったことは間違いないだろう。76年に行われたマンチェスターのLesser Free Trade Hallでのセックス・ピストルズと同じように、彼のパフォーマンスはそれまで人生の生きがいを見つけ出すのに苦しんでいた何千もの子供たちの導火線に火をつけたんだ」。

英音楽番組“TOP OF THE POPS”で「スターマン」をパフォーマンスした日から50周年を記念して、この伝説的TVパフォーマンス映像がHDとなって公開に! | David Bowie / デヴィッド・ボウイ | Warner Music Japan

あとこのビデオで、ボウイの後ろで夢見心地の表情でふらふら身体を揺らせているセーターを着た少年にフォーカスして書かれた期間限定公開文章を読んだことがあるが、あれもう一度読みたいな。

艾未未(アイ・ウェイウェイ)の自伝の邦訳『千年の歓喜と悲哀』が12月に出る

yamdas.hatenablog.com

およそ一年前に艾未未アイ・ウェイウェイ)の新刊を取り上げたのだが、12月に『千年の歓喜と悲哀 アイ・ウェイウェイ自伝』として邦訳が出るのを知る。

迅速な邦訳刊行は喜ばしいが、そういえばアイ・ウェイウェイは今年の高松宮殿下記念世界文化賞を受賞していたんだった。

courrier.jp

アイ・ウェイウェイに関する記事では、これも少し前に話題になった。この記事で語られる彼並びにその父親が受けた過酷な扱いは、『千年の歓喜と悲哀』に存分に記されている。

この記事でも語るように彼は「根っからの反体制派」だが、その姿勢は中国政府以外に対しても変わらない。

──とくに米国がそうだったと思うのですが、西洋諸国の中国に対する見方がおめでたかったのではないでしょうか。

おめでたかったというよりも、血の臭いに引き寄せられる怪物のように、資本主義の本性をむき出しにしていました。資本主義は決して品のいいものではありません。申し訳ありませんが、これは客観的な事実です。

欧米人は、寛大さとおめでたさをしばしば混同します。しかしここでは、それはまったく関係ありません。なぜなら欧米人がつねに狙っていたのは利益を得ること、お金を稼ぐことだったからです。

アイ・ウェイウェイ「西洋における人権の概念も、偽善的なところがある」 | 国を超えた普遍的価値が必要だ | クーリエ・ジャポン

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