当ブログは YAMDAS Project の更新履歴ページです。2019年よりはてなブログに移転しました。

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はてなブログでasin記法が正しく機能していないところがある(解決済み)

少し前もはてなブログからのはてなダイアリーへのリンクの飛び先がおかしい現象を指摘して修正してもらったが、またおかしな挙動を見つけてしまった。

なお、以下説明する現象については、4月16日21:55:22の時点で問い合わせ済なので、本エントリが公開時点で既に直っている可能性があることにご注意いただきたい。

昨年8月に書いたこのエントリを例にさせてもらうが、このエントリには多くの asin 記法が使われており、リンクになっているが、その飛び先が想定される Amazon.co.jp のページでなく、はてなブログのトップページ( https://hatenablog.com/ )になっている。

具体的には、上記エントリにおいて、「asin:B00005HXXS」という記述があり、このリンク先は HTML ソース上は、

http://d.hatena.ne.jp/asin/B00005HXXS/yamdasproject-22

になっている。以前ははてなダイアリーにこれに対応するページがあったが、少し前までこの場合、

https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005HXXS/yamdasproject-22/

がリダイレクト先になっていたはずである。しかし、いつからか上記の通りはてなブログのトップページにリダイレクトされるように変わっている。

注意:このエントリにおける「asin:B00005HXXS」のリンク先は正しい。どうもある時点以前の古いエントリでこの現象が出ているようだ。上記エントリの asin 記法で書かれたエントリをクリックしてみてほしい。

せこい話に思われるかもしれないが、asin 記法が正しく機能しないと、はてなブログの有料ユーザの権利であるアフィリエイト収入を著しく毀損する。貧乏人のワタシには看過できない話である。

というか、アメリカだったらこれ集団訴訟にならないか?

さて、以上とは関係ないが、はてなの創業者のことをボロクソに書いた文章を含む電子書籍『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』も絶賛発売中ですのでよろしくお願いします。

[2020年04月21日追記]はてなサポート窓口品質向上チームより連絡があり、本件が修正されたことを教えられた。

ダグラス・ラシュコフ『ネット社会を生きる10ヵ条』が来月電子書籍として発売される

いや、驚いた。ダグラス・ラシュコフというと、90年代に『サイベリア』(asin:4756104983)、『ブレイク・ウイルスが来た!!』(asin:4883094480)の邦訳が出ており、サイバーパンク関係者というかインターネットが一般化する前のサイバースペースに詳しい書き手というイメージがあり、著作が邦訳されなくなっても Wired 方面や Boing Boing などワタシが読むブログで名前は定期的に見ていたが、彼の久しぶりの邦訳が出るとな。

元々は2010年、つまりは十年間に出た本の邦訳ということで、正直内容が古かったらどうしようという心配もあったが、ネットで無料公開されている冒頭部分を読む限り、その心配はなかった。それだけ本の内容が本質的で、そう簡単に古くならないということだろう。

しかも翻訳が堺屋七左衛門さん。これは安心である。堺屋さん、またいつの日か、できればできるだけ早く、神戸で飲みましょう!

例の事情で今出版業界が大変なときだが、本書の場合、電子書籍だけなので、少なくとも入手の問題はない。

ケヴィン・ルース(ケヴィン・ローズじゃないよ)の意図せず時宜を得てしまった(?)新刊『Futureproof』

ケヴィン・ルース(Kevin Roose)の仕事は、5年前に「「ロボット」という言葉はもはや無意味なのか?」を書いたときに取り上げているが、さすがに Digg 創業者のケヴィン・ローズ(Kevin Rose)と間違われなくなっている。

彼は現在 New York Times のテクノロジー分野のコラムニストだが、「邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2016年版)」でも紹介した第一作に続く新作 Futureproof: 9 Rules for Humans in the Age of Automation が来月出る。

Futureproof: 9 Rules for Humans in the Age of Automation

Futureproof: 9 Rules for Humans in the Age of Automation

  • 作者:Roose, Kevin
  • 発売日: 2021/01/12
  • メディア: ハードカバー

人工知能が遍在し、仕事は自動化され、アルゴリズムが人間の人生を動かす。今こそあなた自身を futureproof させるときだ――という宣伝文句だが、futureproof(future-proof)とは「時代遅れにならないようにする」という意味で……と知ったように書いたが、恥ずかしながら知らなかった。

なんというか『ワーク・シフト』『ライフ・シフト』みたいな本じゃないかとそれらを読んでもないのに思ったりするが、今回の新型コロナウイルスがもたらす災厄で、こうした本の主張は前提からして崩れちゃったんじゃないかと思ったりしている。

そのあたり、この本が「コロナ後」でもどれくらい通用するかでこれが邦訳されるか変わるでしょうな。

ただ、ケヴィン・ルースが書く「自動化の時代」というのは、パンデミックはロボットによる自動化を加速するという話もあり、未だ時宜を得たテーマであることは変わらない。

個人的には、この本に推薦の言葉を寄せている人に、今年のアメリカ大統領選挙民主党候補者を選ぶ予備選において、唯一のアジア系、しかもテクノロジーをもっとも理解しているという評判だったアンドリュー・ヤンが入っているのがワタシの興味を惹いた。

思えば、彼が提唱した政策にユニバーサルベーシックインカムがある。ワタシは以前からずっと「ベーシックインカム」には感覚的な反対派だったのだが、だんだんとありかなぁと考えを変えつつあったところで、今回のコロナ禍があり、長らく机上の空論扱いされてきたこれが実現する可能性が出てきたというのも難儀な話である。

ともかくアンドリュー・ヤンは、渡辺由佳里さんの文章を読んで以来好感を持っているし、その彼が薦める本なら良いものかもね。

ゼイナップ・トゥフェックチーがAtlanticに寄稿する新型コロナウイルス関係の文章

例によって非公式日本語訳もあるでよ。

文章リンクをはりまくって自身の文章のエビデンスとしているところがネット時代の書き手らしいが、「WHOは大国のおもちゃであってはならない」と、資金停止策で脅すアメリカのトランプ大統領の批判だけでなく、中国の初期対応の犯罪的なまずさ、そして WHO の失態とその原因についてきちんと書いている。最後については遠藤誉氏が書く問題点を補助線とするのもよいだろう。

余談ながら、ワタシが子供の頃から当たり前のように持っていた WHO という組織に対する信頼感は完全に失われた。テドロス・アダノムは即刻辞任すべきだし、WHO は台湾の正式加入を認めるべきだ。

ゼイナップ・トゥフェックチーというとなんといっても『ツイッターと催涙ガス ネット時代の政治運動における強さと脆さ』なのだけど、今年2月から Atlantic に新型コロナウイルス関連の文章をいくつも寄稿しており、どれも一面的でなく複層的なところが彼女らしい。

そうそう、最近の Atlantic については市川裕康氏の「コロナ禍をきっかけに生まれる新しいニュース消費習慣〜米老舗メディア『アトランティック』」が参考になるだろう。その方針とゼイナップ・トゥフェックチーの問題意識がマッチしたということなのかな。

マーヴィン・ミンスキー『創造する心』刊行にあたり、キャンセルカルチャーに与しなかったオライリー・ジャパンに敬意を払いたい

「AIの父」とも言われるマーヴィン・ミンスキー『創造する心』オライリー・ジャパンよりもうすぐ刊行される。

創造する心 ―これからの教育に必要なこと

創造する心 ―これからの教育に必要なこと

  • 作者:Marvin Minsky
  • 発売日: 2020/04/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

原書は MIT Press より2019年に刊行された Inventive Minds であり、要はミンスキーの死後に編まれた本である。

マーヴィン・ミンスキーの名前は昨年ジェフリー・エプスタイン問題で非常に残念な形で取りざたされ、彼の擁護の論陣を張ったリチャード・ストールマンも炎上の火に焼かれた。

今、ネットのキャンセルカルチャーは強力であり、それに警鐘鳴らしたオバマ前大統領も罵声を浴びたくらいである。人の仕事とその作者の人間性ははっきり分けて考えるべき主義の強硬な支持者であるワタシ自身は、この趨勢をまったく好意的には見ていない。

そうした意味で、今マーヴィン・ミンスキーの邦訳を出すオライリー・ジャパンには敬意を払いたい。

新型コロナウイルスが猛威を振るう世界で落ち着いて見るべきTED講演5選

緊急事態宣言も出たし、同様の企画を公開している人はいるに違いないが、そういうのは調べずにワタシもやる。もういつまでワタシもブログを更新できるか分かったものじゃないし。

まずは、5年前に既に現在の状況を予測していたのかと怖くなるビル・ゲイツ「もし次の疫病大流行(アウトブレイク)が来たら?私たちの準備はまだ出来ていない」をまだ見てない人がもしいたら、まずはここから始めよう。

最初の1分以内に声をあげそうになるし、この時点で無症状のウィルスによる都市への蔓延の危機を正しく見通している。さすが、おれたちのゲイツ。少し心の余裕が出たら、Netflix「天才の頭の中: ビル・ゲイツを解読する」もおススメよ。

さて、新型コロナウイルスに話を戻すと、これが問題視されるようになった時期に急遽収録された、デヴィッド・ヘイマンアダム・クチャルスキーアラナ・シェイクの講演(インタビュー)動画を次にどうぞ。

もう分かり切った話に感じる人もいるだろうが、現在のように刻一刻と状況が変わるのだから仕方がない。それにしても TED の対応力というかフットワークの軽さはさすがである。

そして最後は、3月後半に収録されたビル・ゲイツクリス・アンダーソンの対談 How we must respond to the coronavirus pandemic である。残念ながら、本文執筆時点でこの動画には日本語字幕がついていない。

ここでもクリス・アンダーソンが最初に話題にするのは、上でリンクしたビル・ゲイツの5年前の講演であり、「あのときの警告を人々は真剣に聞きましたか?」という問いに、ゲイツが「基本的にはノーですね」と答えている結果が今の世界の有様である。

英語字幕を入れればだいたい話は分かるが、そうでない人もいるだろうから、有志による日本語字幕の公開を期待したい……が、50分超だからさすがにすぐには無理か。そういう人たちは、「ビルゲイツへの新型コロナウィルスに関する31の質問とその答え」を読んでおくのがよいですかね。

さて、ゲイツ夫妻の財団は新型コロナ対策に期待の7ワクチン工場建設に資金を出しており、数十億ドルが無駄になることを想定しながらとにかくワクチンの開発を急ぐのは、さすが世界的大富豪というべきお金の使い方である。100万円だかチンケな額をちらつかせて貧乏人をひれ伏せさせ、自己顕示欲を満たすカッペとは格が違う。

このワクチン開発が運よく功を奏したら、おそらく彼はノーベル平和賞を受賞するだろう。ワタシとしては、とにかくその幸運を祈りたい。

上で講演を取り上げた人の中で、アダム・クチャルスキーは『ギャンブルで勝ち続ける科学者たち: 完全無欠の賭け』(asin:4794224273)の邦訳が出ているが、「コンテイジョン(Contagion)」という単語が書名に入る新刊が今秋出る(Kindle 版は既に出ている)。もちろん伝染病よりも情報の拡散が主なテーマなのだろうが、これも注目である。

The Rules of Contagion: Why Things Spread--And Why They Stop

The Rules of Contagion: Why Things Spread--And Why They Stop

  • 作者:Kucharski, Adam
  • 発売日: 2020/09/15
  • メディア: ハードカバー

『100日後に死ぬワニ』はもうどうでもいいが、ヘンリー・ジェンキンス『Convergence Culture』邦訳がようやく出る!

この記事が公開時点で『100日後に死ぬワニ』自体もはやどうでもよくなっていたので斜め読みだったのだが、ヘンリー・ジェンキンスの議論が特に参照されているところがワタシの気を引いた。

で、この記事の最後の記述にのけぞることになる。

※ヘンリー・ジェンキンスの議論は本年度中に晶文社より刊行予定の著者邦訳『コンヴァージェンス・カルチャー(仮)』(阿部康人、北村紗衣、渡部宏樹訳)をご覧ください。

(4ページ目)『100日後に死ぬワニ』へのモヤモヤを研究者が分析「ファンは『人工芝なのでは』と怒った」 | 文春オンライン

マジかよ、ヘンリー・ジェンキンスの『Convergence Culture』の邦訳が出るのか!

しかし……「本年度中に晶文社より刊行予定」とあるが、この記事は2020年3月26日公開で、それなら既に刊行されてないといけないのでは(笑)。

まぁ、2020年度中にはということなのだろうが、ともかくヘンリー・ジェンキンスの邦訳が出るのはめでたい話である。

しかし……いくらなんでも原書刊行から時間がかかりすぎだよな。

ワタシが最初にヘンリー・ジェンキンスの『Convergence Culture』を取り上げたのは、原書が刊行された2006年8月、実に14年近く前である。

ヘンリー・ジェンキンスは、当時ブログがクリエイティブ・コモンズ・ライセンス指定だったので注目したのだと思う(今はその指定はない)。

その後、彼の議論を参照した例としてワタシが知るのでは、塚本牧生さんの「Collective Intelligence vs. The Wisdom of Crowds」邦訳、そしてそれを踏まえた「群衆の知恵・集団的知性とWikiコラボレーション」プレゼン資料だろうか。

しかしまぁ、なんで原書刊行から14年も経って邦訳が刊行されるのか。共訳者に北村紗衣さんの名前があるのにピンときた。

しかし、これにしても7年以上前のブログエントリであり、それからよく邦訳出版を現実にできたものである。楽しみにその刊行を待ちたい。

Convergence Culture: Where Old and New Media Collide

Convergence Culture: Where Old and New Media Collide

  • 作者:Jenkins, Henry
  • 発売日: 2006/12/24
  • メディア: ペーパーバック

『HARD THINGS』が大絶賛されたベン・ホロウィッツの邦訳第二弾『Who You Are』が出る

調べものをしていて、邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2019年版)で取り上げた、ベン・ホロウィッツの『What You Do Is Who You Are』の邦訳が『Who You Are(フーユーアー)君の真の言葉と行動こそが困難を生き抜くチームをつくる』の邦題で今月出ることを知る。

原題からはしょった邦題になっているが、こういうのも苦心の末の決定なんだろうな。

ちょうど5年前に刊行された『HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか』(asin:4822250857)も大絶賛されたが、新刊は企業文化がテーマとのこと。これは売れるでしょうな。

ロバート・スキデルスキーの近刊『経済学のどこがおかしいのか?』が注目だし、デヴィッド・グレーバーの邦訳が出ると思ったら……

トマ・ピケティの新刊『資本とイデオロギー』の書評である。非公式日本語訳もあるでよ。

さて、ピケティの新刊の評価はともかくとして、ワタシが注目したのは、主流経済学の権威が落ちていることについて、その大衆のムードを掴んでいるとして引き合いに出される、経済史家ロバート・スキデルスキーの近刊 What’s Wrong with Economics? である。

What’s Wrong with Economics?: A Primer for the Perplexed

What’s Wrong with Economics?: A Primer for the Perplexed

書名を直訳すれば「経済学のどこがおかしいのか?」になるが、以前取り上げたデヴィッド・グレーバーの「反経済学」を思い出した。そのムードは確かにある。

そうそう、横道にそれるが、デヴィッド・グレーバーの邦訳が出るというので、いよいよ『Bullshit Jobs』の邦訳かと思ったら、別の本だった。

ロバート・スキデルスキーというと近著では息子さんとの共著の邦訳が出ているが、時宜を得たテーマならこれも邦訳が出るでしょうな。

はてなブログからのはてなダイアリーへのリンクの飛び先がおかしい現象(解決済み)

はてなブログに以前にはなかったおかしな挙動が見られる。

これだけだと分かってもらえないかもしれないので、例を示す。

まず、ワタシのブログ屈指の人気コンテンツである↑を閲覧いただきたい。

さて、このブログエントリは10年以上前、まだはてなブログがサービスを開始する前に書かれたものであり、このエントリの元々の公開先は、はてなブログの前身であるはてなダイアリーだった。

そして、このエントリ内のリンクの URL も当時のままなので、このエントリにおける自分のブログのリンク先は、当然ながらやはりはてなダイアリーになる。

はてなダイアリーはてなブログに移行する際に、はてなダイアリーへのリンクは、自動的に移行先であるはてなブログの該当エントリにリダイレクトされるはずである。

しかし、最近だと思うが、そのリダイレクトがおかしいように思う。

上記エントリを読み進みいただたくと、映画『LIVE FOREVER』について自分が書いた感想エントリのリンクがある。このリンクの URL は↓になる。

http://d.hatena.ne.jp/yomoyomo/20080709/liveforever

このリンクをクリックした場合、このエントリの移行先であるはてなブログの該当エントリである↓にリダイレクトされるはずである。

https://yamdas.hatenablog.com/entry/20080709/liveforever

しかしながら、実際には、飛び先であるエントリが含まれる日付のエントリの一覧ページである↓に飛んでしまう。

https://yamdas.hatenablog.com/entries/2008/07/09

これはいったいどうしたことか。この現象は、パソコンでアクセスした場合でも(Firefox でも Edge でも再現)モバイルでアクセスした場合でも再現する。

おそらくはワタシのはてなダイアリーの設定がブログモードではなく「日記モード・見出し別ページ」だったことが影響していることが察せられるのだが、いずれにしても今頃になってバグを仕込むっていったい何やってんのよと呆れてしまう。

ところで関係ないが、はてなの創業者のことをボロクソに書いた文章を含む電子書籍『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』も絶賛発売中ですのでよろしくお願いします。

[2020年04月02日追記]:問い合わせフォームに質問を投げておいたところ、「先日より、はてなダイアリーのリダイレクトの仕組みを変更しておりましたが、いったん元の仕組みに戻すことで対応させていただきました」という回答がはてなサポートからあり、ロールバックにより問題は解決した模様である。

何度目かの「アジャイルソフトウェア開発は死んだ」で思い出すIT業界恒例「○○は死んだ」宣言の歴史

二月くらい前のエントリだが、ワタシは3月に入って O'Reilly Radar 経由で知った。

アジャイルソフトウェア開発は死んだ。それに対応したまえ」とのことだが、O'Reilly Radar でマイク・ルキダスが書いているように、「アジャイルは死んだと主張するのを見たのはこれが最初ではないし、これが最後というわけでもなかろう」というのが正しい。

これは2017年に書かれたエントリだが、これに列挙されているように、2017年時点までで既に何度も「アジャイルは死んだ」と宣言されているんですね。

マイク・ルキダスが紹介している、『Cassandra』の邦訳(asin:4873115299)が日本でも出ている Eben Hewitt の「どんなムーブメントも、それ自体パロディになるまで成功したとは言えないんだよ」という言葉の通りなんだろう。

思えば、IT 業界では「○○は死んだ」というのはアジャイルに限らず、これまでもいろんなトピックについて言われており、ワタシもブログでそうした主張を紹介したり、本サイトで翻訳などしている。

折角の機会だと以下にまとめてみたが、まぁ、いろいろ死んだものである。この中で本当に死んだと言えるのは Web 2.0 くらいだろうか。

元記事を書いた Jason BloombergIntellyx の創業者にして社長であり、ズバリ『The Agile Architecture Revolution』(asin:1118409779)という本の著者なのであまり無下に扱うのはよくないだろうが、主張の内容の評価はアジャイル開発の当事者の方々にお任せしたい。

アジャイルサムライ−達人開発者への道−

アジャイルサムライ−達人開発者への道−

  • 作者:Jonathan Rasmusson
  • 発売日: 2011/07/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

新型コロナウィルスに立ち向かうオープンハードウェアプロジェクト7選

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は本当に大変なことになったままであるが、少しは明るい面を見たい。

高須正和さんが「新型コロナで広がるオープンソース運動は日本人の働き方を変えるか」という文章を書いているが、新型コロナウィルスに立ち向かう上で、オープンソースのありがたさが再認識されているように思う。

少し前に3Dプリント技術が新型コロナウィルス患者の命を救った話があったが、そうした意味で、オープンハードウェア(オープンソースハードウェア)分野でもこれに関係したプロジェクトが立ち上がっているはずだ。

というわけでこの文章を見つけた。ここでも前述の Isinnova の事例が取り上げられているが、主に紹介されているのは、以下の7つのオープンハードウェアプロジェクトである。

プロジェクト名 プロジェクト内容 ライセンス
Opentrons オープンソースのラボオートメーションプラットフォーム Apache 2.0
Chai Open qPCR 個人用ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査装置 Apache 2.0
OpenPCR DIYPCR検査装置 GPLv3
PocketPCR USBで給電するコンパクトなPCR検査装置 GPLv3
Open Lung Low Resource Ventilator 低コストなバッグバルブマスク(BVM)作成 GPLv3
The Pandemic Ventilator DIYな人工呼吸器のプロトタイプ CC BY-NC-SA
Folding@home タンパク質動力シミュレーションの分散計算プロジェクト GPLプロプライエタリ

やはり PCR 関連が多いですな。

Folding@home(こないだ話題になった)はサイト上ではオープンソースを謳いながら実際はプロプライエタリらしいのが気になるが、それでもこういう動きがすかさず出てくるのはすごいことだと素直に思う。

……とここまでエントリを書いたところで、Make 日本版ブログで同趣旨のより網羅的な記事が出ているのを知る。ただし、取り上げているプロジェクトの重複はほぼないはず。

Wikiは先週ひっそりと25歳の誕生日を迎えていた

調べものをしていて、自分のブログの10年以上前のエントリに行き当たったのだが、なんだ今年の3月25日は Wiki の25歳の誕生日だったのかと驚いた。

これは Wired の10年前の記事である。やはりそのように認定している。

しかし、Wiki の誕生日、しかも25年前という区切りが良いにも関わらず、まったく話題になっていない。ワタシが調べた範囲では MAG THE WEEKLY で取り上げられているくらい。

それも不思議ではない。コラボレーションツールとしての Wiki は開発環境やコミュニケーション環境に取り込まれ、もはやその一機能として、Wiki 自体にスポットライトが当たることは少ない。『Wiki Way コラボレーションツールWiki』が初めての訳書であるワタシ的には寂しさも感じるが、それは個人の感傷に過ぎない。

ところで、「Wikipediaをwikiって略すな」と言われたのも今や昔? 一般に「Wiki」といったら Wikipedia であることを認めざるをえないのだが、そのウィキペディアは来年の1月15日に20歳の誕生日を迎える。

Wikipedia は非営利では今や世界最大のウェブサイトであり、20年はキリが良いので、来年のはじめにはなんらかのイベントがあるんだろうな。

ブリストルにある世界最古のVHSテープレンタル店についてのドキュメンタリー

kottke.org で、20th Century Flicks というイギリスはブリストルにある、世界最古のVHS(&DVD)レンタル店についてのショートドキュメンタリー The Last Video Store を知る。

ストレンジャー・シングス」を模したタイトルにいきなりニヤリとしてしまう。約8分だし、英語字幕をつければだいたい理解できるでしょう。

この店には2万ものタイトルが揃っており、「Netflix の5倍はある」と店主は誇らしげだ。この店は1982年に開店しているが、日本にはこれより古いレンタル店はあるのかもしれないが、VHS テープも現役でレンタルしてるとなるとさすがにないのかな。

こういうお店の話を聞くと、『僕らのミライへ逆回転』なんかを思い出してしまうね。

そういえば、インターネット・アーカイブも VHS のテープからキャプチャしたもろもろを無料公開する The VHS Vault という、おい、お前それ合法か? なサービスをやっているのを Boing Boing で最近知ったが、こういうのも文化遺産なんだろうね。

noteに河口俊彦『大山康晴の晩節』ちくま文庫版解説を公開した

note に「河口俊彦『大山康晴の晩節』ちくま文庫版解説」を公開した。

今月はじめに「河口俊彦老師に伺った米長邦雄永世棋聖のこと」を note にて公開し、ありがたいことに好意的な感想をいくつもいただいたので、それに続くものはないかと考えたのだが、そもそもの始まりである『大山康晴の晩節』解説があるじゃないかと今さら思い当たった次第である。

大山康晴の晩節 (ちくま文庫)

大山康晴の晩節 (ちくま文庫)

ちくま文庫版『大山康晴の晩節』は Amazon でも筑摩書房のサイトでも新品在庫なし、要は絶版状態であり、解説をネット公開したから売上にマイナスの影響を出版社に与えることはない。

念のため、解説執筆時の担当である筑摩書房の伊藤さんにメールを入れて了解を得た。伊藤さんからは米長邦雄永世棋聖についての文章についても過分な言葉をいただき、書いてよかったと嬉しく思った。

今回『大山康晴の晩節』解説を公開するのは、全文公開しながら課金するという note で可能な方式を試したくなったのがある。

ワタシは自分のサイト、ブログで公開するコンテンツについて、課金しないと全文読ませないというのは基本したくない。

前回「河口俊彦老師に伺った米長邦雄永世棋聖のこと」を公開して知ったのだが、note はこっちが無料公開しても、ユーザが投げ銭できるんですね。3000円(!)投げ銭してくれたユーザがいて仰天したのだが、今回の全文公開した上で値をつけてみたらどれくらいいくだろうと思ったわけである。

ところで、書籍や雑誌など紙媒体に書いた原稿のネット公開について厳密に法律的にどうというのは知らないが、基本的には雑誌であれば、その雑誌が本屋にある時期を過ぎればネット公開してよいようだ。

note にそうした過去自分が紙媒体やメルマガやネット媒体に書いた原稿をアップしていこうかといったん考えたのだが、何しろ10年以上前の技術系の文章だから、自分にとっての歴史的価値しかない。そういうのは本サイトで公開すべきではないかと思い直した。

本サイトのほうはごらんの通りのほぼ完全手書き HTML からなる Web 1.0 ウェブサイトで、今さらそれを変えるつもりはないのだが、できる範囲で少し手を入れていこうとここ数年思っており、それの良い機会かもしれない。

まぁ、それがめんどくさくなったので、やはり note をその公開先にと考え直す可能性はあるけどね(笑)。

そういうわけで、このブログの現在の存在理由である『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』もよろしくお願いします。

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