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『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』の宣伝をしつこく続けていたら売り上げが伸びたという話

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』だが、このブログを続けていること自体、この本を宣伝が主目的なのである。が、現実は厳しい。それでも頃合いを見計らってツイッターでも宣伝を行っている。

土曜の夜にふと思い立って唐突に宣伝ツイートをさせてもらったのだが、運よく RT と like をこの手の宣伝ツイートにしてはもらってありがたいことである。

やはり、円城塔さんが再度言及くださったのが大きいようだ。ちょっと露悪的な元ツイートに嫌な顔をせず付き合ってくださった円城塔さんには感謝しかない。ありがとうございます。

ありがたいことにすぐさま購入いただき読みだした方もいるようで嬉しい。

達人出版会の高橋さんによると、実際売り上げが伸びたらしい。

マジか! まぁ、要因は自分のツイート(とその拡散)以外ありませんわな。ありがたいことである。

米オライリーも DRM フリー電子書籍の取扱いを中止するご時勢に、ソーシャル DRM という緩い管理で電子書籍ダウンロード販売を続けている達人出版会はとても貴重な存在なので、ワタシの本の売り上げがわずかでもその存続に貢献してくれればと願ってやまない。

やはり、電子書籍であれ紙の書籍であれ、地道に宣伝を続けることが重要なようだ。

JavaScriptは改名すべきなのだろうか?

ある意味定番ネタというか、長年くすぶってきた話ではあるが、JavaScript は改名すべきかという話である。

プログラミング言語JavaScript をブランドとして考えた場合、問題があるのは間違いない。このエントリで指摘されているのは以下の5点。

  1. JavaScript 言語の公式規格の正式名称は ECMAScript
  2. 正確には「JavaScript」とは Mozilla によって策定された ECMAScript のサブセットを指すが、文脈によって、複数の異なる ECMAScript の上位集合と同義になっている
  3. JavaScriptOracle の商標であり、ウェブプラットフォームの中心をなすコンポーネントという言語のポジションにふさわしくない
  4. JavaScript には、Go や PHP にあるような公式ロゴすら存在しない
  5. よく知られた話だが、JavaScriptJava とは無関係。これが技術系でない経営者や人材採用担当者を長年にわたってひどく混乱させてきた

でも、この文章の著者にとって、JavaScript という名前にまつわる大問題は、その曖昧なスコープだったりする。あるプログラムが JavaScript で書かれているといっても、どのホスト API に依存しているか分からない、などの。

そうした観点から、JavaScript の改名、再ブランド化は意味があるという意見で、この文章でも単なる JS、あるいは WebJS とか ServerJS とかいろいろな例は出されているが、どういう名前がいいかとなると意見がまとまるかねぇというのが正直な感想である。

ネタ元は Slashdot

40もの主要音楽フェスが顔認識技術を採用しないことを誓約

この話題が日本ではあまり話題になってないようなのが気になるのだが、SXSW やコーチェラやピッチフォークやボナルーといった世界的に知られる40もの音楽フェスが、顔認識技術を採用しないことを誓っている。

AI(人工知能)の進歩などあり、顔認識技術が実用化されているのはご存知の通りである。確かに顔認識技術には大きなメリットがあるが、一方でプライバシー侵害の懸念があり、また現行の顔認識技術に人種的なバイアスがある話も知られている。

犯罪防止などメリットがあるはずの音楽フェスが率先してその不採用を誓約するのには上記の理由もあるだろうし、何より日常から離れた楽しみであるはずの音楽フェスが率先してジョージ・オーウェルを連想させる監視社会化に手を貸しちゃいかんだろうというという意思があるのではないか。

フェス全般における顔認識技術の利用については BanFacialRecognition.com にまとまっており、その使用(可能性)/不使用が一望できるのがすごい。メジャーなイベントでは、バーニングマンが使ってるかもというのは意外だった。

このサイトには日本の音楽フェスの情報はないが、フジロックサマソニはどうなんでしょうね。

この問題について、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンなどのギタリストとして知られるトム・モレロが Buzzfeed に論説記事を書いているのだが(なんで邦訳が出ないのよ!)、彼も顔認識技術の音楽フェスにおける採用に断固反対の立場である。

さらに書けば、この問題は当然ながら音楽フェスに限定されるものではなく、職場で顔認識技術が使われるようになれば、雇用者は従業員の表情の変化からその監視を強めることができるという New York Times の論説記事を受け、コリィ・ドクトロウは我々はあらゆる場での顔認識技術の利用を禁止すべきと気勢を上げている。

伝説のハッカーが教える 超監視社会で身をまもる方法

伝説のハッカーが教える 超監視社会で身をまもる方法

マーティン・スコセッシ曰く「ルー・リードは何も持たざる者たちの代弁者だった」

『アイリッシュマン』Netflix での来月の公開が待たれ、また最近ではマーベル映画に対する批判的なコメントが論議を呼んだマーティン・スコセッシだが(ワタシ自身は、積極的に MCU が嫌いと公言してきた奇特な人間なので、特に文句なしです)、復刻され、改訂版が出るルー・リードの歌詞集に寄せた序文が Guardian に掲載されている。

マーティン・スコセッシルー・リードもニューヨーカーとして知られるが、二人が初めて会ったのはスコセッシが『レイジング・ブル』(asin:B07T3G49NT)のポストプロダクション作業をしていた頃のロサンゼルスだったとのこと。当時スコセッシが特に好きなルーのアルバムは『Street Hassle』(asin:B000026A1H)で、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドは後追いだったようだ。

レイジング・ブル』の試写を行い、ルーも大変感銘を受けたようだったが、試写の後、スコセッシはルーに、その師だったデルモア・シュワルツの代表作『In Dreams Begin Responsibilities』原作で映画を撮りたいと告げたそうな。実際、スコセッシとロバート・デ・ニーロは当時脚本に取り組んでいたらしいが、残念ながら実現しなかった。スコセッシは今でもいつの日かその映画を作りたいと書いている。

スコセッシは、ルーの詩は歌われるのを聴くのと印刷されたものを読むのでそれぞれ命があると書く。そしてニューヨーカーとしての出自の重要性について書いており、「Street Hassle」の歌詞を例にしてその映像性を説いている。

実際、80年代にルーはスコセッシの『レイジング・ブル』やサム・シェパードの『フール・フォア・ラブ』を直接的に取り上げた「Doin' the Things That We Want To」という曲を書いているが、面白いのはルーはスコセッシの『最後の誘惑』(asin:B00BTSHPLO)のピラト総督役のオーディションを受けていたという話。その役は実際には、やはりルーと因縁のあるデヴィッド・ボウイが演じているが、他にも90年代には傑作アルバム『New York』(asin:B000002LGA)収録の「Dirty Boulevard」をベースとした映画を作ろうともした話など、この二人のプロジェクトは残念ながらどれも実現しなかったようである。

ルーの訃報に接し、スコセッシもひどくショックを受けたようだが、彼はこの世の最底辺にいる「クズ」と呼ばれるような、その人間らしさ以外何も持たざる者たちの声で語り、歌ったとルーを称えている。

で、スコセッシのこの文章は上記の通り、来月発売になるルー・リードの詩集の改訂版に収録される。

I'll Be Your Mirror: The Collected Lyrics

I'll Be Your Mirror: The Collected Lyrics

邦訳を期待したいところだが、ルー・リードの詩集では彼の死後に復刊された『ニューヨーク・ストーリー: ルー・リード詩集』(asin:4309206395)があるので難しいかな。こちらは上記の本の邦訳ではなく、これはこれでルーが行ったインタビュー(彼のインタビューではなく、彼がインタビュアーを務めている)を収録しておりとても貴重なのだが、彼のキャリアを通した詩集の邦訳も必要だと思うのよね。

ルーがこの世を去ってちょうど6年になるところで、また彼についてのブログエントリを書けるのを嬉しく思う。

ジョン・ウィック:パラベラム

キアヌ・リーブスの復活作となったシリーズ第一作目『ジョン・ウィック』について、シリアスだけど結構バカという点において彼らしい復活作とワタシは評した。『ジョン・ウィック:チャプター2』でも、コモンと窮屈そうに撃ち合う場面など、シリアスだけど結構バカという点は引き継がれていた。

さて、その前作において掟破りをしてしまったために高額の懸賞金がかけられ、全方位的に命を狙われることになった主人公だが、本作においてもバンバン敵を殺しまくる。その点において、本作もまぁ、馬やら本やらこれだけ殺しのために趣向を凝らしたもんだと感心させられる。

はっきりいって、ストーリーはどうでもよくて、主人公が謎っぽい人物に頼れば、なんか曰くがあるんでしょうと観客は思うしかない。一応この三作を経て、作中の時間は半月くらいしか経過してないはずだが、妻に託された愛犬の死というきっかけはもはやどうでもよくなっており、殺しの連鎖による主人公の暴走機関車ぶりを堪能するしかない。

そういう意味で、ワタシは本作を観て満足した。前作にローレンス・フィッシュバーンが登場したことで否が応でも連想させられる『マトリックス』とのつながりも、例の台詞が出たところで頂点に達する。本当にキアヌ・リーブスは映画に愛されている。

しかし、もう充分である。例によって続編を示唆する終わり方だったが、このシリーズを映画館で観るのは本作を最後とする。

あと本作においても、「この役をやれる日本人俳優はいなかったんだなぁ」という悲しみをまたしても感じてしまったよ。

イエスタデイ

本当は他にもっと観たい映画があったのだが、金曜夜のレイトショーでやってる映画となると、本作くらいしか観たいのがなかった。

ダニー・ボイルの新作、しかも脚本を書いているのがリチャード・カーティスなのだけど、どうも気持ち的にひっかかりがあったのは、「ビートルズ(の音楽)を主人公以外誰も知らない世界」という本作の設定に危惧を感じたからだ。

言うまでもなくワタシにとってもビートルズは大きな存在であり、『僕はビートルズ』のようなひどく無神経という評判の作品だったらどうしようという恐れが何より大きかった(正確に書くと、『僕はビートルズ』は設定だけ聞いて、一切読んでない)。

本作はそういう作品ではなくホッとした。リチャード・カーティスの脚本では『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』がそうであるように、本作の基盤をなす設定の謎を解くような作品ではない。

世界でビートルズの楽曲を知る人間が売れないミュージシャンの自分しかいないとなれば(実は違うのだが)、彼がやることはひとつだろう。しかし、それをやってしまうと当然罪悪感から逃れることはできない。一方で、主人公は失われてしまった人類の文化遺産を遺す役割すら担ってしまう。本作はリチャード・カーティスらしいロマンティックコメディだけど、一種のホラー映画としての側面もある。

まぁ、ワタシは主人公ほど善人ではないので、自分だったらビートルズの200曲以上ある曲を小出しにしながら、ついでに存在しないことになっているオアシスのファースト、セカンドの曲で何年も食いつなげるぜ! と思ってしまうのだけど(笑)。

あの名曲のメロディーは記憶にやきついており問題ないが、歌詞をなかなか思い出せず苦労するとか、そうやって思い出したつもりでもあの曲の歌詞はやはりデタラメだったとか、それダサいよ/珍奇だよと歌詞やアルバムタイトルにダメ出しをくらうとかの小ネタにも納得性があるが、そういえば本作では、ビートルズだけではなく、コカ・コーラなどいくつかのアイコンも存在しない設定になっていて、はっきり言ってやりすぎなのだけど、例えばそういう世界で「コークお願い」と言うことで引き起こす反応には笑った。

本作は設定を聞いて分かる通りの展開を辿り、そして無神経でも不愉快でもない着地点を得る。そうした意味で観る前から分かり切った映画ともいえるし、辛辣に言えばヌルいところは否めない。それでもビートルズの音楽が「新曲」として生まれ、演奏される新鮮さを体感させてくれることに本作の価値はあるのだろう。唐突な比較だが、『シン・ゴジラ』ゴジラが存在しない世界でゴジラを創造したように。本作をダニー・ボイルが撮る必然性はそこにある。

ワタシは本作のヒロインがいかにも英国的な佇まいで好きだったが、『ベイビー・ドライバー』のヒロインだった人か。

エド・シーランがいっちゃなんだがかませ犬的キャラクターをよくやってるなと思うが、そういうところに彼の健全なユーモアセンスを感じた。あと、「パルプの「コモン・ピープル」は2位だったけど――」という台詞、アメリカ人はほとんど理解できないと思うが、個人的にグッときた。

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その27

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』だが、未だ新たに読んでくれる人がいるのはありがたいことである。

あとこれはちょっと驚いたので特別に取り上げるのだが、いけださん(@ikeda_seitaro)が前著である『情報共有の未来』を読了し、感想を書いてくださっている。

サイバー空間(というのも死語か)で一番ためになるというか、
時代の風を正確に写し取っていたコラムだと思う。
いま読むと古さを感じる部分もあるけれど、
もうこの時期から話題は出ていたんだ、と驚くものも多々あったり。
こうして書籍として残すべき価値のある作品だと思います。

『情報共有の未来 [電子書籍]』のレビュー yomoyomo (いけださん) - ブクログ

正式版公開からも7年以上経つ(そんななるのか!)本にここまで書いてくださって感謝しかない。いけださん、『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』も読んで感想を書いていただけると(以下略)。

本サイトの著者をはてなに通知する方法をAccount Auto-discoveryからHatena ID Discovery Liteに今さら変更した(が、うまくいかない)

これは読者には基本的には関わりのない話なので飽くまで自分用メモなのだが、本サイト YAMDAS Project において、HTML ファイルにサイト作成者がワタシ(yomoyomo)であることを通知する Account Auto-discovery のコードをコメントで埋め込んでいた。そのおかげで、本サイトの文章がはてなブックマークされると、その通知がワタシに飛び、それを把握できていた。

しかし、ある時期からどうもそれが機能していないのではないかと疑問を抱くようになり、しかし、例によってワタシがものぐさなためそのまま放置していた。

はてなダイアリーからはてなブログへの移行が原因なのかなと思っていたのだが、少し前にようやく重い腰をあげて調べたところ、Account Auto-discovery は必要以上に複雑であるとして非推奨となり、代わりに2012年に Hatena ID Discovery Lite が策定されていたんですね。

Hatena ID Discovery Lite にしても最新版が6年前の仕様なわけで、もっと早くに対応しておくべきだったが、これを機に本サイトの HTML に挿入するコードを一挙に変更させてもらった。

……のだが、試しにワタシの知った方にワタシの本サイトのページをはてなブックマークしてもらったのだが、通知が来ない。つまり、正しく機能していないように見える。うーむ、どうしたものか。同じく Hatena ID Discovery Lite を埋め込んだ(はてなブログ以外の)サイトからのはてなブックマークの通知がうまくいっている方います? もし、いたら教えてください。

Guardianが選ぶ21世紀最高の本トップ100(の邦訳リスト)

Guardian が21世紀最高の本100冊を選んでいるので、その邦訳リストを作ってみた。やはり小説が多いのだが、評論やノンフィクションも入っている。

リストを見ての感想は、Guardian は確か映画についても同じ企画をやってたと思うが、それと同様に「21世紀」というくくりなのに2000年発表の作品がいくつも入っていて、正直「バカ?」と思うが、まぁ、もちろん分かってやってるんでしょうけど。

あと翻訳者が原作者と同じ文字サイズでクレジットされているのが目を引いた。欧米って翻訳者にはあまりスポットが当たらないという話を以前聞いたものだが、そのあたりの意識にも変化があるのだろうか。翻訳者がクレジットされるということは、もともと英語で書かれていない作品もそれなりに入っているということだが、先にちょっとバラしてしまうと、日本国籍の作家の本は一冊も入っていません。

それでは以下、トップ100リストをどうぞ。

  1. ヒラリー・マンテル『ウルフ・ホール』(asin:415209205Xasin:4152092068
  2. マリリン・ロビンソン『ギレアド』(asin:4400640019
  3. スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ『セカンドハンドの時代 「赤い国」を生きた人びと』(asin:4000611518
  4. カズオ・イシグロわたしを離さないで』(asin:4151200517asin:B009DEMBO2
  5. W・G・ゼーバルトアウステルリッツ』(asin:4560047677
  6. フィリップ・プルマン黄金の羅針盤』(asin:4105389017
  7. タナハシ・コーツ『世界と僕のあいだに』(asin:4766423917
  8. アリ・スミス『Autumn
  9. デイヴィッド・ミッチェルクラウド・アトラス』(asin:4309206115asin:4309206123asin:B00C4TUDRKasin:B00C4TUDQQ
  10. チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『半分のぼった黄色い太陽』(asin:4309205518asin:B079DPLFR9
  11. エレナ・フェッランテ『リラとわたし』(asin:4152096985asin:B073S4BSRG
  12. フィリップ・ロス『プロット・アゲンスト・アメリカ もしもアメリカが…』(asin:4087734862
  13. バーバラ・エーレンライク『ニッケル・アンド・ダイムド -アメリ下流社会の現実』(asin:4492222731
  14. サラ・ウォーターズ荊の城』(asin:4488254039asin:4488254047asin:B00WZBKY2Gasin:B00WZBKXUY
  15. エリザベス・コルバート『6度目の大絶滅』(asin:4140816708asin:B00VESYKDU
  16. ジョナサン・フランゼン『コレクションズ』(asin:4151200649asin:4151200657
  17. コーマック・マッカーシーザ・ロード』(asin:4151200606
  18. ナオミ・クラインショック・ドクトリン』(asin:4000234935asin:4000234943
  19. マーク・ハッドン夜中に犬に起こった奇妙な事件』(asin:4151200851
  20. ケイト・アトキンソンLife After Life
  21. ユヴァル・ノア・ハラリサピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』(asin:430922671Xasin:4309226728asin:B01LW7JZLCasin:B01LVTWOVT
  22. ジョージ・ソーンダーズ『Tenth of December: Stories
  23. アンドリュー・ソロモン『真昼の悪魔―うつの解剖学』(asin:4562036540asin:4562036559
  24. ジェニファー・イーガン『ならずものがやってくる』(asin:4151200827
  25. サリー・ルーニーNormal People
  26. トマ・ピケティ21世紀の資本』(asin:4622078767asin:B00VQ75FAQ
  27. アリス・マンローイラクサ』(asin:4105900536
  28. キャロル・アン・ダフィ『Rapture
  29. カール・オーヴェ・クナウスゴール『わが闘争』(asin:4152095628asin:4152097434asin:B015SSE0V8asin:B0798PDW83
  30. コルソン・ホワイトヘッド『地下鉄道』(asin:4152097302asin:B077ZTLJ5T
  31. マギー・ネルソン『The Argonauts』
  32. シッダールタ・ムカジー『がん‐4000年の歴史‐』(asin:4150504679asin:4150504687
  33. アリソン・ベクダル『ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』(asin:4796877118
  34. レイチェル・カスクOutline
  35. エドマンド・ドゥ・ヴァール『琥珀の眼の兎』(asin:4152092521
  36. マーティン・エイミスExperience
  37. アン・エンライト『The Green Road
  38. アラン・ホリングハーストライン・オブ・ビューティ 愛と欲望の境界線
  39. ゼイディー・スミス『ホワイト・ティース』(asin:4105900234asin:4105900242
  40. ジョーン・ディディオン『悲しみにある者』(asin:4766418700
  41. イアン・マキューアン贖罪』(asin:4102157255
  42. マイケル・ルイスマネー・ボール』(asin:4150503877asin:B00CPW2Z9U
  43. クラウディア・ランキン『Citizen: An American Lyric
  44. レベッカ・ソルニット『暗闇のなかの希望 非暴力からはじまる新しい時代』(asin:4822805964
  45. ジュリアン・バーンズ『人生の段階』(asin:4105901362
  46. シェイマス・ヒーニー人間の鎖』(asin:4772005382
  47. マルジャン・サトラピペルセポリス』(asin:490178465Xasin:4901784668
  48. テリー・プラチェットNight Watch
  49. ジャネット・ウィンターソン『Why Be Happy When You Could Be Normal?』
  50. マーガレット・アトウッド『オリクスとクレイク』(asin:4152091819
  51. コルム・トビーン『ブルックリン』(asin:456009022X
  52. アンドレア・レヴィ『Small Island
  53. ピーター・ケアリー『ケリー・ギャングの真実の歴史』(asin:4152085231
  54. メアリー・ビアード『Women & Power: A Manifesto』
  55. マイケル・ポーラン『雑食動物のジレンマ──ある4つの食事の自然史』(asin:4492043527asin:4492043535
  56. ロバート・マクファーレン『Underland: A Deep Time Journey』
  57. マイケル・シェイボン『カヴァリエ&クレイの驚くべき冒険』(asin:4152083794
  58. トニー・ジャット『ヨーロッパ戦後史』(asin:4622073412asin:4622073420
  59. アン・カーソン『The Beauty of the Husband
  60. アリス・オズワルド『Dart
  61. ヘレン・ガーナー『グリーフ』(asin:4773818131
  62. エドワード・セント・オービン『パトリック・メルローズ4: マザーズ・ミルク』(asin:4152098317asin:B07N2GH7DP
  63. レベッカ・スクルート『不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生』(asin:4062162032
  64. スティーヴン・キング『書くことについて』(asin:4094087648
  65. ギリアン・フリンゴーン・ガール』(asin:4094087923asin:409408830Xasin:B01CCWC9FMasin:B01CCWCA4W
  66. カルロ・ロヴェッリ『世の中ががらりと変わって見える物理の本』(asin:4309253350asin:B0791BLN6X
  67. パット・バーカーThe Silence of the Girls
  68. ジョン・ル・カレナイロビの蜂』(asin:4087604500asin:4087604519
  69. ハビエル・マリアス『執着』(asin:4488016626asin:B01HI57HFU
  70. ゾーイ・ヘラー『あるスキャンダルの覚え書き』(asin:4270100990
  71. クリス・ウェア世界一賢い子供、ジミー・コリガン』(asin:4903090086asin:4903090094asin:4903090108
  72. ショシャナ・ズボフ『The Age of Surveillance Capitalism』
  73. バーバラ・デミック『密閉国家に生きる―私たちが愛して憎んだ北朝鮮』(asin:4120042456
  74. セバスチャン・バリー『Days Without End
  75. オルガ・トカルチュクDrive Your Plow Over the Bones of the Dead
  76. ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?』(asin:4150504105asin:4150504113asin:B00ARDNMEQasin:B00ARDNMDC
  77. ユリ・エレーラ『Signs Preceding the End of the World』
  78. N・K・ジェミシンThe Fifth Season
  79. リチャード・ウィルキンソン、ケイト・ピケット『平等社会――経済成長に代わる、次の目標』(asin:4492223029
  80. テッド・チャンあなたの人生の物語』(asin:4150114587asin:B00O2O7JEA
  81. ジム・クレイスHarvest
  82. ニール・ゲイマンコララインとボタンの魔女』(asin:4047914452
  83. ヴァレリア・ルイセリー『Tell Me How It Ends』
  84. デボラ・レヴィー『The Cost of Living』
  85. リチャード・ドーキンス神は妄想である―宗教との決別』(asin:4152088265
  86. ヤニス・バルファキス『黒い匣 (はこ) 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命――元財相バルファキスが語る「ギリシャの春」鎮圧の深層』(asin:475034821X
  87. パトリシア・ロックウッド『Priestdaddy
  88. マロリー・ブラックマン『コーラムとセフィーの物語―引き裂かれた絆』(asin:4591083519
  89. ローナ・セイジ『バッド・ブラッド―出自という受難』(asin:486029162X
  90. ジェニー・エルペンベック『Visitation』
  91. M・ジョン・ハリスン『ライト』(asin:4336050260
  92. ヘレン・ダンモア『包囲』(asin:4336056358
  93. ニコラ・バーカー『Darkmans
  94. マルコム・グラッドウェル『急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則』(asin:4797338121
  95. ボブ・ディランボブ・ディラン自伝』(asin:4797330708asin:B01M4K8XUA
  96. ハニヤ・ヤナギハラ『A Little Life
  97. J・K・ローリングハリー・ポッターと炎のゴブレット』(asin:4863892365asin:4863892373asin:4863892381
  98. スティーグ・ラーソン『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』(asin:4151792511asin:415179252Xasin:B009DEMOZI
  99. アラン・マバンク『Broken Glass』
  100. ノーラ・エフロン『首のたるみが気になるの』(asin:4087607348

さて、皆さんはこの100冊のうち何冊をお読みだろうか?

ワタシの場合は、カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』、イアン・マキューアン『贖罪』などごく少数だったりする。たまたまこの二作の名前を出したから書くが、『わたしを離さないで』を語る際にネタバレしていいか問題がよく言われるが、カズオ・イシグロ自身、別に設定を語ってもかまわんよと言っていたはずで、というかまともな読解力があれば、読みだして直に見当がつくと思うのだ。

そうした意味でイアン・マキューアンの『贖罪』のほうがよほどネタバレ厳禁な作品だと思ったね。ワタシはうっかりそれを知ってから読んでしまったのだけど、それがなかったら第三部の最後で仰天しただろう。まぁ、それでも最終章はそうなるんだ、とかなり驚いたけど。

このリストの中でもっとも最新の作品は、ショシャナ・ズボフ『監視資本主義』なのかな。

贖罪 (新潮文庫)

贖罪 (新潮文庫)

ジョーカー

本作はアメコミ映画では異例なことにヴェネツィアのような国際映画祭で最高賞(金獅子賞)を受賞し、一般公開とともにかなりセンセーショナルな語られ方をしている。また異例に思える日米同時公開が実現し、しかもポスターなどを観ても宣伝全般作品を歪めるものになっておらず、なおかつそれで日本でヒットしているのは喜ばしいことである。

映画は大抵金曜夜にレイトショーで観るのだが、本作は個人的な都合で(同日公開だった『ジョン・ウィック:パラベラム』同様)それがかなわず、土曜昼の映画館、しかも両脇カップルに固められるという個人的にはもっとも避けたいセッティングでの鑑賞になってしまった。上映後、両隣のいずれのカップルも無言だったのだが、期待したものと違ったんでしょうか(笑)。

ワタシとしては、観たいものが観れたという意味で満足だったが、かなり危険な映画という批判も分からんでもない。でも、ワタシは危ういものこそ映画館で観たいのだよ。それこそ本作を語る際に引き合いに出される『タクシードライバー』がそうであるように。余談ながら、同じく引き合いに出される『キング・オブ・コメディ』は、兄に連れられて映画館で初めて観たマーティン・スコセッシの映画だったりする(もっとも当時10歳くらいだったワタシが作品を十全に理解できたとは言わんけどね)。

フィリップ・シーモア・ホフマン亡き後、その存在だけで映画に格調を加えられる稀有な存在であるホアキン・フェニックスだが、『ダークナイト』ヒース・レジャーが半ば命を賭して演じてしまったジョーカーを、その後に正面切ってやれる人間というと彼しか浮かばない。そして、それを彼はやり遂げた。

そのホアキン・フェニックスと組むのが『ハングオーバー』シリーズの監督と知ってのけぞったが、「君たちが落ち着くまで僕はほかの映画を作らせてもらうよ」という感覚はワタシも正直理解できる。

もっとも『ハングオーバー』はワタシも好きだが、あのシリーズは近年の映画なのに独特の雑さと無神経さがあって、それを本作の主人公アーサーの描写にも微妙に感じた。本作を観て、「この主人公は自分だ!」とアイデンティファイしてる人を見かける。気持ちは分からんでもないけど、気になるところはある。例えば、アーサーは小人症の道化師を「君は優してしてくれたから」と殺さない……けど、他の道化師が彼を嘲笑してたとき、一緒になってしっかり笑っていて、明らかにアーサーも彼を見下しているのが分かる。アーサーがコメディの観劇場面で見事に笑うポイントが他の客とズレていて、「この人コメディアンとしてダメっぽい……」とこの映画の観客に丸わかりになる場面があるが、アーサーの小人症の道化師への嘲笑の同調と、彼の自身の上記のズレとの齟齬は気になった。アーサーはただ同情されるべき被害者なだけではないということなのだが、そのあたり主人公の人格造形にリアルさを加えているのか、本作制作者の無神経さを反映しているのかは意見が分かれるかもしれない。

本作の準拠枠として前述のマーティン・スコセッシの映画があるのは間違いないし、1981年という時代設定は DC コミック原作の近作、そして今どきな情報環境と見事なまでに断絶したうえで、ジョーカーというヴィランの誕生に集中している。これはアメコミ映画に対する一種のハッキング(スクウォッティング?)である。

しかし、そうした映画が2019年の今の政治状況と見事なまでに接点を持ってしまうのだから面白い。主人公の境遇から格差社会といった言葉が連想されるのは当然だし、ニュースに触発されて仮面をかぶって街中で暴れだす人たちが、香港での顔を隠したデモ隊と重なるという映画制作時には予想もしえないシンクロもある。

しかし、である。一方で、本作には上に書いた雑さが確実にある。具体的には、殺人のニュースから人々が仮面をかぶって街中で暴れだすまでがちょっと早いように感じた。もちろん、ゴッサムシティの住人の間でストレスがたまりまくっているという前提はあるものの、1981年を舞台にしながら、(制作者当人たちも意識しないまま)実は今どきな情報拡散速度を前提としてないかという疑いがある。で、さらに、しかし、なのだが、その雑さは本作に明らかに推進力を与えている。

そして、最後はやはりホアキン・フェニックスの見事な演技に収斂する。アーサーが信じていたものが一つ一つ潰されていき、そして彼が本格的におかしくなってしまうところは圧巻としかいいようがない。本作では、主人公が「信頼できない語り手」なのだけど、その手法がこの映画で使われると思ってなかったので、単純なワタシは見事に騙されてしまった。『ダークナイト』でシカゴがモデルとなったゴッサムシティを本作ではニューヨークに引き戻し、上書きしているが、やはりあの階段の場面、ゲイリー・グリッターという非常に悪趣味な、でも意図的(なんでしょ?)な選曲をバックにやはりヘンだけど独特の優雅さすら感じるダンスを踊り、本作でもっとも陽の光を浴びて輝くジョーカーとしての主人公にはめまいがした。

小野マトペさんが書くように、本作は分断していく社会で見捨てられた「キモくて金のないおっさん」が「無敵の人」として目覚めていく経過を美しく描いた危ない映画である。そして、ワタシは雑さと無神経さが気になるものの、本作を支持する。

ざまあみろ、ですよ。それの何が悪いのか。

さて、上記の通り、本作は観るまで時間が空いてしまったため、その間とにかく本作を論じた文章をできるだけ読まないようにするのに苦心した。とりあえず URL だけ保存している文章が20以上あり、これを書き終えたところでようやく読めると思うと、正直今ホッとしている。主人公が冷蔵庫に入ってしまうところとその後の場面がちょっと不連続なところなどよく分からないところも残っているので、これから読む文章にそのあたりの面白い解釈を知れるといいな。

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その26

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』だが、さすがに反応を探すのも苦しくなってきた。

旧聞に属するが、9月22日開催の「技術書典7」にて特別版(紙版)を販売させてもらった。一応、ワタシの本を買ってくださった方もいるようなので一安心である。

実はこの方は、ワタシがいろいろとお世話になった方なのだが、まぁ、それはよい。ありがたいことである。技術書典で紙版をお買いいただいた方の書評も読みたいところだが……。

そういえば、紙版には電子書籍に収録されているボーナストラック「グッドバイ・ルック」が入っていないので、そちらを読みたい方は、ワタシにメールくだされば EPUB ファイルを送ります(笑)。

あと、Spiegel さんも、ブログの中で『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』の名前をいささか皮肉な感じで取り上げてくださっている。

少し前に「『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』が国会図書館に納本された」話があったが5,残念ながら慧眼だったと言わざるを得ない。
まぁ「情報共有の未来」が「国会図書館に納本」とか皮肉 (スパイス) が効きすぎて目から汗が出てしまうが。

本の「史料」的価値 — しっぽのさきっちょ | text.Baldanders.info

「デジタル情報は失われやすく統制を受けやすい」というのはまったくその通りなのだが、そういうわけで国立国会図書館サーチに登録されております。

我々はフリーソフトウェアの定義を再考すべきなのだろうか?

GNOMEDebian 界隈、あと Linux カーネルなど幅広いフリーソフトウェアの開発者として知られ、フリーソフトウェア財団(FSF)が選ぶ Free Software Award の2014年の受賞者でもある Matthew Garrett が、我々はフリーソフトウェアの定義を再考すべきなのか、と問うている。

ライセンスこそがフリーソフトウェアの目標達成に欠かせないツールであり、特にコピーレフトのライセンスは意図的にその利用者が必然的にフリーソフトウェア四つの基本的な自由を実行する立場になるよう著作権というものを利用してきたとギャレットは話を始める。

そして最近、既存のライセンスに対する2つの懸念とそれを救済するために新たな種類のライセンスを模索する動きがあって、この2つとも現状のフリーソフトウェアの定義とは互換性がないのだが、フリーソフトウェアのコミュニティが真剣に検討すべき問題がそこにあるという。

まず一つ目は、SaaS を基盤とするビジネスモデルを制限しようというライセンスである。「Saas の抜け道(SaaS loophole)」というのは、それこそ GNU GPLv3 を策定していた10年以上前からの懸案であるが、企業に SaaS としてサービスを提供されてしまうと、そのソフトウェアの原作者にお金を支払うインセンティブはほとんどない。それがいろんなプロジェクトによる Commons Clause など既存のライセンスに制約を加え、商用サービス提供者に課金を強いたりするライセンス手法の採用につながっている。

実際にはこの手のライセンスを推進しているのは、フリーソフトウェアから利益を得ながらボランティア開発者にただ乗りしてお返しをしないベンチャーキャピタルがバックについた企業なので、ギャレットはこの動きにほとんど共感しないが、それでもタダ働きのエンジニアに依存しすぎているという重要な問題は現実にあり、なんらかのバランスを取る動きが出るのは当然と考えている。

もう一つは、フリーソフトウェアの倫理的な面への配慮である。コピーレフトはその利用者にも自由を強いるが、その一方でそのソフトウェアの用途は何ら制約しない。政府が大規模な監視や拘束や虐殺にさえテクノロジーをますます活用している現実に、作者が自分のソフトウェアが人間の自由を妨げるのでなく、自由を可能にする方向に使われたいと願い、ライセンスを通してこの問題を解決しようと考えるのは不思議ではない。

例えば、JSON のライセンスには「このソフトウェアは悪(Evil)でなく善(Good)のために使われるべきである」という条項が含まれる。しかし、その「Good」と「Evil」ってどうやって区別できるのか? これはもう現状のフリーソフトウェアの定義を超える問題である。

ギャレットは、自分がこの問題の解決策を持ち合わせていないことを認め、これはフリーソフトウェアコミュニティでしっかり議論すべき問題だと訴えている。そうしないとフリーソフトウェアが分断してしまう危険がある、と。ギャレットはフリーソフトウェア財団がその議論を主導すべきと考えているが、ジェフリー・エプスタイン問題の余波で見事に炎上してリチャード・ストールマンが FSF の代表を辞任した今、果たしてそれが可能だろうか。

フリーソフトウェアがテロリストにも過激派にも体制側の圧制にも利用されうるという懸念は、必ずしも新しい問題ではないのだが、その成果が目に見えてくると危機感も高まる。先日の政治的問題のため Ruby Gems と GitHub から Chef 関連の諸々が消えた件もその一つのあらわれだろうし、Coraline Ada Ehmke によるフリーソフトウェアオープンソース)プロジェクトのための倫理的なライセンスを掲げる The Hippocratic License のような試みもでてきた。

もっとも後者については、この界隈の重鎮であるブルース・ペレンズがすかさず「残念だけど、そのライセンスはうまく機能しませんよ」と牽制している。ワタシ自身も、古いと言われそうだが、ペレンズに賛成である。

個人的に危惧するのは、リチャード・ストールマンFSFGNU のトップを追われ、原理的グリップが利かなくなったところでポリティカルコレクトネスがここでも暴走し、善意で舗装された地獄への道を歩むことだ。それでも、ギャレットの「フリーソフトウェアが社会とのつながりを維持するには、今起こっている社会問題とフリーソフトウェアがいかに関わり合うか説明を続ける必要がある」というのは正しいだろう。

ネタ元は Slashdot

発言小町20周年を祝し、ワタシのブログの発言小町関連エントリを改めて紹介する

われらが愛する掲示板サイト掲示板サイト発言小町が20周年を迎えるとのことで、特設サイトができている。

20周年を祝して、小町編集部が3つのトピを立てている。

まぁ、小町編集部としては、ほっこりきたり、ほろりと涙を誘ったり、爆笑させたいのだろうが、ワタシが発言小町に求めるものは違うのだよ!

人間心理、さらには人間存在そのものの言い知れぬ恐怖、それこそがワタシにとっての小町なのだよ。そう、小町ホラー!

というわけで、ワタシのブログで発言小町を取り上げたエントリを改めて紹介しておこう。これらを辿って読めば、人間って素晴らしい! と打ち震えること間違いなしである。

まぁ、アレですね。ワタシのブログもはてなダイアリーからはてなブログに移転し、アクセス解析で普段自分のブログで読まれている不動のトップが、上でリンクしている「ワタシが愛した小町ホラー」シリーズと「オナニーをして精液に血が混じっていたことはありますか?」であることを知ったときは、さすがに自分の人生の失敗さ加減を痛感させられましたよ……。

20周年を記念して、二冊新たに書籍化されるとのこと。小町ホラーの本を作るなら、ワタシが監修するんですがね(誰も頼みません)。

助けて!  ママ友地獄…。 (発言小町)

助けて! ママ友地獄…。 (発言小町)

ウェス・アンダーソンが語る映画の作り方

8月に公開されている動画だが、ウェス・アンダーソンが自らの映画を作るスタイルについて語っている。Director's Chair シリーズのひとつですな。

彼の映画へのアプローチの主なポイントは以下の5つ。

  1. 自らの過去を呼び戻す(Pull from your past)
  2. 世界を構築する(Build a world)
  3. 正確さとシンメトリーに集中する(Focus on precision & symmetry)
  4. ひらめきを見つける(Find your spark)
  5. とにかく撮影してみる(Just go shoot)

個人的には3がいかにも彼らしいと思った。

動画の中で彼の作品の多くの映像が引用されているが、特に語られているのは『天才マックスの世界』、『ファンタスティック Mr.FOX』『グランド・ブダペスト・ホテル』、そして『犬ヶ島』あたり。

犬ヶ島』に関連して、黒澤明宮崎駿に影響されたことを認めているが、それ以外にも葛飾北斎安藤広重の名前を出している。

さて、来年公開予定の彼の新作は「ジャーナリストたちへのラブレターのような作品」らしいが、例によって豪華キャストらしくて楽しみである。

ネタ元は kottke.org

そういえばワタシは未だ『天才マックスの世界』観たことないんだよな。もしやと思い Netflix を検索したが、彼の映画は『ムーンライズ・キングダム』しかないみたい。残念なり。

天才マックスの世界 [DVD]

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アド・アストラ

最初、「ブラッド・ピット主演のSF大作」と言われても、正直気持ちが動かなかったのだが、『2001年宇宙の旅』が引き合いに出されるのを聞いて興味を持った。ただ日本公開されると、なんだか賛否両論というか、ワタシの観測範囲では「否」のほうの声が大きいのでどうかと思ったが、ブラッド・ピット『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が良かったので、また彼に会いたくなった。

行くまでは、『2001年宇宙の旅』が引き合いに出されるのだからハード SF っぽい作りで、あと題材的に『インターステラー』や『コンタクト』みたいな感じなのかなと予想していたのだが、ズバリ『地獄の黙示録』、というか『闇の奥』でしたね。本作は演出にホラー的な味付けを感じたが、それも良かったかも。

作品のテーマは「孤独」である。「孤独は人をおかしくさせるから、家族を大事にしましょう」と書いてしまうといきなりお説教になってしまうが、孤独の痛みを抱えながら宇宙飛行士としての仕事を冷静確実にこなすブラッド・ピットが、当然ながら『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』とはまったく違った、でも感情を抑えた好演をしている。

正直、ワタシは SF 者ではないので、本作における宇宙の描写が科学考証的に正しいのかは分からない。天体物理学が専門のロチェスター大学教授の方によると本作に対する批判を知ると、そうなんですかと思うだけなのだが、本作は「静けさ」をよく表現していたように思うし、むしろ本作はブラッド・ピットが孤独の痛みを表現する内宇宙 SF でもある、と書くとさすがに大げさかもしれませんが。

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