当ブログは YAMDAS Project の更新履歴ページです。2019年よりはてなブログに移転しました。

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The Best Years of Our Lives

「"わたしがおまえたちを滅ぼすとして、それがおまえたちとなんの関係がある?"」
(劉慈欣『三体Ⅱ 黒暗森林』)

はじめに

この文章は、2020 Advent Calendar 2020 の第21日目の記事として書かれています。昨日は june29 さん、明日は pbn broadcast さんです。

2019年のこと

「ベスト・オブ・2020」について書く前に、前置きとしてその前年のことを少しだけ振り返っておきたい。

2019年は仕事を変えた関係で、やたらと東京出張が多かった。その副作用で業務後に人と会う機会を持て、サイゾーの「クロサカタツヤのネオ・ビジネス・マイニング」になぜか登場なんてこともあった。

当然のように、2020年もその延長線上で、海外含めいろいろ行き来するのだろうと思っていたが、まさかこんなことになろうとは。

昨年に会った中で特に印象的だったのが八田真行で、氏のことは以前より人間的な好き嫌いは別としてその仕事に敬意を払ってきたが、その日聞いた彼の発言をひとつとしてここに書けないという意味で、そのナチュラルボーン危険思想ぶりにこの人は本当に恐ろしいと畏敬の念を強くした。

インフルエンザ

2020年に入り、新年を迎えて少しは気を張っていたのが、早々にインフルエンザにかかり、出鼻をくじかれた形である。予防接種は前年秋に受けていたのだが、かかるときはかかるということか。

以前にもかかったことが絶対あるはずだが、医者にインフルエンザと診断されたのはこれが初めてだった。

初めてのものはなんであれ少しウキウキするもので――などと状況を楽しむ余裕はなく、特に熱が39度5分まであがると身動きが取れなくなる。

ただ心底辛かったのは一日程度で、その後は快方に向かった。ワタシが一月前半にインフルエンザにかかったおかげで、その報を機に職場で手指消毒用アルコールやマスクを購入することができた、と後に上司にヘンな感謝をされたりもした。

それから間もなく、アルコールもマスクも簡単に手に入らなくなる事態になろうとは思っていなかったわけで。

不眠症

大学時代まではいささか神経が過敏で(また精神の鋭敏さに対する憧れもあったろう)、寝つきが悪く不眠症に悩まされたものである。

それが就職してからは、酒をかっくらって高いびき、というだらしない有り様に無事落ち着いたのだが、それでも年に一二度は突発的にまったく眠れなくなる日がある。

コロナ禍で部屋にこもる時間が圧倒的に増えるとその不眠症が再発し、以前は年に一二度だったものが週に一二度くらいの頻度になって疲弊させられた。それにともなって酒量も増え、免疫力の低下の自覚もあった。

寝付けないままに悶々と考えることは、「これでは務める会社がどうなるか分かったものじゃない。というか、じきに自分も首切りにあって路頭に迷うのではないか。失業者だらけになれば、何の取り柄もなく若くない人間の再就職は難しかろう。故郷の実家に引きこもり、貯金を取り崩すとして何年持つか。それが尽きた後は――」という具合に陰鬱かつ凡庸なものだった。

ここまで読んで、その愚鈍さに既に引かれているだろうが、さらにもう一つ人間の小ささを白状しておくと、ワタシもいくらか株や投資信託に手を出しており、コロナ禍においてそれらの値が思い切り下がったのも精神的に結構ダメージがあった。

別に資産の大半を突っ込んでいたわけではないが、それでも三桁にはなるわけで、今年のはじめにプラス数十万だった評価損益が、あっさりマイナス数十万になっているのを見て平静でいるのは難しかった。

後になって、先崎学が『うつ病九段』(asin:4167915332)で書いていた「貧困妄想」に近いものを自分も抱えていたと思い当たるのだが、そういえばこの時期必死に将棋についての文章を書きあげている。

note.com

帯状疱疹

4月に入り、頭痛とともに熱が37度台に達したとき、とうとう来るものがきたとも思ったが、一方で少し前から頬の腫れもあった。果たしてどちらだろうと思っていたら、金曜朝に顔じゅうに症状が出ていたので答えが出た(今にして思えば、「両方」という可能性もあったわけだが、そのときは思い至らなかった)。

業務後に近所の皮膚科に出向き、一目で帯状疱疹の診断をいただいて薬を処方してもらったが、その日の夜からこれまでの人生で味わったことのない頭痛を体験することになる。

処方された頭痛薬を飲んでも改善せず、一晩中枕に顔を埋めて文字通り悲鳴をあげた。もうどうにもならないと朝方に生まれて初めて #7119 に電話をして事情を説明し、何か状況を改善する方法はないか教えを乞うた。

救急相談センターには、帯状疱疹は痛むところを温めるとよいので、水を絞ったおしぼりをレンジでチンして頭にあてろという方策を教えてもらった。これをやると確かに頭痛が大分マシになった。が、おしぼりが冷めた後のぶり返しの頭痛が凄まじく、再度おしぼりをレンチンする気力もなく、再び枕に顔を埋めて喉がおかしくなるくらいの絶叫となった。

しまいにはなぜかベッドを抜け出てソファーで気絶するように少しだけ寝て、目が覚めてから皮膚科を再訪し、頭痛薬を上限まで出してもらったが、部屋にあったあずきのチカラ首肩用をレンジでチンして、頭の痛む部位にあてるのが劇的に効果があった。

頭痛と比べると顔面の痛みは大したことがなかったが、それでも頬の腫れが引いてから痕が残った。若い頃であれば随分気に病んだに違いないが、そうでなくても顔にシミやシワが出る歳であり、割とどうでもよかった。

実はコロナ禍における情報共有と自由をテーマに長編技術コラムを書きたいという意欲が久方ぶりに高まり、それに向けて資料を地道に集めていた。文章を書きあげて、2018年秋の「インターネット、プラットフォーマー、政府、ネット原住民」以来の『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』の追加コンテンツにしようという思惑があったのだが、帯状疱疹のために時間をロスしてタイミングを逃したと感じると、やる気が失せてしまったのは残念なことである。

達人出版会高橋征義さんのおかげで、この電子書籍Kindle 版が今夏に出たのは著者としても驚きだった。

コロナ太り

酒量が増えると、それに伴って摂取するツマミの量も増え、それが蟄居生活による慢性的な運動不足と重なると必然的に太るわけだ。少しは室内で運動したり、夕食後に近所を歩く時間を増やしてみたが、コロナ禍前と比べて5キロは太ってしまった。

何しろコロナ禍前ですら、最低でもここから5キロは痩せないと話にならない(それを達成しても身長に対応する標準体重には遠い)と言っていたところに、痩せるどころかさらに5キロ増しである。もともと十分にデブだったのが、目もあてられないデブになり果ててしまった。

これに関しては自業自得としか言いようがない。案の定、過去の定期健診では悪玉コレステロールの値が高いのを除けばなんとか基準内に収まっていたものが、今年は決壊を思わせる数値がいくつも出ている。来年からは、酒量を抑えるのをはじめとして相応の努力が必要になろう。

ハッカー(笑)

2020年の個人的な成果を強いて挙げれば、CEH(Certified Ethical Hacker)の資格を取得したくらいで、最後になってなんとか間に合った形である。

IT 系の資格取得に意義はあるか? という話は未だに時折蒸し返されるが、突き詰めれば「取りたきゃ好きにしたら?」で終わる話で、つまりどちらか選ぶなら「ない」になる。そうでなくてもその方面の資格なら CISSP じゃね? と言われそうだが、この歳になってまさか自分が「ハッカー」、しかも『ハッカーズ大辞典』(asin:475614084X)で定義されるような正統的(?)なプログラマ像より、フードをかぶり暗い部屋でカタカタやってるようなイメージの「ハッカー」寄りの認定を受けたのが皮肉というか、そこはかとなく可笑しくていくらか慰めになった。

来年が今年よりひどくならないと誰が決めた?

2020年ももうすぐ終わりである。第三波による新規感染者数も重傷者数もクライマックスの様相を呈し、医療崩壊が現実のものとなったのもあり、故郷の実家で帰省するために購入していたフライトを先日泣く泣くキャンセルした。早割で買っていたため取消手数料がデカくてショックを受け、貧困妄想が一気にぶり返しそうだった。

それに限らず、とにかく堪えることの多い一年だったし、コロナ禍に対する日本政府の無策(むしろマイナス方向に足を引っ張っているようにすら見える)には苛立たされた人は多いだろう。

しかし、正直こう考えていたところはないだろうか?

「確かに日本の今の有り様はひどい。しかし、アメリカや欧州と比べれば、感染者も死者もはっきり少ない。あれと比べれば、我々はそれなりによくやっているではないか」

下を見て自尊心を保つのは卑しいと言われるかもしれない。でも、その心性がまったくないという人がどれだけいるだろう。正直に書こう。ワタシの場合、そうした欧米との比較で気持ちを保っていたところが確実にあった。

しかし、アメリカと英国で開発されたワクチンが実用化され、それもじきに覆される。

英国の医療調査会社エアフィニティーの予測によれば、ワクチン接種により日本が「社会が日常に戻る時期」は再来年4月で、これはアメリカよりも一年近く遅いばかりか、英国よりも欧州よりもオーストラリアよりも、さらにはラテンアメリカよりも遅い。早い話、先進国でもっとも遅い。

正直、アメリカが2021年4月に「社会が日常に戻る」なんて俄かには信じられないが、アメリカが遅れるかわりに日本が早くなる理屈はなく、大きなタイムラグがあることに変わりはなかろう。英国や欧州やカナダとの半年以上のタイムラグもまたしかり。

ゲームチェンジャーとはこのことである。日本はワクチン開発においても敗けたのだ。

日本よりひどい状況にあると思っていた国が、気がつけば当然のようにコロナ禍から立ち直り、大枠元に戻っているのに、我々は雪の中裸で外に放り出されて寒さに震え続けるような有様で耐え続け、医療崩壊におびえ続け、そこにだめ押しのように感染症対策が実質ノーガードで神風特攻的に東京オリンピックが強行され――という悪夢のような2021年のイメージが容易に想像できて暗い気持ちになる。

どうかこれが現実にならないでほしいと願うばかりである。まぁ、新型コロナウイルスの変異株のおかげでそんな見通しすべてがどっちらけというシナリオだってありうるけどね!

以上がワタシの「ベスト・オブ・2020」である。

最後に

はじめに書いた通り、この文章は 2020 Advent Calendar 2020 の第21日目の記事である。

ワタシはこれまで一度も Advent Calendar というヤツに参加したことがなく、というかこれまで誰からも誘われたことがなく、年末になると密かにいじけていた。なのに、昨年 taizooo さんに 2019 Advent Calendar 2019 にお誘いいただくと、今度は緊張で硬直してしまい、果たして自分に何が書けるだろうと自問しているうちにカレンダーがすべて埋まっていたという体たらく。

ワタシの人生、大方そんな感じだよな、とまたしてもいじけてしまったのだが、今年も懲りることなくロートルにお声をかけてくださった taizooo さんに感謝する。

雑文書き・翻訳者としての yomoyomo は2016年末をもって終わった存在であり、そうでなくても今年あったネット関係での不愉快な話は書きたくないので、本ブログにおいては例外的だが、端的にワタシ自身のことを書かせてもらった。

本日の更新が、本ブログの2020年最後の更新になる。

COBOLのコードは未だに我々の金を握っており、バリバリ現役である

www.wealthsimple.com

この文章は、1969年にトロントの高校を出たばかりの、特に人生の目標もなかったトーマスの話から始まる。彼の父親は大工だったが、あいにく彼は不器用ときた。そこで母親が彼に新奇なものを勧めた。「コンピュータプログラミング……とかどう?」

トーマスはカナダの大きな銀行に入行し、1978年にプログラマーとしてのキャリアをスタートした。彼は常にパズルを解いているようでプログラミングが好きだった。彼はコードを書いては「パンチカード・オペレータ」に渡した。日に二度カードを銀行の巨大な「メインフレーム」コンピュータに食わせるが、そのコードが正しく動いているか分かるには数時間かかった。ヘマをやらかしたら、トーマスはエラー文を凝視して、COBOL のコードを書き直してやりなおしだ。

数年のうちにトーマスは COBOL が得意になり、かけがえのない何千行ものコードを書いた。銀行が支払いを行うのは彼のコードだ。70年代、80年代、90年代とトーマスと同僚のコーダーは数千万行もの COBOL のコードを書いた。彼が特に誇りに思うのは、1日に300万~500万ものトランザクションを処理可能な非常に高速なプログラムである。彼がそのプログラムを最初に書いたのは1988年だった。そして、そのコードは今なお走り続けている。

トーマスは2007年に60歳で退職したが、銀行は彼が書いた、その時点で20年もののシステムに依存していた。実際、彼と同僚の書いたコードは、今なお銀行の業務になくてはならないものだと彼は信じている。というのも、リタイアしたトーマスのもとに銀行から彼のプログラムのことで電話があるのだ。銀行にはトーマスほど COBOL を理解している従業員がもはやいない。今なお銀行の重要なシステムを担うコードを書いた人たちは、トーマス同様皆引退している。一方で、ほこりくさい、50年もののコンピュータ言語を学びたいと思う若いコーダーはいない。

なのでこの大銀行は、今や73歳のトーマスのような人にいまだ頼り、新しい機能や改良を依頼すらしている。COBOL はあなたよりも長生きするだろうかと問われ、トーマスは答える。

「だろうね」

――ああ、こういう文章楽しいねぇ。これを書いているのは、少し前に『Coders(コーダーズ)凄腕ソフトウェア開発者が新しい世界をビルドする』が出たクライブ・トンプソン(Clive Thompson)である。

アメリカの金融機関で行われるトランザクションの80%超が COBOL で動いており、銀行のカードでお金を引き出すときにかかる時間の95%に COBOL が関わっているそうな。正確なところは誰にも分からないが、2400億行もの COBOL のコードが、我々の日々の生活のもっとも重要なところを静かに担っていると推定されるらしい。「アメリカで石油に続いて二番目に価値がある資源は、この2400億行もの COBOL のコードなんです」と語る人もいる。

COBOL が今なおバリバリ現役で、重要な役割を担っていることは分かった。新しいものが尊ばれるようにみえるテック業界の常識を超越した話だが、ここに COBOLパラドックスがある。COBOL があまりにも安定して動いているものだから、何か変えたいと思っても、それをやるのは危険すぎるのだ。しかし、金融機関の顧客が期待するものとの乖離も出てくるわけで――このあたりから COBOL についての文章らしく、ワタシには退屈になって読み通す意欲が急激に失われてしまうのだが(笑)、まぁ、お時間のある方は読んでみてくださいな。

COBOL が死にかけているという噂が業界全体でありました」と COBOL を開発したグレース・ホッパーは1981年に回想している。しかし、幸か不幸か言語の誕生から60年経った今現在も COBOL は世界を回している。

ネタ元は Boing Boing

標準COBOLプログラミング

標準COBOLプログラミング

もうすぐ20歳の誕生日を迎えるウィキペディアとそれを祝う(?)書籍の刊行

yamdas.hatenablog.com

この文章でワタシは、「ウィキペディアは来年の1月15日に20歳の誕生日を迎える」「Wikipedia は非営利では今や世界最大のウェブサイトであり、20年はキリが良いので、来年のはじめにはなんらかのイベントがあるんだろうな」と書いたが、その露払いになりそうな Wikipedia @ 20 という本が MIT Press から出ているのを知った。

Wikipedia @ 20: Stories of an Incomplete Revolution

Wikipedia @ 20: Stories of an Incomplete Revolution

  • 発売日: 2020/10/13
  • メディア: ペーパーバック

「未完の革命の物語」と題されたこの本は、20名あまりの寄稿者がそれぞれにとってのウィキペディアのストーリーを語るものだが、編者を務める(寄稿者でもある)ジョセフ・リーグルは Good Faith Collaboration: The Culture of Wikipedia日本語訳)の著者なので信頼できる。

wikipedia20.pubpub.org

というか書籍の公式サイトにおいて CC BY 4.0 のライセンスのもとで全文公開されているのか。

なお、ワタシは GFC 以降もジョセフ・リーグルの仕事を追ってきたのだが、彼も10年ぶりにウィキペディアに戻ってきた感じか。

wirelesswire.jp

yamdas.hatenablog.com

この本の制作はウィキメディア財団も後援したようで、ウィキペディアの共同創始者であるジミー・ウェールズも「ウィキペディアの20年を扱ったこの優れた洞察のコレクションには、ウィキペディアの貢献者が骨を折って手に入れた英知、学者の奇抜な省察、そしてこれからの20年を方向付けるのに必要なことを含んでいる」と推薦の言葉を寄せている。

さすがにこの本には「ネットにしか居場所がないということ(前編)(後編)」のような文章は含まれていないんだろうな……。

いよいよ現実的な話題となったGAFAの解体を考える上で重要なサリー・ハバード『Monopolies Suck』

jp.techcrunch.com

いわゆる GAFA に代表される、プラットフォームを握るテック大企業を独占禁止法違反に問えという声は年々大きくなる一方だったが、遂に Facebook に対して米連邦取引委員会が分割を要求するところまできた。

この問題についてはワタシも、ティム・ウーの『大企業の呪い:新たな金ぴか時代における独占禁止法』、並びに彼による Facebook が解体されるべき理由の解説を紹介してきたわけだが、結局『The Curse of Bigness』の邦訳出ないみたいやね……。本件については、「Facebook 提訴は競争回復に向けた第一歩」という電子フロンティア財団の見解に同意する。

この話題についての良い副読本としては、コリイ・ドクトロウが独占禁止とテックプラットフォームを専門にするサリー・ハバード(Sally Hubbard)のこの秋出た Monopolies Suck という中学生のような(笑)タイトルの本を紹介していたのを思い出した。

彼女は GoogleAmazon についてこれまでもその市場独占についてメディアからコメントを求められることが多いので、彼女の立ち位置は明らかである。

gigazine.net

www.bbc.com

『Monopolies Suck』に話を戻すと、「大企業があなたの人生を支配する七つのやり口とあなたの人生のコントロールを取り戻す方法」を説くものらしいが、推薦の言葉を寄せる中に前述のコリイ・ドクトロウなど予想のつく名前に交じって、ドン・ヘンリー、そう、あのイーグルスドン・ヘンリーが「創造的なコミュニティは独占化されたアメリカで法外な高値を支払い、何百万人ものアーティストがビックテックの利益を優先するルールの元で苦労して生計を立てている。サリー・ハバードは我々が反撃する方法――そしてそうしなければならない理由――を明確に述べている」と推薦の言葉を寄せているのにちょっと驚いた。

米国人は結局ビッグテックはそれほど悪くないと考えているという記事もあったが、Facebook はじめテック大企業も黙っておらず、目の敵にされまいといろいろゆさぶりをかけるなどして抵抗するのは間違いない。

フレッド・ウィルソンの「解体(Break Up)でなく開放(Open Up)しろ」という意見は確かに納得感があるが、Facebook は解体すべきだとワタシは思います。

「クイーンズ・ギャンビット」を観て将棋ファンとして思ったこと

今年世界的に大ヒットした Netflix「クイーンズ・ギャンビット」だが、少し前にワタシも遅ればせながら完走した。

観る前から評判を聞いていたので、ep1 がまったく面白く感じなくて不安になったが、アニャ・テイラー=ジョイが登場してからは素晴らしい。カラーコーディネートを含む衣装や画作りの意匠がとにかくよくできているのだけど、アニャ・テイラー=ジョイのユニークな顔の造形、たたずまいがそれと相まって魅力的だった。

このドラマにおけるチェスの描写は、将棋愛好家のワタシ的にいくつも面白いポイントがあったので、それを思いつくままに書いておく。なお、ワタシはチェスはルールもほとんど知らないレベル。

封じ手

これは将棋もあるのだけど、チェスはえらく一方的にやるんだなという感想。

昔、将棋雑誌で、チェスの封じ手で「2~9のどれにでも読める文字」を書いた選手がおり失格になったという話を読んだことがあり、逆にその「2~9のどれにでも読める文字」を見たいよと思った覚えがある。

封じ手を図面に矢印でも記す将棋ではそうした問題は起こらない。これは文盲の坂田三吉に恥をかかせてはいけないと考案されたらしいが、誤解の余地を減らす意味でこちらのほうが優れていると思う。

実は、将棋のタイトル戦でも危うい事例が過去あったらしいが、そういえばドラマ「古畑任三郎」の「汚れた王将」も将棋の封じ手が殺人の契機になっている。しかし、それは現実の対局には起こりようがない筋で、確か三谷幸喜もこの回のトリックの不備を認めていたはず。

頭の中のチェス盤

このドラマでは、主人公の主観で天井にチェス盤が映し出される趣向がとられており、それが最終回にぐいっと活きるのだけど、これは「頭の中のチェス盤」のユニークな表現方法である。

この「頭の中の盤」は将棋指しもプロアマ問わず持っているのだけど(天井に映るという人はさすがにいないと思うが)、藤井聡太二冠にはこの「頭の中の将棋盤」が無いらしいという話は、それだけで彼の天才性を確信させるに十分な驚きがある。

記録

チェスってプレイヤーが自らの指し手を自分で紙に記録するんだね。将棋の場合、プロの卵の奨励会員が記録係を務めるので新鮮に感じられた。

このドラマを見ていて、主人公の対戦相手が「負けたよ」とか言うのを見て、その後何か不正をやるんじゃないかと身構えたワタシからすると、これは将棋の世界のほうが性悪説に則っているんだなと思い当たった。

長考

テレビドラマなので仕方ないのだけど、早指し戦でなくてもテキパキ指し手が進み、長考の末に考え抜いた渾身の一手を指すという描写がほぼなかったのは少し物足りなかった。

ただ将棋の世界からすると、チェスは持ち時間がはっきり短いんですね。将棋の名人戦は持ち時間9時間の2日制だし、順位戦は持ち時間6時間である。

ただこれでも短くなったほうで、持ち時間短縮化の流れは将棋の世界でもあるのだけど、今よりも短くするのは将棋のコクが薄くなるようであまり賛成できないというのが個人的な意見である。

助言(共同研究)

注意:以下、最終回の内容について触れます。

ソ連での主人公とボルコフとの決戦のとき、彼女の仲間たちの研究が国際電話で伝えられるが、これはソ連のチェスプレイヤーが強いのはある種の団体戦をやってるからで、一方でアメリカのプレイヤーは個人主義で協力することなど考えないから彼らに勝てない、という物語上の文脈があるのだけど、上記の場面を将棋の世界にあてはめると微妙である。

つまりは、例の将棋ソフト不正使用疑惑騒動と呼ばれる、三浦弘行九段というトップ棋士棋士生命を殺しかけた極めて不愉快な冤罪事件があった後では、たとえ封じ手の後の夜中であっても、決戦の最中に電話で助言というのはかなりマズい。

ただ「クイーンズ・ギャンビット」の名誉のために書いておくと、そうした研究だけで勝てるという描写にはなってないので誤解なきよう。

さて、それはそうと、このドラマのおかげでチェスの人気が高まっているというのは面白い。ネット対戦もできるので、コロナ禍に適した趣味の一つと言える。将棋もあやかりたいところですね。

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その38

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』だが、Amazon 版にまた新しいカスタマレビューが追加されていた。

今回も5つ星でありがたいのだが、Amazon Customer という名前で自作自演を疑われそう(笑)。さすがのワタシもそれをやるまでは落ちぶれてませんので、誤解なきよう。

[追記]:このカスタマレビューの執筆者が名乗り出てくださった。あなただったか!

2020年の今から見れば、2013年というのはインターネットの時間感覚で言えば大昔ということになりますが、内容にほとんど違和感はありません。むしろテクノロジーによる格差拡大、プライバシー、人工知能アルゴリズムに選択を委ねること、巨大企業のインターネット支配と、それらに対する政治や法整備の遅れなど、本書で問題視されている多くのことが今日ますます顕在化していると言えます。今よりもテクノロジーにずっと楽観的であった当時において、こうした諸問題を一早く取り上げた本書の切れ味はとても鋭いのですが、現実にはyomoyomoさんの懸念以上に世の中は悪くなっているのではないか、とさえ思います。

インターネットに対する暗い予言と明るいヒント

悲観的な厭世家のワタシの懸念以上に悪くなった世界……。まぁ、2020年はそういいたくなる年だったわな。

もちろん本書は来たるべき(あるいはそのあと実際に来てしまった)テクノロジーの暗い未来を嘆くだけではなく、個人による情報発信、特にブログに対しては、巨大プラットフォームを打ち破ることはできなくても……という前置きはありつつ、前向きなメッセージが繰り返されます。本書をインターネットにおけるプラットフォーム対個人の物語として読み解くのは単純化が過ぎるかもしれませんが、開かれたウェブを絶滅させないためのヒントはまだあると信じたいです。

インターネットに対する暗い予言と明るいヒント

こう書いていただけて嬉しい。「特にブログに対しては」って、こないだ書いた「ますます「暗い森」になりつつあるインターネットの中で個人ブログを書くことの意味」をどうしても思い出してしまう。

それではまだまだ感想をお待ちしております。今更と言わず、Twitter でつぶやくだけでも結構ですので。

お前も技術的負債にしてやろうか! もしくは技術的負債と和田卓人さんをめぐるシンクロニシティ

みんな大好き、技術的負債の話題である。

t-wada.hatenablog.jp

まずはエチケットペーパーというか議論の前提として、和田卓人さんのブログエントリをはっておく。

技術的負債という概念の生みの親であるウォード・カニンガムの説明を読み直すと、「技術的負債」という言葉の一般的にイメージとは結構違うという話だが、ワタシ自身、技術的負債といえば、和田さんが書くように「リリース優先で雑なコードを書いたものの、結局はきれいに書き直されていないコード」や「古くなってしまった技術基盤(言語やインフラやフレームワーク)」のことだと思い込んでいた。これには蒙を開かされた。

ieeexplore.ieee.org

偶然だろうが、和田さんの文章が公開されたのと同じ今年の6月、IEEE Software に技術的負債についての文章が掲載されている。これを書いたのは、『Just Enough Software Architecture: A Risk-Driven Approach』(asin:0984618104)の著書もあるジョージ・フェアバンクス(George Fairbanks)である。

「近頃では、みんな技術的負債という言葉を使う。あまりに一般的になったので、tech debt とか単に TD とか短縮して使うくらいだ。技術的負債という言葉の指す範囲が年月とともに拡大しており、そのせいでウォード・カニンガムが1992年にその言葉を発明したときに語っていた興味深い現象を多くの人が見失ってしまっている」と、まさに和田さんの文章と重なる内容が書かれている。こういうシンクロニシティは面白い。

ジョージ・フェアバンクスが強調するのは、病気によって必要な薬が異なり、いろんな病気を一括りにしてしまうと薬の選択が難しくなるように、いろんな問題を「技術的負債」の傘の下に一括りにしてしまうと対応を間違ってしまうので、言葉の厳密な定義を持っておくべきだということ。現在広まってしまった「技術的負債」の広い定義が強力すぎて変えられないのなら、(ウォード・カニンガムが意図した)元々の「技術的負債」を指す場合は ur- をつけて、ur-technical debt と言ったらどうかと提唱している。

その上で、ur-technical debt は基本的に静的解析によっては検出されないにも関わらず、コードが「技術的負債」かどうか判定できるかのように謳うツールがたくさんあることに苦言を呈している。

さて、ワタシがこのジョージ・フェアバンクスの文章を知ったのは、11月20日Four short links だが、これも偶然だろうがその少し前にオライリーのブログにやはり技術的負債をテーマにした文章が公開されている。

www.oreilly.com

これを書いているのは『プログラマが知るべき97のこと』の原著者である Kevlin Henney で、この本の監修を手がけているのが和田卓人さんなんですな。これまたシンクロニシティ

文章のタイトルは「技術的負債の正確性について」で、やはり彼なりにこの言葉の定義をとらえなおすものである。

彼が書いているのは、ソフトウェアにとっての悪夢を指すのにメタファーとして生まれた言葉の話で、1970年代には、階層化されていない制御フローのもつれを指す「スパゲッティコード」、その後には時間経過による劣化の感覚を指す「コードの劣化(code decay)」や「ソフトウェアの腐敗(software rot)」という言葉が生まれている。

「技術的負債」もこれらの言葉の系譜に連なるものと見なされており、しかも、「技術的負債」の場合、金融の負債のメタファーが強力で、いろんな人にとってとてもなじみがあるものだったため、品質の低いコードを指すようになったり、定義を拡大されて広まったということでしょうな。

メタファーを文字通り解することで、我々はその価値を奪ってきた。いくらそれが言いえて妙であっても、メタファーを適用範囲を超えて使ってしまうと、メタファーのせん断(metaphor shear)につながってしまう。それは飽くまでメタファーであって、その正体(identity)ではないのだ、と Kevlin Henney はしめくくっている。

プログラマが知るべき97のこと

プログラマが知るべき97のこと

  • 発売日: 2010/12/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

Engineers in VOYAGE ― 事業をエンジニアリングする技術者たち

Engineers in VOYAGE ― 事業をエンジニアリングする技術者たち

  • 発売日: 2020/08/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

[2020年12月18日追記]:本エントリに和田卓人さんから反応をいただけた。いろんなところにシンクロニシティが!

はやくも「AI倫理」の問題が争点となってきた(し、それをテーマとする本も刊行される)

wired.jp

www.itmedia.co.jp

はやくも「AI倫理」がホットな問題、というかコンフリクトの争点になってきた……という書き方は少し勇み足で、管理職から見て扱いずらかった AI 研究者を機を見てお引き取りいただいた、というのが実態に近いのかもしれない。たとえそうでも Google 側の説明にはどうしても無理を感じるので、Google 内外で本件の余波がありそう。

さて、少し前に「ロボット・AI時代にその危険性と人間の専門技能の擁護を説くフランク・パスクアーレ『New Laws of Robotics』」を書いた際にフランク・パスクアーレのことを調べていて、彼が Oxford Handbook of Ethics of AI という本に関わっているのを知った。

The Oxford Handbook of Ethics of AI (Oxford Handbooks)

The Oxford Handbook of Ethics of AI (Oxford Handbooks)

  • 発売日: 2020/07/10
  • メディア: ハードカバー

Ethics of AI、つまり「AI倫理」については、少し前にも MIT Tech Review で、『AI社会の歩き方―人工知能とどう付き合うか』(asin:4759816801)の著書もある江間有沙氏の「なぜ今「AI倫理」の議論が必要なのか」という記事を読んでいたのだが、必然的にこの議論が表舞台に出てきた感じである。

しかし、上記の本、とても気軽に買える値段ではない。残念……と思っていると、The MIT Press から AI Ethics というそのものズバリな本が出ているのを知った。

こっちを買ったものかねと思いながらもう少し調べてみると、なんと年末に『AIの倫理学』として邦訳が出るじゃない!

AIの倫理学

AIの倫理学

これは実にタイミングが良い。原書刊行からほとんど時間が経っていないことを考えると、版元も相当期待しているのではないか。

太陽光発電の価格がこの10年で9割近く下落しているのに驚く

ourworldindata.org

再生エネルギーによる発電に期待しない人は多いに違いない。化石燃料でなく再生エネルギーで電気をまかなえるようになればよいのだが、再生エネルギーは石油や原子力に比べて発電にコストがかかるので、現状では化石燃料への依存は不可避――というのが大方の見方ではないだろうか。

なので、「なぜ再生エネルギーは急速に安くなったのか? グリーンエネルギーの成長がもたらすこのグローバルな機会を利用して我々には何ができるだろう?」と題した記事を見て、その先入観が完全に間違っているのを知って驚いた。

とりあえずこの記事の上から3つ目のグラフを見てほしい。2009年、つまりおよそ10年前の時点でも、太陽光発電の価格は MWh あたり359ドルで、石炭、地熱、原子力天然ガス、風力などと比べてもダントツで高価だった。ワタシもそうだが、この認識で止まっている人がとても多いのではないだろうか?

そして、それが2019年にはその価格は40ドルと89%も下落しているのだ。この10年で天然ガス風力発電の価格も下落しているが(原子力などあがったものもある)、それらと比較しても現在もっともコストが低い発電方式ということになる……って、これホント?

こういうことこそマスメディアで報道してほしいよな、と自分の認識不足を棚に上げて思ってしまう。もちろん、それが実現した要因の分析も併せてね。こういう進歩に関する知識がちゃんと広まってないと見誤るものが多いと思うのよ。

ネタ元は kottke.org

2020年に観たNetflix映画の感想まとめ(主に『Mank/マンク』)

毎年20本以上の新作映画を映画館(や機内放送)で観てきたのだが、ご存知の通りの事情で2020年に映画館で観た映画は8本だけとなる(はず)。実に寂しい話である。

その代わりと言ってはなんだが、今年は Netflix で何本か新作映画を観たので、その感想をまとめて書いておく。今年はじめに書いた「年末年始に観た映画についてざっと書いておく」より後に観た映画ということですね。

ジャックは一体何をした?(Netflix

まぁ……これも映画ですからね、一応。

8年前にラフォーレ原宿で開催されたデヴィッド・リンチ展で観たフィルムを思い出させる、やはりリンチとしか言いようがないヘンテコだけど微妙に笑える短編としか言いようがない。

とりあえず Netflix で制作するらしい新作ドラマに期待しましょう。

ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから(Netflix

両手いっぱい広げてこの映画を抱きしめたくなるほど良かった。Twitter で何度も書いているが、心を震わせる素晴らしい映画なので、Netflix に入っている人は絶対観ましょう。

三角関係を構成する主人公はじめ三人がいずれもよいのだけど、一見脳筋のバカが割り当てられそうなアメフト選手のポールがすごくいい奴、というのが本作のうまさですね。

カズオ・イシグロの『日の名残り』、ヴィム・ヴェンダースの『ベルリン・天使の詩』、サルトルの『出口なし』といった作品の使い方にもそれぞれちゃんと意味があって良かった。

しかし、15年ぶりにアリス・ウーに監督をさせた Netflix は偉い。


ザ・ファイブ・ブラッズ(Netflix

スパイク・リーが好調を維持していることが伝わる作品で、狙ったわけではないはずだが Black Lives Matter ムーブメントに見事にリンクしてしまったところにマジックを感じるし、カリスマ性に満ちたノーマン役を演じたチャドウィック・ボーズマンが8月に亡くなってしまったため、そうした意味でも特別な作品になってしまった。

本作は言うまでもなく『地獄の黙示録』が準拠枠になっているが、現地のベトナム人が「アメリカ戦争」というところをはじめとして皮肉が効いている。

しかしなぁ、やはりベトナム帰還兵のベトナム戦争当時の回想シーンを爺さんたち本人がやり、その中に一人チャドウィック・ボーズマンが入るという画がどうしてもヘンにしか思えなかった。やはり当時のシーンは若い俳優をあてるべきだったのではないか。


もう終わりにしよう。(Netflix

チャーリー・カウフマンの監督作は『脳内ニューヨーク』が大好きなのだけど、『アノマリサ』は未だ観れていない。

かなり期待して本作を観たのだけど、ダメだった。『オクラホマ!』を知らないと演出の意図が分からないという話をあとで読んで、そりゃワタシはダメだと安堵したくらい。原作を先に読んでおくべきだったか。

鑑賞後にネットでネタバレ考察を読み、「えっ、あれってそういう映画だったの?」と驚いたほどで、本作のラストが『ビューティフル・マインド』のパロディであるのはワタシにも分かるが、だからなんなんだ? それの何が面白い? と言いたくなるというか、とにかくワタシには手に負えない映画でした。


監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影

yamdas.hatenablog.com

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エノーラ・ホームズの事件簿(Netflix

SHERLOCK/シャーロック』など少ない例外を除き、ワタシはシャーロック・ホームズの翻案ものはあまり好きではなく、シャーロック・ホームズの妹がいるという設定の本作にも興味が湧かなかったのだが、面白いという評判を小耳に挟んだので観てみた。

ストレンジャー・シングス 未知の世界』でおなじみミリー・ボビー・ブラウンが主演だが、これが『ザ・ファイブ・ブラッズ』とは違った意味でまさに今どきな映画になっている。本作におけるシャーロック・ホームズのキャラクター造形は気に入らないが、彼が政治に無頓着なのは脅かされない特権があるからだと妹から突き上げられるのは面白かった。

主人公もテュークスベリー子爵を演じるルイス・パートリッジもキュートだし、とてもいまどきな作品なのは書いた通りだが、いまどき過ぎて展開が読めてしまうところが弱かった。


シカゴ7裁判(公式サイトNetflix

とてもアーロン・ソーキンらしい作品で、こうしてみると Netflix は本当にタイムリーな映画を今年たて続けに公開したんだなと思う(本作の製作は Netflix ではないけど)。

面白かったのだけど、少し評価は難しいところがある。「シカゴ7」がタイトルになっているが、その中に入れてもらえないボビー・シールの境遇の不愉快さが印象的だった。

サシャ・バロン・コーエンのことは『ヒューゴの不思議な発明』のときも感心した覚えがあり、今アビー・ホフマンをやるなら彼しかいないと思った通りだった。フランク・ランジェラマーク・ライランスマイケル・キートンジョン・キャロル・リンチといったベテランたちが芸達者ぶりを見せている。


Mank/マンク(公式サイトNetflix

今年の Netflix 映画のベストは『ハーフ・オブ・イット』以外ありえないと思っていたが、最後にこれが来た。以下、内容に触れるので、未見の方はご注意ください。

本作は実は映画館で観れたはずで、『ROMA/ローマ』『アイリッシュマン』の経験からもそうすべきだという確信があったのだが、あいにくタイミングが合わなかった。コロナ禍では映画館ひとつ行くのも大変だ。

当代最高の映画監督の一人であるデヴィッド・フィンチャー『ゴーン・ガール』以来に撮る映画である。その間にもやはり Netflix の『マインドハンター』で楽しませてくれたが、やはり映画は特別だ。

さて、かつてデニス・ホッパーはこう言っている。

アメリカン・フィルム・インスティテュートによると、『地獄の黙示録』は"偉大な映画トップ100"に入る作品だそうだよ。『ジャイアンツ』と『理由なき反抗』、それに『イージーライダー』も入ってるんだ。だから、おれは偉大な映画100本中4本に出演したってわけだ。ちなみに、1位は『市民ケーン』だそうだ。それに関しちゃ、なんの文句もないね。(CUT 1999年8月号)

市民ケーン』は、映画史上最高の作品を挙げるなら未だトップにくる作品である。本作でも名前が出る『闇の奥』の翻案である『地獄の黙示録』や、『ドン・キホーテを殺した男』改め『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』など、「オーソン・ウェルズですら作れなかった」映画を手がけることで、その映画史上最高の作品を作ったオーソン・ウェルズに一矢報いようとした人はいる。

しかし、フィンチャーは本作において、『市民ケーン』自体に手をかけている。本作はその脚本を書いたハーマン・J・マンキーウィッツを主人公とするが、本作の脚本自体フィンチャーの父親が遺したものであり、当然のように本作の構成も「時間軸が飛躍する」など『市民ケーン』に寄せたもので、そのあたり分析の対象となるだろう。チェンジマークの忠実な再現など、ルックのこだわりは基本中の基本だ。

まず、本作は誰にでも勧められる映画ではまったくない。何より『市民ケーン』を観てないとどうしようもないし、ウェルズ、ウィリアム・ランドルフ・ハースト、マリオン・デイヴィスといった主要人物は当然として、当時の映画界の大立者の相関も分かってないと厳しい。本作に名前が何度も出てくる「シンクレア」は小説家のアプトン・シンクレアだが、映画会社の人間の軽口で、同時代の作家のシンクレア・ルイスの『エルマー・ガントリー』が引き合いに出されたりする。そのあたりまで大枠掴めることが前提になっている。

それでもワタシは本作を傑作だと推したい。フィンチャーの最高傑作ではないが、これぞ映画である。

本作のクライマックスとなるのが、主人公のマンクが長広舌を振るってハーストと対峙する場面、そしてマンクとウェルズの対決のカットバックなのがすごい。前者でゲイリー・オールドマンがここぞとばかりに本領を発揮しているが、このあたり好き嫌いはあるかもしれませんね。あとマンクの妻の描き方にも批判があるかも。

『ソーシャル・ネットワーク』、『ゴーン・ガール』に続いて本作もトレント・レズナーアッティカス・ロスが音楽を手がけているが、今回も秀逸。レズナーが1930~1940年代にピッタリなサウンドトラックを作れるなんて想像もできなかったが、昨年の『ウォッチメン』で当時の音楽を聴きこんだことが功を奏したらしい。『ウォッチメン』も攻めていて良いドラマだったが、改めて感謝したくなる。

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』への反応 その37

『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』だが、前回の更新Amazon 版に低い星のカスタマ評価がついたことを触れたら、それに同情してくださってか、5つ星のカスタマレビューが2個追加されていた。

そのうち一件はなかむらかずやさんによるもので既出だが、ともあれ高い評価はありがたいことである。以下、新たなレビューから引用させてもらう。

Kindleってこういう使い方が出来るんだなぁ、と関心するようなユーザビリティの良さだった。リンク先の内容も含めると、短い本文から多くの情報(新書だと10~25冊分くらいの内容)をこの一冊から読み取ることが出来る。

良いインターネットのあり方について膨大な原典へのリンクと共に多くの議論が紹介されている。

新書10~25冊分くらいの内容! 皆さん、これを買わない手はないですよ!

この本で取りあげられているディストピアへの懸念が現実化した2020年にこの本を読むことが出来たことは幸運であり、著者のようにもうちょっと視座を上げて生きないといけない、と考えさせられた。

良いインターネットのあり方について膨大な原典へのリンクと共に多くの議論が紹介されている。

ワタシの文章の論調が暗いのは、もちろんワタシの性格が暗いからというのもあるのだけど、特にこの本で書いたことの苦さを再確認することが多々あった2020年だったとは言えるだろう。

このように反応が続く限りは、その宣伝目的であるこのブログも続くことになります。

ますます「暗い森」になりつつあるインターネットの中で個人ブログを書くことの意味

yamdas.hatenablog.com

昨年6月に公開した文章だが、先日「パブリッシングの主軸をはてなからnoteに移した/移しつつある人たちをまとめてみた」で紹介したところ、初めて読んだ人が多かったようで、はてなブックマークが増えていた。

この「暗い森」になりつつあるインターネットというトレンドは、これを書いたおよそ一年半前より(Twitter の荒れ度合い、可燃性の高まりと呼応して)はっきりしてきたように思う。

ここで「暗い森」の代表として挙げられていたのはニュースレターやポッドキャストである。

アメリカにおけるニュースレターの盛り上がりについては、以下の市川裕康さんの文章が参考になるだろう。

しかし、ワタシはどうもニュースレターに乗り切れないところがある。そのあたり少しモヤモヤしていたところ、ポッドキャスト Rebuild でそのあたりを突く発言があったので少し文字起こししてみる。

rebuild.fm

だいたい1時間47分あたりから。「ロストテクノロジーとしての RSS」の話からの流れである。

miyagawa:最近、でもないですけど、ここ2、3年、ニュースレターがめちゃくちゃ流行ってるんですよね。アメリカでは特にそうなんですけど。日本でいうと、メルマガって言われているのかな。

higepon:ああ、個人がやるやつですか?

miyagawa:そうです、そうです。アメリカは特にそうなんですけど、ここ2、3年……もっとかな、なんかみんなウェブサイトでブログやるのを止めて、ニュースレターになってるんですよ、情報発信が。で、有料のものとかもあって、Substack ていうサイトとかすごい盛り上がってて、要は簡単に有料のニュースレターを始められるサービスみたいな

higepon:うん

miyagawa:いいんですけど、僕としては、ニュースレターじゃなくて RSS にしてくれとか思ってしまうので。なんていうかね、ロストテクノロジーの中でも、Eメールはちょっと復興の兆しがある中、RSS はなんかもうみんな使わないというのがありますね。やっぱ、ニュースレターはEメールアドレスが集められて、みんなEメールはなんだかんだ見るから。そこの一等地に情報を届けたいっていう要望があるっぽくて。例えば、The Verge のチーフだったエディターの人も Verge 辞めて、自分でニュースレター立ち上げて、とかやってますからね。なんか最近すごい盛り上がりを感じますね

higepon:確かに僕もニュースレターは、サブスクライブしているのがあって、例えば、知り合いのデザイナーの人がバイウィークリーで出してるやつとか、あとは Weekly Kaggle News っていう、最近 Kaggle でホットなトピックを流してくれるのを見てるとかありますけど、やっぱりちょっと気になるのが、マインドセットの違いですかね。メールを開いてるときにニュースデータを見たい気持ちかというとそういうわけでもなくて

miyagawa:そうなんですよ

higepon:ニュースレターとか見たいときは、クリエイティブになりたいときとか、あとちょっとまとまった時間があるときにそういうものを見たいんだけど、それが例えば、「楽天市場セール中」に混ざってると、なんか、ん? これはマインドセットが違うぞ、と思っちゃうとかありますね

miyagawa:そうなんですよ。Inbox にそれを残しておきたくないんですよね。かといって消すと、読まないんで絶対に。で、一応ね、解決策があってですね、kill-the-newsletter.com というサイトがあるんですよ。ちょっと名前が物騒なんですけど。要はEメールアドレスを勝手に生成して、そのアドレスでニュースレターにサブスクライブすると RSS フィードを吐いてくれるっていう、まさに僕が求めていたような(笑)サービスで、無料なんですけど、これがなかなかよくできてますね。それを使っています

まさにこれである。ニュースレターを見たいときと、メール処理をやるときのマインドセットが合わないんですな。

[2020年12月17日追記]Substack がニュースレターの購読をまとめるべく RSS リーダーを立ち上げるという報道があった。RSSロストテクノロジーではなかった!(笑)

さて、次はポッドキャストだが、こちらの分野は Spotifyビデオポッドキャストを含め主導権を握るべく攻勢をかけており、「ポッドキャストのYouTube」を目指しているのは間違いなさそう。

www.nejimakiblog.com

そんな Spotifyポッドキャスト関連の話題はイケイケな話ばかりという印象があったのだが、ワタシもたまに聞いている日本オリジナルの人気番組でも打ち切りの心配をしなければならないのかと意外に思ったりした。

これはポッドキャストに限らないが、平和博さんが「編集長たちは次々と去り、残ったメディアは合併する」で書いている「コンテンツバブル」の崩壊やメディア合併の話も関係するのだろうなと思ったりする。

style.nikkei.com

とはいえ、大枠で見れば音声コンテンツには新規参入が続いており、活気があるのは確か。

最近ではオーディオムービーとか題した本格的な音声コンテンツも出ており、ワタシもニッポン放送「ビジネスウォーズ/BUSINESS WARS ニンテンドー対ソニー」や TBS ラジオの「つけびの村」とか聞いていて、前者は特に面白かったですね。

この手の番組で聞いて面白かったもの、お勧めのポッドキャストなどありましたら教えてください!

wirelesswire.jp

今から6年以上前にワタシは個人ブログ回帰について書いたが、当時も正直これはキビシイんじゃないかと思っていた。実際、宮川達彦さんも話されているように「みんなウェブサイトでブログやるのを止めて」る流れがあるわけだ。

情報の受信手段としてはともかく、情報の発信者としては、ワタシはニュースレターにもポッドキャストにも乗り切れない人間である。

それは単にワタシは頭の回転が鈍くて口下手なのでポッドキャストへの参入を難しいと思うのもあるし、(メルマガ、サロンを含む)有料ニュースレターをやると考えただけで心理的負担で胸が苦しくなるくらい。

上で面白いポッドキャストを教えてくれと書いたが、2020年末の今、面白いブログって何があるだろう? 特に個人がやっているもので。もはや個人ブログは「固定電話化」しているのかもしれないが。

yamdas.hatenablog.com

このエントリで紹介した Robert Rhinehart の Mostly Harmless など、ワタシが最近知った実例だが、テック系に限らず誰か知ってる面白い個人ブログを教えてくれないだろうか?

genron-alpha.com

東浩紀さんのゲンロンや「シラス」の試みも、「暗い森」になりつつあるインターネットに対応するものだと思うし、コンテンツが無料でもビジネスになるのは一種の「逆説」であって、正義視するのはおかしいというのはその通りなのだろう。

「すべてを共有するのでもない、すべてを一元管理するのでもない、かといってすべてを市場に任せるのでもない、第4の交換」を模索し、動画配信プラットフォームを自ら立ち上げてリスクを負う東浩紀さんには敬意を払っている。

しかし、ワタシは上に書いたように、有料コンテンツを一切やらないというわけではないが、今でも公開の場で無料で読めるブログにこだわりたいという気持ちがあるのだ。それが完全に時代遅れであることは分かっているけれども。

OpenStreetMapは企業からの編集参加が増えており伸びしろがありそう

joemorrison.medium.com

誰でも自由に利用できる世界地図を作るプロジェクトである OpenStreetMap についてはこのブログでも何度も取り上げている。例えば、昨年 OpenStreetMap が2018年のフリーソフトウェア財団の FSF Awards を受賞したことを取り上げたが、派手なニュースが続くわけでもなし、正直プロジェクトは停滞してないかと思うところがあった。

こうやってプロジェクトの現状を紹介する文章はありがたい。プロジェクトの登録ユーザ数はずっと着実に伸びているし、企業による利用も進んでいる。名前が挙がるのは FacebookAppleAmazon、そしてマイクロソフト――要はいわゆる GAFAM マイナス Google というわけだが、これらの企業は財政的な援助だけでなく、地理データ編集者としての協力も大きなものになっている。

これは Linux が企業内で利用されるにつれて、業務でその開発を行う開発者が増えていった話との類似を感じる。

Jennings Anderson の講演 Curious Cases of Corporations in OpenStreetMap によると、Apple による編集の伸びがすごい(続いて KaartAmazon か)。

そのように企業による編集が増えると OpenStreetMap コミュニティにおいて文化衝突も起こっているようだが、そのあたりもオープンソースにおける企業開発者の過去の事例での知見が活かせるのではないか。この文章では、結論として OpenStreetMap で起こっていることはコモンズの悲劇の反対で、参加者がそれぞれの私利を追求しても、資源を消耗することなくウィンウィンの関係になっているとまとめているが、そうあってほしいですね。

www.vice.com

こちらは Google Maps がいかにお行儀が悪く、ユーザのプライバシーを尊重しないキモいアプリかという話で、具体的にはユーザの検索履歴を要求する、それを拒むユーザには機能を制限するなど、不必要にユーザの情報を握ろうとする点が指摘されている。

オンライン地図分野で主導権を握る Google の横暴を止めるには、OpenStreetMap がそれなりに現実的な代替の選択肢でないといけない。

そう簡単に Google Maps の牙城を崩せるものではないが、少なくとも OpenStreetMap プロジェクトがある程度の財政的、人的リソースの余裕があると分かったのは良かった。

日本で OpenStreetMap に興味を持った人は、例えば、先月開催された State of the Map Japan 2020 のサイトで公開されている動画を見てみてはいかがだろうか。

ワタシの知った人では三浦広志さんが OSM Wiki の紹介をしているが、マッピングだけでなく翻訳でもプロジェクトに貢献できるわけだ。

ネタ元は Slashdot

キャロライン・クリアド=ペレス『存在しない女たち』刊行&早くも出る彼女の新刊『Do It Like a Woman』(追記あり)

キャロライン・クリアド=ペレス(Caroline Criado Perez)の『Invisible Women』のことは「Five Booksで2019年最高の本をジャンル別に探す(もしくはカタパルトスープレックス賛)」で取り上げているが、『存在しない女たち: 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く』として邦訳が出たのを知った。

ブレイディみかこさんが推薦文を寄せているが、男女格差のファクトに迫るこの本は、2020年の日本にも確実に求められているものでしょう。原著者のサイト情報によると、日本語版は15言語目の翻訳になるのかな。

「邦訳の刊行が期待される洋書を紹介しまくることにする(2020年版)」で取り上げた本では、これが4冊目の邦訳刊行になりますか。

さて、邦訳が出たばかりだけど、彼女の新刊 Do It Like a Woman: ... and Change the World はもうすぐ、2021年のはじめに出る。

Do It Like a Woman: ... and Change the World

Do It Like a Woman: ... and Change the World

このタイトルは Do It like a Dude のもじりかしら。力強く道を切り開く女性たちを取り上げる本で、「どこにでもいる女性たちのための、輝かしく、必然的なマニフェスト」とのこと。

[2020年12月3日追記]:これは恥ずかしい。『存在しない女たち』訳者あとがきを読んで気づいたのだが、『Do It Like a Woman』は新刊ではなく、2015年に発表された著者の最初の本だった。申し訳ありませんでした。

Mental Flossが選ぶコメディ映画の最高傑作30本

www.mentalfloss.com

このようなオールタイムベスト映画選出記事は珍しくないが、Mental Floss がやってるのがポイントなんでしょうな。

以下その30本を紹介するが、年代順に並んでおり、数字は作品のランキングではないのに注意。

  1. クライド・ブラックマンバスター・キートンキートン将軍』(asin:B007I9LK0A
  2. レオ・マッケリー我輩はカモである』(asin:B006QJSOXO
  3. フランク・キャプラ或る夜の出来事』(asin:B00XP96MI2
  4. チャールズ・チャップリンモダン・タイムス』(asin:B01LB9D2WQ
  5. ハワード・ホークス赤ちゃん教育』(asin:B07X5FNVQC
  6. ビリー・ワイルダーアパートの鍵貸します』(asin:B075LC4JGK
  7. スタンリー・キューブリック博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(asin:B003CNVPBK
  8. ロバート・アルトマンM★A★S★H マッシュ』(asin:B07146GHR8
  9. メル・ブルックスブレージングサドル』(asin:B003GQSZ3O
  10. メル・ブルックスヤング・フランケンシュタイン』(asin:B07LGH8JRX
  11. テリー・ギリアムテリー・ジョーンズモンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』(asin:B00UTGTR90
  12. カール・ライナー『天国から落ちた男』(asin:B00F5WYDSI
  13. ジム・エイブラハムズデヴィッド・ザッカージェリー・ザッカーフライングハイ』(asin:B08CZWNPRM
  14. コリン・ヒギンズ『9時から5時まで』(asin:B001EI5MKK
  15. シドニー・ポラックトッツィー』(asin:B00BFZGL0M
  16. アイヴァン・ライトマンゴーストバスターズ』(asin:B016LTQPKC
  17. アルバート・ブルックス『ゴー!★ゴー!アメリカ/我ら放浪族』
  18. ロブ・ライナープリンセス・ブライド・ストーリー』(asin:B004WZ95F0
  19. ジョン・ヒューズ大災難P.T.A.』(asin:B001CSMGUQ
  20. ジョン・ランディス星の王子 ニューヨークへ行く』(asin:B07NVJ7HWK
  21. ペネロープ・スフィーリス『ウェインズ・ワールド』(asin:B07V5V3FW1
  22. ハロルド・レイミス恋はデジャ・ブ』(asin:B00NNEJJ2A
  23. F・ゲイリー・グレイ『Friday』
  24. エイミー・ヘッカーリングクルーレス』(asin:B000BUN0HY
  25. クリストファー・ゲストドッグ・ショウ!』(asin:B00005MINX
  26. アダム・マッケイ『俺たちニュースキャスター』(asin:B00DACLDBA
  27. エドガー・ライトショーン・オブ・ザ・デッド』(asin:B07NRFD3XP
  28. ニコラス・ストーラー寝取られ男のラブ♂バカンス』(asin:B001LDC8I2
  29. ポール・フェイグブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』(asin:B00BTSHPUA
  30. アキヴァ・シェイファー 、ヨーマ・タコンヌ『俺たちポップスター』(asin:B07FK1ZLY7

昨今のキャンセルカルチャーの影響かウディ・アレンの映画が入ってないのは許しがたい、ジョン・ランディスなら『ブルース・ブラザーズ』だろ、ロブ・ライナー(とクリストファー・ゲスト)なら『スパイナル・タップ』じゃないのか、といったこの手のリストにありがちな物言いはいくつもあるかもしれないが、ほぼすべて有名作である。

……と知ったようなことを書いたが、こういうリストを見て痛感するのは、自分がいかに映画初心者かということ。このリストでちゃんと観た作品となると、4、6、7、8、11、13、15、20、21、27と3分の1じゃないか!(『ゴーストバスターズ』と『恋はデジャ・ブ』はテレビで観たはずが、ちゃんと通して最後まで見てないので外した)

このブログに感想を書いているのは『ショーン・オブ・ザ・デッド』だけですな。

そうした意味で、新型コロナウィルスのせいであまり好き勝手できなさそうな年末年始に、ストレス解消のために観る映画のガイドにこのリストは参考になるのかもしれない。さて、このリストで Netflix に入っている映画って何本あるんだろう。

ネタ元は Boing Boing

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